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台湾で知る「この生活が楽しい」と言える仕事術

評判の良いイタリアンレストランにふらっと入ったら、びっくりするくらい美味しかった。海のそばの田舎町、小さな個人店。学生の娘さんとお母さんがウェイトレス、お父さんがシェフの家族経営だった。
味付け、魚介の香ばしい焼き方のテクニック、盛り付け、全部が一流の風格。

客が私1人だったので、翻訳アプリで沢山会話した。

シェフ歴45年とのこと。台北の五つ星ホテルに勤めていたそうで、ホテル名を聞いて「おぅ、凄い(*⁰▿⁰*)」となった。
お父さんは恥ずかしがり屋だそうで、遠巻きに女3人のおしゃべりを見ている。

「こんなに美味しいから、もっと宣伝してみては?観光客も来ると思う」(お世辞じゃなく日本より美味しい)との私の提案に、お母さんは「今のままで満足。アットホームに、来た人をもてなすのが好き。夫とお店をやっているのが楽しい。夫はもう63歳で、本当は体力的に辞めたいみたいだけれど、私が頼んで続けてもらっている」とのこと。

お母さんは20年の独学でデザート作りをして、お店にも出している。朗らかで気さくで若々しい。
本当に人生の喜びとして、こじんまりとお店を続けているのだと分かる。
お母さんも言っていたが、田舎にしては価格が高めで敷居も高いが、絶対に手を抜かない安心感が凄い。

その後お父さんに呼ばれて、見るからに完璧に整えられた厨房へ。
今作ったというスープの試食。気心が知れてきたのか、お父さんも中国語で色々話してくるようになった。イタリアから取り寄せた食材の説明、作り方のこだわり。
最後はご両親の馴れ初めまで聞いてしまった。照れながら語ってくれた。

楽しいひと時だ。

こういう働き方って、出来そうで出来ないものだと思う。
本当に楽しんで仕事ができるような人生を、私も送りたい。

追記。お店の近く、お母さんオススメの夕陽の海を前に、バイオリンの路上生演奏を聴きながら書かせていただいてます。台湾の良さが沢山詰まった情景にも感動。

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