【時事抄】 Suicaの落日? 頑張れ日本生まれの電子マネー
二次元コード式のキャッシュレス決済が急速に普及しはじめ、Suicaや楽天Edyに代表される「前払い」前提の電子マネーが岐路に立たされているそうです。VISAやMasterといったクレジットカードは海外大手に牛耳られ、最近も不正を疑う事件が報じられています。健全な競争を促すためにも、がんばってほしい。個人的にそう願っています。
日本経済新聞に掲載されていた記事を見てみます。
<要約>
QRコード決済の普及に押され、交通系ICカード等の電子マネー決済が退潮気味だ。Suicaや楽天Edy、WAON、nanakoといった事前に現金をチャージして使う決済サービスは、キャッシュレス決済普及の一翼を担ってきた。これが足元で変調をきたしている。
日銀によれば、4月の決済金額は前年同月比5%減の5050億円、5ヶ月連続の減少だった。
交通系で交通事業者の場合、熊本市と熊本県の交通事業者は交通系ICカードから離脱を表明した。
流通系も勢いは鈍っている。nanakoを運営するセブン・カードサービスでも取扱高の減少傾向が続き、25年3月期に前年比1割程度の落ち込みを見込む。
政府公表によると、電子マネー決済においてQRコード決済が22年に電子マネーを決済額で逆転し、23年のQRコード決済額は10.9兆円と電子マネーの6.4兆円からさらに差を広げる。背景には、PayPayなどQRコード決済事業者がポイント還元キャンペーンを展開して個人店での普及を進めた。
クレジットカードも巻き返しを図る。端末への差し込みではなく、かざして支払える方式への移行を進め、使い方は電子マネーと大差なくなった。25年の大阪万博を控え、訪日客対応を念頭に関西では交通事業者がクレカ決済導入に舵を切り始めた。
維持コストが相対的に高い電子マネー決済は、決済機器の撤去が交通事業者以外にも広がる可能性がある。国際カードブランドに対抗し、国産決済システムである電子マネーが存在感を保てるか、岐路に立つ。
(原文1283文字→646文字)
クレカやQRコード式のキャッシュレスでは、大々的に展開した還元キャンペーンの成果が、利用率の変化を促した起爆剤になったと思われます。金額ベースで見た場合、高額商品の決済にはクレジットカードを利用するケースが圧倒的に多いので、下のようなカード決済額が圧倒的というグラフができあがります。
とはいえ、飲食店やコンビニのような1000円弱の決済にクレジットカードを利用する人は稀。決済金額にとらわれずに利用回数だけを比べれば、電子マネーやQRコード決済もクレジットカードとほぼ互角と思われます。
国内で代表的な電子マネープラットフォームである「交通系ICカード」は今、巻き返しに取り組んでいます。が、方向性が違う、と個人的には懸念しています。JRとその関連各社の交通・宿泊の利用をさらに促す方向への機能強化が進んでいるためです。大手家電メーカーが要らない機能を増やし続けて差別化を図ろうとしてガラパゴス化した姿に重なります。
国産プラットフォームとして普及した交通系カードには、いちいちQRコードをかざしたりバーコードを読み取らせたりといったことなく、端末にサッとかざせば決済が完了するスピード感がピカイチという便利さがあります。事業者が配置する端末の反応速度を早めたり、端末機の価格を下げてさらに普及を後押しする。自身の強みを強化する方向にむしろ力を入れてもらいたいですねえ。JRさん、頼みますよー。
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