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ジーパン青春純情編01 (前半部)

第54話「汚れなき刑事魂」 第一ステージ

1973.7.27放送

脚本:長野洋、小川英
監督:高瀬昌弘 ←53話と同様

監督は、
1954年、早稲田大学第一文学部演劇科卒業。
同級生に脚本家の上條逸雄、
俳優の宇津井健などがいた。
同年、東宝撮影所演出部に入社。

テレビドラマ『青春とはなんだ』
第17話「遠い空の果てに」
(1966年2月13日放送)で監督デビュー。
シリーズ次作の『これが青春だ★』で
メイン監督になる。

★主演は竜雷太。
これが蘊蓄話で、ゴリを体育会系と呼ぶ所以である。

以来『でっかい青春』『進め青春』
『飛び出せ青春』『われら青春』などの
青春学園シリーズを中心的に演出する。

その後『太陽にほえろ!』では
松田優作の演じるジーパン刑事が
初出演した「ジーパン刑事登場!」を手がける。
(Wikipediaから抜粋)
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CAST

永井久美:青木英美
柴田たき:菅井きん
牧 恭一:水谷豊

平井栄三:見明凡太朗
池上平吉:武藤章生
戸川組組頭:堀田真三(現:堀田眞三)
戸川組組員:新井一夫

作業員:中島元 初期の準レギュラー

戸川組組員:村山達也 こいつ?アイツやんか!

前回のゲスト出演

65話で、「マカロニを殺したやつ」を殺した奴です。

梅津圭助:門脇三郎 初期の準レギュラー
川島健太郎:草間璋夫
木下哲也:今井和雄 この方も初期の準レギュラー
滝田染子:東静子

ストーリー概略

今日は、純は非番。
朝食を食べて直ぐに外出。

上着無しで下駄履き。
朝からずっーとパチンコをしていた。

◆このシーンは、
6年後のボン、ロッキー時代。
ボンの殉職1ヶ月前の作品
第356話「制服を狙え!」でオマージュされている。
この54話の冒頭の設定を。

1979年春のパチンコ店 第356話「制服を狙え!」にて

ボンも非番の日に、下駄履きでパチンコ。

この回も、軍艦マーチが流れていた。
景品を抱えて店を出た直後に、ボンは、

銀行強盗事件と遭遇するストーリーだ。
下駄を脱ぎ捨て、裸足で車を追跡していく。

片足は裸足、片足は下駄のスタイル。
巧く走れないボン

裸足で追いかけた一係刑事は、ボンが初。
途中タクシーを捕まえ、タクシーで追跡を続行。

脱ぎ捨てた下駄をロッキーが拾ってボンに渡す。

パチンコ好き刑事は、純と良の二人だけ。
テキサスも一話ありますが。「対決!6対6」の回で。
テキサスは好きだ、と云う訳ではない。
「俺は賭け事はやらん!」と他のストーリーで公言して
いるから。「厳しさの陰に」で。
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54話に戻って、
パチンコ店の店内BGMは
《軍歌》軍艦マーチ。
正式には「軍艦行進曲」と言う。
軍歌としての歌詞は ↓に。

歌詞を聞いた事がない人のために。
戦争を知らない若い人の為に。
・・・・という筆者も知りません。
野崎役の故下川辰平さんだけです。
戦争を間近で知っているのは。
しかし入隊直前で終戦になったようです。
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◆また、純が履いているジーンズの左側膝が
汚れているのは何故か?

オープニングの柴田純 登場人物紹介シーンでも、
汚れていますね。
皆様気付いていましたか?
わざと汚しているのか?

優作の作の下が 汚れてます

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ストーリー継続します。

柴田は帰宅したら、もう昼ご飯。

景品として得た大量のタバコを母たきに
見せたが、「またタバコ!?」
「どうせなら缶詰でも貰ってくればいいのに」と。
「現職の刑事が非番でパチンコとは、
 世の中平和なんだねー」と、たき。

タバコは鬼 藤堂俊介も吸っているチェリー。
チェリーはキツい味ですよ。
山さんもテキサス時代に
セブンスターから変えています。
喫煙者の筆者でも、よう吸いません。
これに被せてか、歌はチェリッシュが。
チェリー🍒➡︎チェリッシュか?

◆家内でのBGMは、だからか、
当時のヒット曲。
♫「チェリッシュ 避暑地の恋」
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チェリッシュの曲が使われているのは、
マカロニ時代から数えて三回目?
第41話、第48話でもストーリー内で
挿入されていました。

純が昼食中に食卓でテレビを観ているから
これはTVの音源か?
または制作スタッフの誰かが
チェリッシュのファンか?

♫「チェリッシュ 避暑地の恋」


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ここで場面変更。

客は五人。店関係者は三人。

BGMが鳴らない店内で、静かに、
食事している者、ビールを飲んでいる者、
ピーナッツをほう張っている者。

店員がトイレに消えて行った時、大爆破。

店のガラスが割れて、入り口ドアが吹っ飛ぶ!
昼から営業の喫茶スナック「CHANEL」内で
爆発事件が発生したのだ。

※五年後1978年10月に放送開始の、
 大都会PART IIIオープニングに
 出てくる爆発風の撮影ですな。

このあとの
先頭40系クラウンパトカー、
現行60系クラウン、そしてタウナス。
現場出動イメージ。

この走行シーンの隊列並びは、
53話「ジーパン刑事登場!」の
ラストシーンで使われた映像を流用?
してはいませんか? 
これにサイレン音を被せてますな?
同じ監督ですし、ね。あり得ます。
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非番だったが、呼び出しで
現場に走って駆けつけてきた純。

「遅くなりました」

「おう来たか?」と野崎

そう言って、捜査用の手袋を純に渡す。
「エラい事だぜー」

「被害は?」

「三名即死だー」
「三人も!?」
「あとは病院に運んだが、一人くらいは
 死ぬかも知れんなー」

井上堯之バンド♫
「サスペンス予兆➡︎現場検証」

やはり人手不足。

◆今回から別の映画撮影の為に、
関根恵子が、ほぼ1ヶ月半暫く欠場となる。
オープニングだけは顔を出す。

第60話より復活。
捜査員不足だから、鬼が現場に居る。
電話番はクミ1人のみ、か。
※クミだけで大丈夫かな?
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鬼は現場全体を見ている。

「おお、遅かったなー、こっちだ」
と体育会系が純を爆発場所に誘導する。

初めて見るのか、現場の遺体を。
純は呆然と。

「何をボーっとつっ立んてんだ!」
ゴリは鑑識と遺体を検分している。

「ボス!山さんから連絡入っています。
 向かいの公衆電話に」と殿下。

◆外部から道路設置の公衆電話に
架電出来るところが、不思議ですねー。
刑事ドラマにはよくあります。
特に太陽!では。

「ヒデーもんだ!」とゴリ

「仏さんの身元は?」は殿下

「女はここのママらしいがな?」とゴリ

「おいどうした?」とゴリ
突然の純の異変に。

えずく純。爆死体を見て。

※ 嘔吐反射(おうとはんしゃ)を
「えずく」と云います。
 関西では大概こう言う。
 つまり「オエッ」となる事を言う。

遺体を見た純は、突然にこうなった。
あの53話登場篇の柴田純のジャガーの眼が、
54話では勢いを失う。デカい図体が
忽ち意気消沈する。
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側の公衆電話で、鬼は山村と電話中。

「そうか、二人とも意識不明なんだな?」と鬼

「ええ。
 もう一人もかなりの重傷で面会謝絶ですが、
 あとの二人は元気ですので、
 手当が終わったら話が聞けると思います。」
とは山村

「そうか。何か分かったら
 署のほうに連絡してくれ。
 俺たちはもう引き揚げる。」

「じゃあ後ほど」
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停車した救急車に凭(もた)れる純。

「大丈夫か。ジーパン!
 無理すんなよ」
「は、もう大丈夫です。本当に大丈夫です」

「いいからお前、病院行け!」と鬼

「えっ?病院?
 ボス。これくらいの事で俺は」

「勘違いすんな。
 行って山さんの手伝いをするんだ!」

「ええっえー!?」
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山村は生存者の1人の
暴力団竜神会の
組員池上平吉(武藤章生)から

「何がどうなったって言われたからって
 全然分りゃしねーよ?

   飯を喰い終わってみて、
 立とうと思ったらよー。
 いきなりどかっーん。だろー、
 気が付いた時には
 床にひっくり返ってたんでぇ。」

「んー。そーいうもんだろーなあ」と山村。

◆病院廊下のロビーで、また
パカスカ煙草吸いながら事情を聴く山村。
病院でタバコ。令和の現代では考えられない。
山さんは何処でもタバコを吸う。

その時、座っている山村に気付かず、
純は廊下の奥の治療室へ。

「あーどうも。七曲署捜査第一係の
 もんです。」と看護婦に。

◆当時は、看護師でなく
看護婦と呼びました。

純は入った第一外科治療室で、
生存者の一人。手当をしている男、
牧恭一(水谷豊)と再会する。

「あっ、あんた?」

「ああ柴田さん?」

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牧は純の知りあいであった。
純は牧と再会を喜ぶ。

「そーか、柴田さん刑事になったのか?」
「それよりあんたの方こそ、あの店で
 働いていたとは?知らなかったなあ」

1ヶ月前から
「CHANEL」でバイトしていること、
トイレに行くタイミングが良く、
助かったことを話す。

「本当に大した事が無くて良かったよ」と純。

「おーい。ジーパン!」と山村。
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場面は変わり、

一係部屋で捜査会議。
「長さん。説明頼む」

まず巡査部長の野崎が
爆破事件の犠牲者を説明した。

死亡者は
「CHANEL」のママである滝田染子(東静子)

保全信用金庫の理事 川島健太郎(草間璋夫)

写真家の梅津圭助(門脇三郎)

の三人。

重傷者は
「CHANEL」のコックである林和正

俳優である小金井四郎

木下哲也(今井和雄)であった。
※木下のみ職名がない。準レギュラーだからか?

軽症は、
竜神会組員池上と、

学生でありコック見習いの牧

二人は軽傷で済んでいた。

「以上です」
※しかし、短時間で全員の写真を入手できた捜査一係。
 不思議といえば不思議です。
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次に次期、巡査部長候補予定のゴリが
鑑識の報告を説明する。
あくまで昇任試験にパスしてからだが。

◆このあとゴリは昇任試験に計三回不合格となる。
マカロニ時代には、不合格のシーンはない。

次の不合格の回は、ジーパン編「午前10時爆破予定」二回目
及びテキサス、ボン時代の「パズル」の回。三回目

◆しかしながら、ボン単独時代。ロッキー赴任前に
警部補昇任試験の勉強をしているゴリが描かれる。
その回は、寺尾聰ゲストの「生きがい」にて。
この時の寺尾は、髭をつけて、美人の奥さんがいる。
またその寺尾はサングラスを掛けないライバル刑事として。

即ちゴリは、既に巡査部長に昇格したと受け止めていいのか?
視聴者は? よく判らん。筆者は。
つまりロッキー登場256話では、巡査部長になっていた?

「爆発の中心地点は、
 店の入口に近い(川島の)席であるだろうと
 思われます。また爆発物は
 ダイナマイトだと言って
 差し支えないようです。」

「現場の遺留品から、
 目覚まし時計と乾電池を使った時限装置に
 よるものと推定されます。」

純は書庫ロッカーに腰を掛けている。

続いて、野崎が、
「目覚まし時計か?」

※この回も天井から蛍光灯がぶら下がっている。

殿下も、
「目覚まし時計と乾電池じゃ、
 素人でも細工できますね。」と
機械に強い殿下の意見。

野崎は
「んー。だがダイナマイトは
 そう簡単に手に入らんだろう?」

「それにしても犯人の狙いは一体?」とゴリ。

「それなんだがねー」と山村。
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鬼は
「特定の誰かを狙う、って言うのはどうだ?」

ゴリは、
「じゃあ犯人は誰か一人を消すために、
 関係の無い何人も
 巻き添えにしたって言うんですか?」

「被害者が増えるほど、
 犯人の狙いはわかりにくい。
 そうだろ?」と鬼

「私もその読みに賛成ですなあ。
 非常に巧妙で、
 しかも残酷なやり方だ。」と山村。

「とういうことは、
 ストレートに犯人を探すと同時に、
 誰が狙われたかを突き止める必要が
 ありますな?」と野崎

「そういう事だ。
 長さん、あんたダイナマイトの線から
 犯人を割り出してくれ。」

分かりました。と席を立つ野崎。

「ゴリと殿下。お前たちは、爆発の時点から遡って、
 あの店に出入りしていた者を
 徹底的に洗い出すんだ。」

「山さん、、」
あとは、ツーと言えばカーの山村に後を託す。

「被害者廻りと行きますか?。
 行くぞー!」
山村は純を、何も言わないが、名指す。

「はいっ!」と純。

久美は、
「頑張ってね新米君。
 はい。ピストル!」と渡そうとするも、

「アッカンベー」の純。

「山村さん?」とクミ
柴田君に何とか言ってください、と言いたげに。

「頑固な奴ですなー、全く!」と呆れ顔の山村。

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玄関にて、またタバコ一服の純。

「誰から始めますか?」

「まずはお前のポン友からだな?」

「牧ですか。確かに被害者ではあるけど。
 アイツが狙われるなんて考えられないな。」

「どうしてだ?」

「あいつはイイ奴なんです。」

「イイ奴だって狙われる事はあるよ!」
「犯人の可能性も無いとは言えん」

「犯人のおー!?」

「そりゃーどう言う意味ですか?」

「いいか、ジーパン。
 デカって言う商売はな、
 全てを疑ってかかるもんだ!」

「爆発当時あの店に居たのは全て8人だ。
 3人が死んで、3人が重傷を負った。
 奇跡的に軽症で済んだのはヤクザの池上と
 コック見習いの牧だけだ。
 それだけ言えば分かるだろう!」

「そんな馬鹿な!じゃあ牧が犯人だと
 言うんですか?」

「そういう可能性もあるって事だよ」

「有りませんねー、牧に限って、そんな?」
※友達を徹底的に信じる純。

「山さーん!本当にイイ奴なんですよー。
 ヤマさん!」
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井上堯之バンド♫
事件の予兆 背景サスペンス
(事件の裏にあるもの)

牧のアパートで詳細を聴く山村。
横で立ってタバコを吸いながら聞いている純。

死んだママの葬儀に出向く山村と純。
母親と子供達三人が居た。

写真家の梅津圭助カメラマンの職場。
重傷を負った俳優である小金井四郎の職場。

最後は
死んだ保全信用金庫の理事川島健太郎の職場。
幹部の平井栄三(見明凡太朗)に当たる。

「確か、次の理事長に内定されていた?とか」


「ええ。その事について変な噂がたって
 弱っているんです。理事長の椅子を巡って
 内部で争いがあったとか。
 勿論 根も葉もない噂ですがね。」
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聞き込みの収穫は出なかった。
一係で、殿下が
「長さんの方は、、?」

「ダイナマイトの管理なんて
 意外と杜撰なんで吃驚したよ」

鬼は、
「うん、よし分かった。頼むぞ。」と。

「山さん、何ですって」
「最後の一人に会いに行くそうだ。」
電話を終えた鬼にゴリは。
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池上は病院を脱走し、
戸川組の組員(村山達也)を刺殺しようと
していた場面に遭遇。

「てめえ、ぶっ殺すぞー」

※この(村山達也)は
 太陽!都合三回目のゲスト出演。
 第65話では「マカロニを殺したやつ」を
 刺し殺した奴で山村に逮捕される。

第65話の(村山達也)

 ◆コイツの為に、マカロニを何故殺したのか?
 本ボシの男がマカロニを殺した理由は
 終生、皆目掴めなくなるのだ。

池上は戸川組が自分を殺そうとしていると
直感していた。

※マカロニ時代、シンコ初主演の
「48時間の青春」でも同じ演技をしていたこの二人。
これも実績あるオマージュなのか?

逃げる戸川組チンピラ。

山村「あの馬鹿!止めるんだ!」
純「分かってます!」

※53話でゴリが純を殴ったあの場所。
 飯場に古い線路が残る場所。
 撮影ロケーションには最適。

「俺は何もしちゃいねーよ」
チンピラを池上から放し、池上を止める純。

山村は
「池上!何を頭に来てるんだ!」

「ああ旦那?」

「アイツだ。アイツら戸川組が
 俺を殺ろうとしたに違げーねーんだ?」

「何だとお?」

山村の指示の前に、純は走り出す。

井上堯之バンド♫
「青春のテーマ」間奏。

上記はレコードバージョン エコー入り


飯場を抜け、新宿ゴールデン街。

※ここは、第一話マカロニ刑事登場!でも
 ロケーションした場所。
 マカロニの躊躇の為にゴリが、
 水谷豊に撃たれた場所の近くだ。

街並みを純が追いかける。

横断歩道を登り、
長い足で、ズンズン奴に迫る。

追跡された組員は、
ナカヨシビル2Fの戸川興業(即ち戸川組)に
逃げ込んだ。


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純は戸川組に挨拶もなく、入っていく。

「誰だーおめえ!」

戸川組の幹部の組頭(堀田真三)に
コルト拳銃を突きつけられた。
※TVでは、この男の役名は表示されない。

「おめえ、池上の舎弟か?」

「舎弟?」
「俺はなあー」

「おい、若けーの、一人で飛び込んでくるとは
 いい度胸だ? だがな。」

「一つだけ教えとくがな、俺たちは
 池上のような三下をヤル(殺す)のに
 発破(爆殺)なんて大袈裟な真似はしねーぜ」
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※ここでちょっとした国語講座

三下とは「さんした」と読む。
即ち「三下奴(やっこ)」の略。
ばくち打ちの仲間で、一番下っ端の者。
を指します。
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「帰ってそう言っときな」

「そいつは警察に行って、話してもらおう。
 お前は銃剣等不法所持だ!
 逮捕する。」

「ええー?お前!デカかよ」と
さっきのチンピラ。

「こんなデカが居てたまるかいー!
 やっちまえー。」

「よせーよ!止めろ?」と純

「このヤロー」と左頬に殴り掛かる組員。

「イテえー」と純。
顎を撫で、純の怒りは爆発寸前。
背後から椅子で殴り付けるもう一人。

※この粉々になった椅子は、
 強化発泡スチロール製であることは明らか。

六人の組員相手に純の怒りは
爆発し数分で蹴散らす。


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場面は変わり一係部屋。

「馬鹿やろーっ!お前のお陰で
 警察病院は満員だよー」

「お前は空手二段なんだぞ!
 お前の腕は凶器と同じだと言う事を
 忘れたのか!」

「どうも」とションボリの純。

「どうも?
 あのなあ、ジーパンよ!」

「おいおいゴリ!いい加減に勘弁してやれ」

「然しですねー」とまだ言いたい事があるゴリ。

「ゴリさん、ゴリさん?ゴリさん。
 ついこの間まで、あんたがそう言われて
 いたんじゃないの?」と野崎

「長さん、何もこんなとこで
 (言わなくても、、)」

それを聞いているクミは、
クスっと笑う。

「何がおかしいんだよー!」とゴリの癇癪。
(すみません)と謝るクミ。


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「いやー。参った参った。
 とんだ回り道だよー。」

「やっぱり違ったか?」と鬼

その時山村が一係室に戻ってきて、
「確かに池上が入っている竜神会と
 戸川組の仲は険悪ですが、
 今度の事件とは関係ありませんなー。
 第一、時限爆弾なんて手の込んだ事は、
 奴等の柄じゃありませんな。」

純も山村に
「どうもスミマセン」と謝る。

「何を謝る奴があるかい?
 お前さんのおかげでちょいとした
 暴力団退治が出来たんだ。
 最も、やり過ぎの感じではあるがなー」
笑って肩を叩く。

※山村は、
 この柴田純に対しては、マカロニよりも
 もっと成長させてやりたい。
 長い目で見ることを優先させている台詞。
 なにしろ、
 まだ刑事になって間もないんだから。

この絵で、純の後ろのポスター。
マカロニ時代にも一年前にも
貼ってあったポスター。
「貴方の周囲に爆弾犯人が!」
右側のポスターです。

クミも、席に寄ってきて
「誰だって失敗はあるわよ。
 元気出しなさい。」と純を慰めた。

「はあ」と純。
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野崎は、
「しかし捜査の方は行き詰まりですなー。」


ゴリも
「全く頭に来ますよねー。
 これだけ歩き回って狙った相手も、動機も
 何一つ解らないんだから。」

その時、クミは
読んでいた推理小説の感想を独りごつ。

「凄ーい。ちょっとした完全犯罪だわ!」


あまり、仕事をしていないクミ。
推理小説マニアなんです。
だから、事件にちょくちょく首を挟む。

※クミが読んでいたのは「華麗なる完全犯罪」。
 これは1973年当時にはなく、48年後、
 かなり最近だが、夏樹静子作のコミックには
 このタイトルは現存する。
 宙出版。2021.11月発売。
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「完全犯罪かあ」と野崎。

「まあ見てろ!いまにボロが出る。
 うまく仕組まれた犯罪ほど、
 ツマらん事でボロが出るもんだ。」と鬼

「じゃああたしゃ、もう一人。
 傷の軽かった方を、、、」と
外に出ようとする山村。

「山さん(俺も行きます)」と純。

※ゴリと同室にいるのが、嫌な感じは
分かっていたか? しかし、ここは七曲。
シンコ含み7人のへそ曲がりのやり方を体得する部屋。
休憩も、皆の鼓動を感ずる勉強の一つだと
山村は純に教えている。

「いいからお前さんは一休みしな。」

◆自分の為に自ら街を走り回り、
たった今、その為の暴動が元となり
体育会系ゴリに怒られた純に対して、
せめてもの、今だけの優しさを。
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山村は、恐らく牧を尾行していた。

街のパチンコ屋。
店内のBGMは、山本リンダの「狙いうち」。

また、皆さん。お気付きでしょうか?
昭和48(1973)年のパチンコ屋は、
座ってパチンコを打つのでなく、腰掛けもあるが、
立ったままのパチンコスタイルが、一般的でした。
しかも、地方ではなく、ここは東京新宿です。

鬼にあと一人と言った牧の動向を
張り込んでいた。しかし張り込みを
牧は勘付いていたのだ。

病院で純に声を掛けた先輩刑事の山村の
顔は知っていたし、アパートに純と一緒に
聞き込みに来たことは、つい先日だ。

◆七曲署一係の知能刑事の山村の勘は、
牧を既に本ボシのターゲットに絞っていた。
何しろ、山村の勘。
これはヤマカンと言うくらいだから。

◆純を同行させれば、牧の正体が剥がれなくなるから、
また純の牧を信じ切る思いが強く
犯人のボロが出難くくなるから、いまは邪魔なのだ。
だから
純には休んでいろ!と命じたのだ。
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牧は、作業員風の男に
声をかけられた。

「よーうお。俺だよー。
 丹沢で一緒だった?ええ?
 忘れちゃったのかよー。
 一緒に寝起きした仲じゃねーかよ。」

丹沢の飯場で一緒に働いていた
作業員(中島元)だったのだ。

※この(中島元)も、
太陽!準レギュラーの一人です。
捜査渦中で肝心なストーリー転回時点で
登場する名優である。

しかし、牧は
「俺はあんたなんか知らないよ。
 人違いじゃないすか?」
と去って行く。

山村は、作業員を止めて、
「旦那、あたしゃ悪い事なんか、、、」

「今の男。知り合いか?」
「今別れた男だ」

牧について尋ねたが、

「何だ?あんな奴は?」
「だけど、あの男だと思うんだけどな?」

山村に、

「丹沢の飯場で、一緒に働いていたんですよ。
 最も奴は2,3日したら
 消えちゃいましたけどね。」

場面変更。一係にて。

「ちょっと待って下さい。」

手帳のメモを見て野崎は、
「確かあれは、丹沢の飯場、、、」

その報告を鬼に報告した山村。
それを、鬼は野崎の捜査報告と照らし合わせる。

「あっやっぱりそうだ。調べさせたら、
 ダイナマイトの数と帳簿が合っていないと。
 帳簿の方が間違っているんじゃないか?
 と言いだしまして、呆れたんですが。」

「牧らしい男が働いていたのは、
 先月の中頃だと言ったな?」と鬼。

「これは被害者より、加害者の方が
 先に決まりましたな?」と山村。

「よし。直ぐ令状を取ろう。」と鬼

「やっぱりアイツだったか!チキショウ。
 山さんの勘、当たったなー。」
と野崎。

※だからヤマカンなんですよ。長さん。
しかも山さんの勘は外れた事はない。のちに、
長さんの勘も、ヤマカン並みになっていきます。

「おい、デカいの何処行ったあ?」と山村。

「あれえ、今までそこにいたのに」とクミ。
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牧のアパート。

「計画は完全だった!完全だったんだ!」
「くそーっ、あんな所でアイツとぉー!」

鍵をポケットにしまう牧。
時間を気にしている?牧。
早々に身支度をしようとする牧。

そこにドアのノック音が。

「誰だ?」

「俺だよ」と純は中に入る。
「顔色悪いぞ」

居間のテーブルに腰を据え
「タバコ無いかな?」
残っていた一本にマッチで火を点ける純。

「あんた何しにここに来たんだ?」

「あの日の事で、何か思い出した事が
 ないかと思ってねー」と純。

「悪いけど、話してる暇はねーんだ」

「旅行でも行くのか?」

「おふくろが急病なんで
 田舎に帰るんだ」
その場凌ぎの嘘を
嘘とは思えない純の友達としての純情。

「おふくろさん、、が?
 何時の汽車だ?」

「四時半の」

「四時半?もう時間がないじゃないか?
 何クズクズしてんだ!」

牧に代わり、荷物をトランクに
詰め出す純。
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公用車40系パトカーを私用で使う純。

純はまだまだ牧を信じ切っている。
パトカーで新宿駅まで送っていく。

※マカロニ時代に、
「バスに乗ってたグーなひと」で、
 マカロニも気になる女性とのデートで公用でも無いのに
 パトカー(日産セドリック)を使い、
 サイレンを鳴らした事がある。
 それでデートをした回がある。

助手席に星由里子を乗せる早見淳

 マカロニは翌日、鬼から大目玉を食らった。
 このシーンの
 ジーパン編オマージュである事は明白。
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今回は、直ぐに鬼に連絡が伝わり、
純と牧が乗ったパトカーは即座に手配される。

「七曲署の刑事が呼んだパトカーは?」
「何ぃー。新宿駅だな?」

「ゴリ。ゴリ!藤堂だ!(今どこにいる?)」
※ゴリは鬼の使いパシリが多い。
かなり部下ゴリを信頼している証拠である。


純が新宿駅で土産を買っている。

「おい、これ。おふくろさんに、、」
しかし牧は姿を消していた。

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ゴリと殿下は、駅階段を降りていく。
「殿下!お前は向こうー!」

牧はコインロッカーで
荷物を交換しようとしていた。

やっと見つけた牧は。

コインロッカーの扉を開けようとしていた。

井上堯之バンド♫
「危機のテーマ」このテーマも数曲ある。

「どうしたんだい。急に居なくなって。
 ほら。おふくろさんへのお土産だ。
 荷物か?俺が開けてやるよ」

落としたコインロッカーのキーを拾いあげ、
純は開けようとする。

その時、体育会系ゴリが間に合った。
牧が純に、そのお土産で殴り掛かるのを見、
暴行を加えようとするのを
いつもの大声が、動きを止めた。

「ジーパン!」
「そいつが、ホシだ!」
「捕まえろっ!」
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井上堯之バンド♫
「マカロニ刑事 行動のテーマ
 アコースティックギターバージョンⅠ」

体育会系柔道部の走りは、
牧を追い続ける。


純は、カバンを抱えたまま、
「まきっ!」と、真実をやっと悟る。

追跡したが、小田急地下名店街入口脇で
逃げられてしまった。

自力はあるが、スタミナが不足してきた
かつての大岩雷太先生。
当時31歳になろうかというゴリやん。
寄る年並みには勝てなくなってきたか?
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場面は一係ボス席。
天井から垂直にカメラは見下げる。

ボス席で、垂直に下を撮影したのは、
太陽!初の撮影。

純が持ち帰った、牧がコインロッカーに
隠していた鞄から
現金1000万円が発見された。

「えーえ。殺しの報酬かあ?」とゴリ。

「そんなあ?」と純。

純の気持ちを知っている皆は
もう何も言わない。沈黙のシーン。
山村も、隣りの純を見て、眼を逸らす。

そんな純は、

ひんやりとした既視感の不安に
苛まれている。まだ牧への信頼感は
どうしても去り切れないのだ。

「長さん、手配済んでんのか?」
「はあ、今のところ高飛びした形跡は
 ありません。」

「じゃあ、今度は狙われた男を探すんだ。」

◆なるほど、店に居た客で、
女性は死んだママ一人だけだから、
該当者は残りの6人の男だった
可能性しかない。

「必ず被害者の中に、
 狙われる動機を持った奴がいるはずだ。
 今日はここまで。皆んな帰って
 休んでくれ。」と鬼。


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翌日の朝か?

場面は二回目の、柴田家。

母たき、が「純、ご飯よ」
「純、純。ご飯ですよ。
 どこに行っちまったのかしら」

純はまた下駄履きで、近くの河川敷にて
思いに耽っていた。


タバコも持ってくるのも忘れて。

「なんで、アイツが?」


河原で小学生の男の子がサッカーを
している。

ふと頭を上げると山村が。

「おふくろさんが
 ここじゃ無いかと言うもんでな。」

「態々(わざわざ)寄ってくれたんですか?」

「相棒が泣きっ面してたら、
 コッチも仕事がやり難いからね?
 気合いを入れに来たんだよー」

「大丈夫ですよ」

タバコでもとうだ?と言われ、
「ありがとうございます。
 頂きます。」

◆新人の自分に相棒と言ってくれた、
刑事課捜査一係の大先輩に、嬉しさを見せる。

◆ちょっとした礼儀を弁(わきま)えている純。
以前のチンピラ淳とは、やはり違うことに、
山村は気付いているーのだ。
マカロニよりも増して、この新人には
人間としての「純粋」さがある。
しかも元警察官の息子だけのことはある。
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「山さん。どうもすみませんでした」
「なーに、じきに捕まるさ」
「でも、どうしてアイツが、、」

「お前、あの学生をいい奴だと
 言っていたな?」「ええ」


「今でも、そう思っているのか?」

「ええ。
 鶴岡署の交番に勤務している時でした。」
牧との出会いを語った。


◆髪型も少し整髪している松田優作。
来ているジーンズもヨレヨレではない。
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純の非番の日に、

トラックに轢かれそうになった少女を
牧は命懸けで助けていた。

井上堯之バンド♫
「幸福のテーマ72
 トライアングルバージョン」


「それ以来、顔見知りになったって
 言う訳か?」

「牧は元々子供が好きなんです。」
「そうだ。ここの河川敷で
 サッカーをしたことも、、」

「全くいい奴なんです。」

「全くお前が羨ましい、よ。
 そこまで純粋に、人を信じられるって
 いうのはな」

しかし、山村は立ち上がり。

山村は純に
「ジーパン、今日限りその事は忘れろ!

 牧恭一はお前の言うとおり、
 根はいい奴かも知れん。だが

 

今のやつは殺人犯だ。そしてジーパン。 
お前は刑事なんだぞ。いいな」

ここで最初のコマーシャル。

ここまで、次回予告含め
27分36秒。

12263字


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