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【舞台芸術のツボ】病気のこどもたちを笑顔に!コメディカルクラウン・シロップさんの使命

5歳のときから舞台芸術をこよなく愛する19歳、なかおたいようです。舞台芸術にはまるきっかけとなった出来事や、楽しむツボをお伝えしていきます。

長年通いつづけることで見えてきた「舞台芸術のツボ」


おはようございます。たいようです(@butaigeijyutu)。ぼくは、5歳のときからずっと大道芸や落語などの舞台芸術が大好き。忘れられない思い出を通して、舞台芸術を楽しむ「ツボ」を少しずつみなさんにお伝えできればと思います!

今回ご紹介するパフォーマーは、北九州を中心に活躍するクラウンSyrup(シロップ)さん。

Clown(クラウン)は道化師のこと。ご自身が小児がん経験者で、小児がんの子どもたちのいる病棟の訪問活動などもしているパフォーマー。小児がん啓発/九州がん相談支援アンバサダーもつとめています。
クラウンシロップさんのtwitter→

クラウンシロップさんのことを知った日


シロップさんのことを知ったのは、2012年の福岡ツイスターズの時だった。
ツイスターズはバルーンアートの全国大会「Japan Balloon Twisters Convention」 の略で、以前紹介したJOUさんが実行委員会を務められていた。

事前にツイスターズをネット検索していたとき、Clown Marco&Syrup
(クラウン マルコ&シロップ)の紹介文が目に止まった。

シロップさんの紹介には、こんな文章が。

6歳のとき小児がんのひとつ急性リンパ性白血病を患い、久留米大学病院小児科に入院。発病後すぐに13歳年上の兄から告知を受け、3年間の抗がん剤治療のをうける。その闘病中にTVの中でパフォーマンスをするクラウンを観て憧れ、独学でパントマイムを始める。

2007年、久留米大学病院小児がん経験者の会SmileDaysでの活動に参加し、まだ九州ではほとんど実績のなかった小児がん治療の現場で笑顔を届けるクラウンの活動を知り“これやん!”って思う。

2009年、まずは入院中の子供達に笑顔を届けたい思い東京からクラウンたちを招いてクラウンと病院をつなぐ九州初のクラウンコーディネーターとして活動を開始。《中略》
そして…気づいたら自分がクラウンになっていた…。

(ツイスターズ2012公式HPより)

これを読んで、入院生活をしていたぼくと同じような経験や思いをされていたかもしれないと思った。

誰かの笑顔のため、今日も芸をする

ツイスターズ当日、『シロップ』の由来を教えてくれた。買い物に行った時に砂糖、砂糖、砂糖、と続いて横にシロップが並んでいたから「志郎」という本名を文字ってシロップになったんだよ…とのこと。それを聞いて自然に笑顔になった。

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↑マルコさん、ぼく、シロップさん。

2013年10月、トリアス久山でシロップさんのステージを見に行った。床に紐をひき、ステージに上がる時に一礼をしていた。初めて見る光景だった。敬意をはらっているように見え、こちらも背筋がピンとなったのを覚えている。

シロップさんのパントマイムがはじまる。ハットをかぶりたいけど、かぶろうとすると飛んでしまったり、腕の周りをころがったりして、なかなか思うようにかぶれず、振り回されるパフォーマンス。まるで、ハットが生きているようだ。

志免祭では、「雨にぬれても」の曲にあわせて風船で傘を作ったり、「幸せの黄色いリボン」の曲に合わせて編みこみ模様のキリンを作ったり。

フォークを取り出したかと思ったらフォークが伸びて皿回しの棒として使い、皿を回す…など、くるくると目の前で芸が繰り広げられていく。ぼくだけに、ネクタイが引っかかって取れないパントマイムも見せてくれた。

子供たちを笑顔にするために、クラウンシロップさんはこれからもステージに立ち続ける。

病気になったことは自分の宿命だけど、クラウンの活動はその宿命を使命に変えていく1つの大事な活動だと思っている、とのこと。


質問コーナー!クラウンシロップさんに聞いてみました🎤

そんなシロップさんに、3つの質問!

Q)マルコさんとコンビで病院訪問を始めたきっかけは?

A)久留米大学病院に入院していた末期がんの男の子「こうちゃん」との約束から「私がクラウンになる」と決めてトレーニングをしていたときに、西日本新聞の記事で施設などを訪問しているマルコさんの記事を読んだことがきっかけでした。

まだ衣装もなく、メイクも、スキルもなにも無かった私は死期が近づいているその男の子に笑ってもらいたくて、喜んでもらいたくて、マルコさんに彼のいる病院に訪問してほしいとオファーをしました。しかし、マルコさんが訪問する日を目前にしてこうちゃんは亡くなってしまったのです。

私自身もクラウンになる理由だった彼を失って、クラウンシロップをやるか悩んでいました。そんなとき、師匠のクラウンブッチィーから「こうちゃんにみせてあげられなかったのは残念だけど、こうちゃんのように小児がんと闘っているこどもたちはたくさんいるのだから、シロップはその子たちのためにクラウンを続けなきゃ」と励まされたのでした。

ようやく、衣装やメイク、少しばかりのスキルを身につけ、マルコさんをめちゃくちゃ頼りにしながら久留米大学病院へ訪問したのが、二人の病院訪問の始まりでした。

ちなみに、シロップは独自に「コメディカルクラウン」という団体名で病院訪問活動をしています。コメディー、メディカル、コメディカル(医療従事者に協力する人たち)を組み合わせた造語です。

Q)病院訪問で心がけていることは?

A)いくつかあります。
①訪問する私たちが感染症を持ち込まないこと
風邪やインフルエンザにならないように注意しています。

②衛生管理の徹底
使う道具や衣装は消毒や洗濯をして清潔にしています。

③言葉のチョイス
入院しているこどもたちに「元気?」とか、「元気ないね」とか、入院しているのだから元気ないの当たり前のことだけど、そういう何気ない言葉がこどもたちの心を傷つけるので、言葉のチョイスには気をつけています。

④家族の笑顔
こどもたちと一緒にいるお母さんやお見舞いにきている家族にも笑顔になってもらえるように振る舞うこと

⑤医療従事者の笑顔
病院の医師や看護師さんにも笑顔になってもらえるように心がけること

といった感じでしょうか。病院へ訪問するのはハードルが高いことですが、しっかりと準備して、文書で内容や時間、プランなどを病院へ提出して安心して訪問することができるようにしています。

Q)クリニクラウンとホスピタルクラウンの違いは?
クリニクラウンはオランダに本部があって、日本では関西に拠点のある小児科を訪問するクラウンの団体名ですね。

ホスピタルクラウンはプレジャーBのクラウンKさんが設立してますが、海外でも同じ名前で活動している団体があるようなので、おそらくその流れからかと。どちらの団体もアメリカの医師、パッチ・アダムスをリスペクトして設立した団体ですね。他にもケアリングクラウンとか、その他団体があちこちにありますね。

私が名乗っている「コメディカルクラウン」は主治医のドクターに命名したもらって設立しましたが、形のある団体というより、病院訪問やメディア向け、講演活動などの便宜上でつけた任意団体としての名称で、所属はクラウンシロップのみです。マルコさんや他のパフォーマーさんたちと病院訪問を行いますが、みなさんは協力者という位置づけでコメディカルクラウンに所属しているわけではないです。

おまけ:暖かく包み込むようなお人柄

会うたびに、とても優しくしてくれるシロップさん。

2013年、福岡県朝倉市で青い卵「いつもお2人さま」という公演で、ノーメイクのシロップさんから声をかけられたこともあった。
「分かるかな?」
「えっ?!もしかして…. シロップさん?」
「どうも…シロップです!もしかして青い卵を見にきたのかな?ぼくも見にきたんだよ」
びっくりだった!

2017年、志免祭で会えた時も、シロップさんは、ぼくに「ハグをしなくちゃ」と言ってくれた。会えたらほっとする存在だ。

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※青い卵『いつもお2人さま』は友達と観て、ずっとぼくの中に生き続ける作品だ。「さて、どんなお2人さまなのでしょうか?」と司会に紹介されて出てきたオペラ歌手の真里さんとYAMAさんの登場の姿が今でも記憶に残っている。

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ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

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