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TRPG制作日記(218) 二十二世紀の日本2

『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGは二十二世紀の高校生を演じて遊ぶ即興演劇です。

このゲームは参加者がゲームマスターとプレイヤーに別れて、進行役のゲームマスターだけがシナリオを読み、プレイヤーはキャタクターシートを呼んで物語の登場人物を演じます。

現在、このゲームのルールブックの第二章を制作中です。昨日に引き続き作業を進めていきたいと思います。

今日は推敲を含めて、第二章第一節「二十二世紀の日本」を書き上げたと思います。


ルールブック第二章『

二十二世紀の日本

科学技術の発展が社会を発展させて、社会の発展が私たちの意識を発展させる。『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』は二十二世紀の仮想世界を舞台にした物語である。この物語の前提となっているのは、自然科学、すなわち物理学や生物学、情報科学などが発展することにより宇宙都市や仮想世界が発展して、宇宙都市や仮想世界などの新しい環境が私たちの生活を変化させ、同時に価値観や思想、意識を変化させるという唯物論である。意識は環境を反映する。そのため、私たちが高い意識を持つためには意識を変化させようとするのではなくて、環境を変化させなくてはならない。環境を変化させるためには環境に関する知識が必要である。とはいえ、環境に関する知識である科学も意識の一種であると解釈できるので、私たちは意識を変えることにより環境を変え、環境を変えることで新しい意識を持つことになる。
 人間と同じ意識と感情、心を持つ汎用人工知能の除いて、太陽神の巫女には二〇二二年時点での科学技術を大きく逸脱した科学技術はほとんど登場しない。この物語においては登場人物達は宇宙都市で暮らしているが、宇宙都市は無重力であり、宇宙都市で暮らしている人々は無重力の環境で生きていけるように遺伝子を改良された新しい人類、地球で暮らしている私たちとは多少異なる存在である。また、仮想世界は現代のメタバースを発展させたもので汎用人工知能が暮らしていることを除けば、そして人間ではなくて汎用人工知能は管理していることを除けば、現代社会に存在しているメタバースを改良した以上のものではない。未来を描いた他の多くの物語とは異なり、太陽神の巫女の世界は私たちの世界の延長にある。
 しかし、量的な違いは質的な違いを生む。富裕層と選ばれた宇宙飛行士のみが宇宙に行くことができる時代から誰もが宇宙に旅行に行くことができる時代を経て、太陽神の巫女の世界では宇宙空間こそが人類の生活圏である。そのため、太陽神の巫女の日本人は地球にある日本列島ではなくて日本の宇宙都市が密集している、海王星の衛星トリトン、その周辺宇宙領域こそが日本であると認識している。核融合炉が普及しているだけでなく、木星や土星から重水素を得ることができるのでエネルギー問題は存在しない。また、人工知能とロボットの発展して生産の大部分を担い、資本主義は次の様式へと移行して、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利が保障されているために、日本には貧困が存在していない。労働は真実の意味で自己実現であり、女性は子どもを産むことで養育費が支給される。
 生産の多くを人工知能とロボットが担うことは、高校生の価値観も変化させる。二十二世紀の日本の高校生に求められているのは、ただ労働者と良き父親と良き母親になることだけではなく、自分の人生に責任を持てるような人物になることである。資本主義社会では有名企業に就職して、結婚して子どもを育てて、それから安心した老後のために貯蓄をすることが望まれる。しかし、二十二世紀の日本で求められることは、そもそも自分の人生をどのように過ごしたいのかを決めることである。太陽神の巫女では、国民は働く必要もなく夢を追うことで貧困に陥ることはない。そのため、高校生たちは純粋に自分が好きなことを見つけなくてはならない。二十二世紀の宇宙時代においては、良き労働者は人生の目的ではない。
 高校生たちは悩むのは、自分の将来に関してだけではない。高校とは自分の人生を見つめる場であるだけではなく、将来の親友との出会いの場でもある。二十二世紀の日本では高校生たちは委員会に申請することで、サロン(集会)を立ち上げることができる。サロンを立ち上げることで、高校生たちは自分と同じ趣味を持つ仲間達で集まり、サロンの参加者が生涯の友人になることが多い。文学やスポーツ、旅行など、多くのサロンを高校生たちは自分達の企画で立ち上げることができる。そして、現実世界のサロンとは別に宇宙都市には多くの仮想世界が展開されている。高校生は出会いを求めて、仮想世界に接続して旅をする。彼等は自分が好きなことを好きなだけすることが許されている。二十二世紀の高校生には貧困の不安は存在しない。存在するのは、人生を楽しめなかったという後悔だけである。
 仮想世界とサロンの存在は高校生たちには重要である。二十二世紀の日本の高校生たちは仮想世界とサロンで出会った異性と結婚することが多い。特に大学に進学しない若者達は就職と同時に結婚することも多いので、二十二世紀の高校とは、友人を作り趣味を見つけ勉強をする場である以上に結婚相手を見つける場である。高校生たちは好きな相手を見つけると必死になる。資本主義社会で人々は労働のために生きているが、二十二世紀では自分の人生を豊かにするために生きている。そして、結婚が経済的負担にならない社会において運命の相手と出会い結ばれることは、二十二世紀の高校生ならば誰もが夢見ているような出来事である。

』ルールブック第二章

宇宙都市はそれ自体が巨大な自動工場であり、しかも地震や洪水や台風などで大きく破損することもなく、小天体と同じく風化もしないので、重水素さえ供給すれば何百年も自動で動き続けるロボットです。

宇宙都市は人間が神に守られた世界だと言えます(外敵もいません)。


このような世界で、高校生たちはどのような価値観と思想で生きているのかを正確に予想することは簡単ではありません。

今のところ、私の想像では、ほぼ恋愛とスポーツが今以上に大きなウエイトを占めると予想しています。

身体を動かして、ゲームをして、友だちと遊んで恋愛をする。全員が十九世紀のヨーロッパ貴族のような生活をしているでしょう。

世界観に関しては、発見がある度に何度も書き直す予定です。


今日は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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