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7月総括

5月20日、台湾で新総統が就任した。私はちょうど帰国日で、チェックアウトの12時まで部屋で就任式の生中継を見ていた。前日、大きな軍事ヘリコプターが隊列を組んで台湾の巨大な国旗を掲げて台北市内を巡回していたのを目撃したこともあり、とても貴重な瞬間に立ち合わせていただいていると感じた。

5月23日、軍事演習と称して中国軍により空と海から台湾が包囲された。
中国との関係において、台湾と遠からぬ状況にある私含め日本での周りの反応として、驚くというよりも〝特に今更…〟とも感じられた。

しかし世界から見ると、これは大変な事態だったことに気付く。
それは翌月6月、再度台湾に行った際、桃園空港のあの〝長蛇の列〟の入国審査に誰も並んでいなかったのである。
通常なら少なくとも30分は待たされる大行列、前月台湾総統就任式の前の週に台湾入りした際にも、相変わらずの長蛇の列だった。並ぶのが嫌で、知り合いの所まで行って列に割り込む中国人観光客も見られた程だ。(文化の違いである。みな怒らないでやり過ごす。)

今回、先月(6月)の変化がただの偶然だったのか、それともすでに決定的なフェーズに入ったのかを検証したい思いもあった。
だから、7月前半の桃園空港の入国審査において、相変わらずのガラガラぶりに少なからずショックを受けた。
これは、毎月台湾に通っているから肌身に感じられる変化であって、ごくたまにしか来ない人には通じないかもしれない。

そして7月後半、日本への帰国便がかなり空いていた(今まではほぼ満席で、隣の席が空席ということは1度も無かった)ことに、何か感じるものがあった。
私は中央3列シートの通路側を予約したが、隣り2席は空席。後ろも2席分空席、前と斜め前の列は誰も座っていない。全体で見ても、座っているのは半分くらいか。

奇しくも飛行場に来る前、台北の圓山大飯店(有名な豪華ホテル)でランチをした際、隣のテーブルにいた、旦那様が中国の上の方のお方と想像がつく中国人のご婦人と偶然仲良くなり、結局同じテーブルで当たり障りの無い会話を楽しみながら食事を共にしたばかりである。私の拙い文章では到底表せないが、彼女の話ぶりでその場にいなかった旦那様をありありと想像できる程だった。

どんな言葉を使えば良いのか分からないが、本当に、かなり、厳しい。

飛行機が桃園空港を離陸する際、まだ書ききれていない様々な事と共に感傷的な気持ちになり、目頭を抑える。周りに誰もいなくて良かった。かなり怪しい人だ。

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