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男石塚ゴリ★対決名作選 73-74 第56話「その灯を消すな!」第二ステージ

CAST

美川陽一郎(斉藤、ゴリの先輩)
深江章喜(梶田組長)
北条清(小西次郎)
紅景子(関口京子)
渥美国泰(大和田)
江幡高志(浮浪者)第三ステージで太陽!初登場
高城淳一(畠中捜査課長)
磯野秋雄(横田社長)
鈴木和夫(ぼたん店主)
岡部正純(梶田組幹部)
福崎和宏(土谷実)
柄沢英二(青田刑事)
吉中正一(梶田組輩B)

井上堯之バンド♫
「危機のテーマ」スローバージョン。

数ある(危機のテーマ)は、
太陽にほえろ!のサスペンス場面に繋がる

殺伐とした情景シーンを連想させ、
それを登場人物の各表情に連ねていく。
流石は、作曲家大野克夫のテーマ楽曲感。

純は、ゴリに指示された通り
駅前の娯楽センタービルを張り込む。

ゴリから預かった大和田の写真を
胸ポケットから出して
純は、奴の顔をもう一度確認する。

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場面は変わり、
娯楽センター内事務所に、みさきの民が
代表のみ集まっていて、大和田に、

今度また街に舞い戻ろうとする梶田に対し
どのように対応をしていけばよいか?

各人が相談に乗ってほしいと。

「ねえ。大和田さん。
 何かいい手はありませんか?」

「いい手と言ってもねー。
 兎に角、街は平和だったんだし、
 梶田だって、そんな馬鹿な真似は
 せんでしょう?」と大和田。

「いや。アイツらのこった、
 必ずやりますよー。ねえ?」

「手始めは、
 次郎っていう工員でしょう?
 が、しかし。
 次はあたしたちなんですよ。」

料理屋「ぼたん」の店主(鈴木和夫)が言う。

「そして、街を取り戻すでしょう。
 いや、街を渡さないって
 言うんじゃないんですよー。

 何もイザコザを起こさずに、
 戻ってくれたら、
 それでいいんですよ。」

何の提案も浮かばない皆に、

「しょ、しょうが無い。
 それとも皆さん。一致団結して、
 梶田と闘うって言うんですか?」

※準レギュラーだけに、
長い台詞を貰ってますねー。
台詞のみならず、目線など、
隣りの出演者への合槌も
巧くないといけないのです。

だが、街の名士とも思えない台詞を
以下の様に、他人事のように
発言する大和田。

「まあま、そう先走りせずに。
 兎に角、梶田の出方を見ようじゃ
 ありませんか?

 それから対策を立てても
 遅くは無いでしょう?」


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一方で、梶田は

下っ端輩たちから、
「そーか。デカが来たか?」

「へえい!5年前に
 組長をパクリやがった
 石塚っていうデカが、次郎のアパートに
 住みこみやしたー。」

「ふん!暇なデカも居たもんだ!」と梶田。

「いーか!俺たちの相手は、な。
 他の組織でも、サツでもない、
 街の奴等だ。」と。

「俺たちは、
 街の奴等に叩き出されたんだ。
 舐められてたんだ!
 だから俺たちがどんなに怖いもんか、
 もう一度キッチリ教えてやれ!」
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場面は変わり、
次郎のアパート。
夜8時、か9時頃だろうか?

来来軒の出前が、お鉢を取りに来た。

おかもち、を開ける音で、

斉藤が、
「誰だ!」

◆おかもち(岡もち)とは?
日本語。言葉の由来を少し。

【川の傍らにある山がオカヤマ(岡山)で
あるように、傍らに下げて持ち運びする。
横に下げて持つ具の意味が語源】
のようです。

「こんばんは?」と出前。

「来来軒です。丼取りに来たんです。」
 あれっ?またお客さんですか?」

と、今度は 斉藤が部屋にいた事に驚く。

「ほーほーっ!。
 まいどありーっ!」

「何だね、あの少年はー。」と斉藤。

「近くのラーメン屋だそうです。」とゴリ。
それを隣で聞いて笑っている次郎。

「ほーう。ラーメン屋?」

「ちょっと気になる事があるんだが。
 死んだ梶田の女なんだが、
 小さい頃から両親を亡くしてだ、
 弟と二人っきりで
 おじの処に預けられたそうだ。
 実(みのる)と言うんだがな、
 ひどく姉思いだったそうだ。
 そいつが、最近行方が知れんのだよ。」

◆今回第56話で、登場人物の中で
ストーリーには登場するのに、
演じる俳優が居ないのは、
この「梶田の女」だけ。

役名設定はあるも、姿を見せない。
これまた珍しい物語、話である。
俳優経費を削減したか?
梶田が大和田から借りて、爆発炎上した
車に乗っていたかも不確かだ。

ゴリの勘が騒めく。

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◆筆者も気になる事が。
さらにこのシーンは、
夜の部屋にいる男たち。何故、
熱い中、扇風機も無ければ、
窓も開けていないのか?
エアコン、クーラーは無いのだろう。
また、夜でもカーテンを閉めていないのは
何故か?外から丸わかりじゃないか。
何故か不思議な描写です。

場面が変わり、
井上堯之バンド♫
「戦慄の情景」★
★は筆者が名付けました。
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みさき民が帰って、大和田は一人で
パターマット ゴルフ練習器具で
時間を過ごしていた。

その時、電話が。

「大和田ですが。

 おー。ああ梶田さん。
 いつ出ていらしたんですか?
 知らせて下さりゃ、お迎えくらいには
 行きましたのに、、」

「ありがとうよ。
 それより
 偉くなったもんだなあ、あんたも。
 街の名士だそうじゃないか?」

「いやいや、それ程でも。
 ところで梶田さん。街の連中は
 だいぶ震え上がってますが、
 まさか、また荒っぽいことをやろうって
 いうんじゃ云う訳じゃ
 無いでしょうな?」

「大和田さんよー、
 あんた俺に
 命令する積もりかい?」と梶田。

「いやいや、決して。
 そういう積もりはありません。」

「そうだろう。下手に逆らえりゃ
 アンタもタダじゃ済まねーんだ。
 なんせ五年前の例の一件。
 アンタも共犯だから、な。
 へぇはは、はは、、、」

これは脅迫の何ものでもない。
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画面は港を望む。

遠くに見えるのは港署か?

梶田の取り巻き輩たちは、
各商店に次々と嫌がらせを続ける。

窓を壊して、
店内の客椅子を、店外に放り投げ、
お鉢、皿を外に投げ壊す。
植木鉢も道に投げ壊す。

さらには店の従業員、店主に、
客への接待が悪いと
因縁をふっかけ、何度も殴り倒す。

駆けつけた港署の青田刑事と警官。
輩たちは町民に対して
暴言を吐き、警察に連行された。
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場面は、次郎の職場。

「えっー?何ですって」

「街じゃ、奴らの嫌がらせが
 また始まってるんだよ!
 噂によると
 梶田っていう男が、
 お前を殺すって言ってるようじゃないか?
 ええ?兎に角、
 工場にピストルの弾を
 撃ち込まれてからじゃ遅いんだあ。

 だから、早く出て行ってくれ!」と

横田社長(磯野秋雄)
兼工場長か?。

そこに、熱血ゴリが登場!する。

「社長さん、待ってください。」

「誰が何と言ったって、ダメだ!
 次郎には辞めて貰うんだ。
 街へ行って、奴等のやり口をよーく
 見てみるんだな!

 あたしゃ昔の事は知りませんがね、
 警察に
 どんなチカラがあるって言うんです?」

井上堯之バンド♫
「行動のテーマ」
即ちマカロニ行動のテーマ。

それを聞いて、
自分が住んでいたかつての街が
梶田たちの思いのままに、、、
どうなっているか確かめようと、
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走り出すゴリの爆走の、
バックに、ほんのちょっとだけ、
映る懐かしきあの車。

三年前の1970年に、トヨタよりも前に、
日産が初めて開発、販売した量産FF車だ。

当時のCFキャッチコピーは
「超えてるクルマチェリー」。
即ち、トヨタよりも超えている、ことを
印象付けたかった?。
さらには、当時では珍しい
トロピカルオレンジカラーのセダン。
これがメインカラーだ。
グレードは1400X-1

翌年、1971年に派生車クーペを追加。

グレードはX-1R
この車がこの回の映像で拝める。
その日産チェリークーペが走っている。
ほんの一瞬しか、映りません。

この車です。

筆者も大好きでした。
但し、運転席後部の左右が窓部分が小さく、
即ち
ドライバーから見える視界が少なく、
右左折の安全走行には難点があった。
よって泣かず飛ばすで終わり、
商業的に成功したとは言えなかった。

セダンとともに、
チェリー➡︎ チェリーF II➡︎ パルサーと
車名を変えた。
その後は平成になり、日産サニーが生産終了となり、
ティーダがその位置を受け継ぎ、同様に
パルサーの位置付けを受け継ぎます。
パルサーも時代から押し流されて、生産終了されたのだ。
現在ではティーダ、パルサーを統合し、
日産ノートにバトンタッチ。
ティーダは、沖縄の言葉で「太陽」を意味します。
サニーも、太陽の光のように、と云う意味ですが、
その意味合いを受け継ぎ、新時代の「太陽の光」を
日産は目指したのです。
つまり53年前の日産チェリーが、
現在の日産ノートの元祖と云えます。
この車を、太陽にほえろ!の映像で残している事は、
意味深い事です。しかも、この回の主役は、
一係の燃え盛る太陽の様な、男石塚ゴリなんだ。
水を掛けても、直ぐに蒸発する男。
直ぐにカッカし易い。この時ゴリは32歳。
ジーパンもそれを宥めるシーンも多くある。

チェリーとは、さくらんぼ。
このさくらんぼから捩って車名にした車。

そのチェリー発売から52年後に、
2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー
に輝いたのが、三菱eKクロス EVと共に
「日産サクラ」。
日本の国花さくら、を車名にした。
その日本の軽自動車が、三菱と共に、
日本カーオブザイヤーを受賞したのは初めてです。
車業界の日本レコード大賞みたいなもんです。
しかしながら、軽自動車は全世界をさがしても、
日本特有の車両パッケージなんです。
どの国でも、一台もおまへん。
インドで、日本の軽自動車よりも小さな車がありますが、
日本には輸入させていません。2023年現在。

皆さん、知ってましたか?
戦争に負けたことが、産み出した軽自動車なんです。
この国を復興するのは、自動車産業だ!とした。
各メーカーの開発者たち。最初はスバル。
スバル360でした。NHKプロジェクトXでも
取り上げています。
興味があったら、調べて下さい。
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また、トヨタの初めてのFF車は
トヨタ初代ターセル、コルサ。
これは1978年にトヨタが造った
初のFF(前輪駆動)車でした。
つまり日産は、
トヨタよりもFF(前輪駆動)車を、
8年前に早く成立させ、商品化させたのだ。
やはり技術の日産。販売のトヨタと
言われる所以が、ここにもあるのです。

初代トヨタターセル、コルサのCF
キャッチキャラクターは当時
今をときめく山口百恵を起用した。

◆大都会PART2では、
松田優作演じた徳吉は、
大の山口百恵ファンだという設定になっていた。
自室に百恵ちゃんの
ポスターを貼るなど。
のちに、松田は「赤い」シリーズで、
結婚前の山口百恵と共演する。
その山口百恵は筆者と同じ年産まれですが、
学年は筆者が一つ下。共に1959年産まれ。
百恵ちゃんも還暦を過ぎてます。
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爆走が行き着いた先では、

店の前で、壊れた皿の破片、残骸が
散らばり、掃除する店主。

そこにやってきたゴリを皆でシカト。
四面楚歌し、
ゴリがこの街にやって来た事で
店は損害を被った、と言わんばかり。

場面は、また変わり
来来軒でラーメンを注文する梶田組の幹部。

幹部を演ずるのは(岡部正純)。

食卓の下に手縫いに包んだ拳銃を持って行け、
と目がそう指示していた。

「組長からだ。
 失敗(しくじ)るんじゃないぞ。」

実は仕方なく厨房で、それを確認する。
殺害予定相手は、小西次郎なのだ。

ここで最初のコマーシャル。
ジーパン時代で、新たに作曲された、
井上堯之バンド♫
場面変更のジングル。
前話55話「どぶねずみ」で
初披露されている。
ここまで次回予告から21分32秒
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コマーシャル明け。
港署から、青田刑事に街で連行された、
梶田の舎弟チンピラ二人が釈放された。

ここにも、ゴリが突っ込んでくる。
チンピラには最早用はない。

昔自分が勤務していた
港署の対応にかなり憤慨のゴリ。

輩二人を左右に押し除け、
青田に対峙するが、

青田は、即座に
「やあ、石塚さん。
 昨日は参りましたよー。
 梶田の奴、あんなにすばっしっこい、とは
 思いませんでしたからねー。」

「やる気が無けりゃあ、
 尾行など出来るわけないさっ!
 街の暴力だってそおうだっ!

 何故、あんな奴ら。
 直ぐに釈放するんだ!」

「無理言わんで下さいよー。
 肝心の被害者が、
 非は自分の方にあるっつうんですから、
 法的に言ったって、
 どうしようもないでしょ。

 まあ、私たちに出来ることがあったら、
 いつでも言って下さい、
 それじゃあまた。」

「っーしっー!」
と、頭から怒り💢のオノが
突き出たゴリであった。

斉藤さんと、自分が居なくなった
港署は、何をやっているかっ!と。
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場面は、変わり純が見張っている
大和田のビル。

純の肩を、先輩石塚が叩く。
「ゴリさん。何か?」

「次郎んとこ、行ってくれ。
 梶田が動き出した。」

「でも、ここは?、、
 (どうするんですかー)」

次郎の護衛をしてくれ、とだけ言い残し、
ゴリは一番厄介な目標物、人に
たった一人で挑んでいく。

梶田を崩すには、
チンピラ取り巻きよりも、
無手勝流の突進でも、今なら
ゴリ自身で、
何とか崩せない手はないと感じる奴。

まずは、その大和田を突き崩すしか
方法の道はないと悟ったのだ。

場面は、大和田の事務所。
社長室の明かりの部屋をノックなしで
入っていくゴリ。

「おお。石塚さん。」

「しばらく会わない内に、
 偉くなったもんだな。」

◆社長室の椅子に、でーんと
座っているんだから、な?

「まあ、お座り下さい。」

「梶田、来なかったかい?」

「いいえ?
 また梶田さんが、あたしんところに?」

「おいおい、
 俺にそんな口聞くなよ。
 俺がこの街に来たのは、
 次郎を守る為じゃ無(ね)ーんだぞ。」

「あの時死んだ女だが、(俺は)
 梶田が消したんだ、と睨んでる。」

「なんで私にそんな事を、、」

「あの時、梶田が乗っていたのは、
 あんたのクルマだ!」

「ええ、そうですよ。
 私が、梶田さんに貸していたんです。
 ずーっと。」

「梶田も、そう言ってた、よ。」

「でも、俺の推理が正しきゃ、
 あんたも殺しの共犯だな?」

「楽しみにしてろよ、必ず
 その面(つら)の皮を
 ひん剥いてやるからな。」

井上堯之バンド♫
場面変更のジングル。
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場面は、変わり、
更にまた日が変わっている。
先程の夜のシーンから、
昼間のシーンに。

純は次郎のアパートに戻る。

ノックし、ドアを開けると、そこには
斉藤さんと、次郎とともに京子もいたのだ。

※また、あの犬の鳴き声が聞こえる。

「どうしたんですか?」と純が尋ねる。

「ーん。
 つまり事情が分かってしまったんだよ。
 街の噂でなー。」

と斉藤さん。

「はーーーん。」と頷く純。

京子は、信用しようとしていた次郎を
じっと睨んでいる。

「私怒ってるんじゃないのよ。
 でもどうして話してくれなかったの?
 私に隠してたの?」

「そりゃーな?、
 あんたが心配するから、、」と斉藤。

「心配だけじゃ済まないわー!
 ほっとけば殺されてしまうのよ。
 ねえ、次郎さん。

 あたしそれを聞いて
 すぐ荷物を纏めてお店を出て来たの。
 今からでも遅くないわ。
 逃げましょー!
 この街さえ出てしまえば、
 あの人だってきっと手出しはしないわ!」

「駄目だよ。今逃げ出したら、
 俺のやってきた事は、
 全部無駄になるんだ。」

「次郎さん!」と京子。

「あんた!」と純。

「黙ってて!」と京子。

「君!」と次郎。
「この人たちは、僕を守るために、、」

「知ってるわ。刑事さんでしょう?
 でも、貴方を守るなんて嘘!
 貴方を脅迫感の的にして、
 手柄を立てたいんだわ?」

「止めろ!馬鹿な事を言うんじゃない!」

「馬鹿なのは、貴方よ!
 英雄気取りでいるけれども
 殺されるのは、貴方なのよ!」

握り拳で、純と次郎の前に
その手を突き出す。
____________________

純は、何とか二人を宥めようと、

二人の顔を双方を見て、
こう言い出す。ゴリから聞かされて
知ったのだろう。

「10日前、次郎くんはね、
 生命保険に入ったんだよ。」と純。

「刑事さん!」と次郎。

次郎からすると、
◆何もここで云う事はない。
多分、京子には秘密で、結婚する証。
今後も末永く二人で生きていく証と、
次郎が入った生命保険は
次郎の確かな、結婚への意思表示。

純から見れば、
◆1000万円となると、掛け金は
当時工場員給与の1/3位は、
またそれ以上は
簡単に飛んでいく金額の筈。
しかし、
自分よりも、京子への愛を
引き留めたかったのだろう。

なのに、
京子と次郎の、今はこころの歪みが、
二人の愛を遮断していく事は、
純には我慢ならなかったのだろう。

こんな事で、次郎の言いたくも、
未だ言えず仕舞いの
昭和時代の口下手な男の想い。
それが解る、バンカラ気質の純は、
だから京子への、次郎の意志表示を
勝手ながら、代行したのだ。

ここで修正しなければ、
二人の心の歪みは尚も加速して
それこそ、これまで暖めてきた
愛の破綻に向かうかも知れない。

◆これも、
純の「情が厚き」男の
バンカラ行動熱の裏返し。
マカロニよりも熱い男気。
____________________

井上堯之バンド♫
「希望のテーマ、ジングル」
◆いつもなら山村が妻高子を思う、
心の描写に間奏されるテーマ。

そのストーリー渦中の、登場人物の
心の揺らぎを奏でる名曲です。

「受取人の名義を、君にして、だ!」

「そんな?
 どうしてそんな?
 いやよ。いやっ!
 あたし、お金なんて欲しくない!」

逃げるようにして、
被りを振って、部屋を飛び出そうとする。

「待ちなさい!」と斉藤。

ドアを開けた時に、
外で拳銃を構えた男に、ビックリ。

銃はしっかりと次郎を狙う。
純は、即座に
「危ないーっ」と次郎の盾になる。
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部屋内で2発。

玄関で2発発射。
銃声が響き渡る。

ゴリも、アパートの近くを接近中。
この銃声を、
その耳で掠め聞いた体育会系。

男は弟の実だった。
射殺に失敗して逃走。
アパートの階段を駆け下り、
一階でまだ5発目を発射。
ゴリも駆けつけた。

「おい、次郎は?!」とゴリ。

「大丈夫です。斉藤さんが
 付いてます。」と純。

そしてまた6発目をゴリに向ける。

「お前が実だろう?」

「オレは次郎を殺すんだ!
 姉ちゃんを殺したのはあいつなんだ。」

「違うんだ。お前は騙されているんだ!」

「五月蝿ぇーーっ」と
また7発目をアパートに向け撃つ。
それで、一目散に走り出す。

____________________

井上堯之バンド♫
「アクションのテーマM1」

ゴリと純は実を追跡。

港町の狭い路地から、続いていた道は
盛り場、飲み屋、スナックエリアだった。

今回は、純よりも
ゴリの体育会系の走りが速いのだ!
純はゴリに遅れないように
しっかりと追走する。
柔道部を、空手二段が追い掛ける。
____________________

何処かの店に、確かに
姿を隠した実。

入ったと思われる店をノックするゴリ。
また他の店にも、ドアを開けようとする。
そしてまた向かいの店にも。

「誰か、誰か見た者はいないのか!
 今ここに、拳銃を持った若い男が
 逃げ込んだ!
 放置すれば、危険なんだ!」

井上堯之バンド♫
「愛のテーマ1D」


「よーく聞いてくれっ!
 今から五年前、
 小西次郎の証言ひとつで、
 この街がどれだけ明るい街になったか?

 皆忘れたのかーっ!
 今誰かが、勇気を出さなきゃ
 また元の無法地帯に戻ってしまうぞ!
 それでも良いのかっ!」

「分かった!これが答えだな!
 しかし、よく覚えとけよ!

 もしも。
 もしも、これで次郎が死んだら、

 手を下したのが、誰であれ
 殺したのはお前たち皆んなだ。

 いいか!
 殺したのお前たちなんだ!」
____________________

一方、
梶田は手下の輩と共に
事務所で、酒を喰らいながら
ゴリを嘲笑う。

多分、逃げ込んだ店の近くに
輩たちが潜んでいて、
ゴリの哭き叫びを聞いていたのだろうか?

「デカの奴、どんな面(つら)してた?」と梶田

「えい!今にも泣きそうな面で。」

「腹減らした野良犬みてーな面して、
 引き上げて行きやしたでー。」

と言うのは、吉中正一(梶田組輩B)。
この方も、太陽!準レギュラー。

「そーか?」

「巧く行ったなー。実の1発で、
 街中の奴が腰抜かしやがった。」

「でも、次郎の奴
 まだピンピンしてやがって。」

幹部を演ずるのは(岡部正純)。

「馬鹿野郎っ。あんなガキ殺して
 何になるっ!」

「死のうが死ぬまいが、
 アイツ(次郎)に、(この街で)
 拳銃ぶっ放せば、それで良かったんだ。
 だから実みたいな、ど素人使ったんだ!」

「安心してねーで、
 実を探し出して抑えろ。
 これ以上暴れられると
 返って面倒だ。」

【あとは、あのデカどもを
 追っ払えりゃー、
 街は元通り俺のもんかあ】

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大和田と町の民は港署で、
管轄外の七曲署刑事が
この街で、捜査を続行していることに
抗議していた。

「まあ、此方の刑事さんが
 捜査しているなら、
 私たちは何も文句は付けませんが、

 しかしですね、

 管轄外の他所の署の刑事が
 我が者顔で街を掻き回し、
 一部のもの(次郎たち)を扇動する。

 これはどういう事ですか?
 こんな事が、公然と行われていて
 それで良いんですか?」

第一捜査課長の畠中清(高城淳一)は

「確かに問題はありますなーあ。」
「実はねえ、あの二人には
 手を焼いているんですよー。」
困り果てた顔。

「それを伺って安心しました。
 私たちにとっては、街の平和が一番
 ですからねー。」と大和田。
____________________

場面は、畠中は
ゴリと純を呼びつけて、、

「平和?
 暴力に支配された平和ですか?
 そういうのを平和って言うんですか?
 この街では?」と純は、
ゴリに先立って抗議する。

「君の意見を聞いている暇はない!」と
畠中第一捜査課長。

「兎に角な、この街の事は
 我々がやる。」

「やる?どういう風に、、」と純。

「黙れ!」
「兎に角、君たちのやっている事は、
 職務を逸脱しとる!
 明らかな違反行為だ。
 直ちに自分の職場に戻りたまえ!」

「しかしねーっ」と言いかける純。

「ジーパンっ!」と、それを止めるゴリ。
____________________

井上堯之バンド♫
「青春のテーマ 夜明け」
これは、この第56話で
このシーンで初披露された。

「ゴリさん!」

「警察官として、これが限度だ。
 負けたんだよ。残念ながら、な。」

これを見る青田刑事と港署の刑事たち。
ゴリ、純には挨拶も、お辞儀もしない。
その場を離れる二人。

署からの帰り、

梶田の外車とすれ違う。
「梶田っ」とゴリ。

その梶田が、商店街を訪れ、
外れにある梶田組の事務所に戻ろうとする。

その時、商店主たちは、皆出迎えの挨拶。
新しく「梶田組事務所」の看板が
掲げられていた。

「お帰りなさい」
「お帰りなさいまし!」

「またこの街で暮らすから
 皆よろしくなっ!」
「おう!宜しく頼むな!」

梶田組の事務所前では、
「お帰りなさい。」
「おおう!」
____________________

場面は、夕方の港を望む。

純とゴリ。

「ゴリさん。
 本当にこのまま帰るんですか?」

「お前はな?」「あはーあ?」

「オレは警察官である事を
 辞める。」「ゴリさん!」

背広の内ポケットから
「辞表」を出した。

いつの間に書いたのか?
ひょっとして、みさきに出掛ける前に
事前に
認(したた)めていたのか?

「コイツをボスんとこに、
 届けてくれ。」

純はそんなゴリに背を向け、
身体でゴリを避け、海を見て拒否をする。

◆これは、太陽!流の台詞なしの演技。
これを松田優作は演じる。
____________________

井上堯之バンド♫
「別離のテーマ」

「俺はな、ジーパン。
 休暇届だけで、この仕事が
 片付くわけがないと思っていた。

 こいつは覚悟の上だ。頼むよ。」

「待って下さい。

 次郎君は、きっとこの街を出ますよ。
 さっき港署に行く前、
 彼がポツンと漏らすのを聞いたんです。
 ここにはもう住みたく無くなった、って。」

京子の意志を汲んでいるのだろう。

「そうか、そうだろう、な。」とゴリ。
「命懸けで守ろうとした、
 街に背を向けられたんだからな。」

「それでも、
 コレを出すんですか?
 梶田がこの街を出れば、、。」

純の言わん事に
次のゴリの台詞がかぶさり
聞き取れない。

「死んだ梶田の女。
 つまり実(みのる)の姉さんの事なんだかな、
 あの女を殺したのは、
 実はオレなんだ!」

「えっ?」

「女は死ぬ何日か前、
 俺と約束をした。梶田の悪事を
 洗いざらい全てぶちまけるとな。」

「しかし怯えていた。つまり
 秘密を知りすぎていたからだ。」

「しかしその時から梶田は
 女から片時も目を放さなくなった。
 そしてあの事件が起きた。
 女の口が封じられたために、
 梶田の刑は軽かった。」

ゴリは五年前の、そのことに責任を感じ、
純に、こう言う。
「もう一度、あいつをブチ込むためなら、
 俺は何でもする。」

「解りました。」と純。
辞表を受けとり、波止場を去る。

◆しかし、純は署には帰らず、
そっと、裏からゴリの後方支援をする。
必殺後方仕事人に、徹していく。

先輩ゴリを、
ここで辞めさせたくないから。
しかしながら、
先輩に何かあったらば、
この俺が容赦しないと、
男柴田の熱き男気が、ここでまた。

◆またゴリが書いた辞表はこれが三度目。
一年後、テキサス時代の名作、
第118話「信じ合う仲間」で
提出した辞表が四度目。
お茶くみ二代目、浅野ゆう子が初登場した回です。

これまでの辞表は全て
引き出しに仕舞っている鬼藤堂。
ボスも、ゴリには辞めてほしくない事は
これで明らかである。

ここで、35分09秒経過。
第二コマーシャルに入る。
第二ステージはこれまで。

最終の第三ステージは、
退職届を純に預けた、
体育会系ゴリが、
無手勝流で武器も持たずに、
最後のみさき街で、
たった独りで、立ち向かう。
熱き怒りの爆進に向かう件(くだり)です。

ストーリー最後に、
この話の登場人物名に絡む蘊蓄話を、
付録として巻末に
付けますので、お楽しみに。
尚、56話ストーリーとは無関係ですが、
73年の名作を参考にしたと
思えますので、筆者の推察を書きます。

10591字


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