スパイダーマンのマスクの裏側の裏側の男、フォーリーアーティスト、Gary Heckerに会う。

こんにちは、前回に続いて、勝手にサウンドデザイン記事の翻訳化していきます。

今回は、スパイダーマン映画シリーズのほとんどを手がけている、フォーリーアーティストであるGray Hecker氏のインタビュー記事です。

スパイダーマン映画は僕も好きなシリーズなので、ぜひ読みたいということで、翻訳記事になります。お楽しみくださいませ。

元記事
「Meet the Man Behind the Man Behind the Spider-Man Mask: Foley Artist Gary Hecker 2019 - 7 - 30 」

原著はこちら

原著: Jennifer walden 

「SpiderMan:Far From Home's」 フォーリーアーティストGary HeckerはSonyピクチャーズポストプロダクションサービスのアワード受賞者で、2002年の名作、「スパイダーマン」をはじめ、2004年の「スパイダーマン2」、2007年「スパイダーマン3」、2017年「スパイダーマン ホームカミング」そして、2018年「スパイダーバース」にフォーリーアーティストとして参加している。

6作品も関連映画を手がけている彼ほど、スパイダーマンの音を理解している男はいません。

そんなHecker氏と共に、スパイダーマンシリーズへと旅立ちましょう、そして、彼の手法のどこが長年に渡って進化し、そして、どこが同じであるか探っていきます。

彼がスパイダーマンのキャラクター長年に渡ってフォーリーしていく中で感じたことについて話してくれました。

彼は、一番新しい劇場版映画である「Spider-Man:Far From Home」での、フォーリーサウンドデザインが画面上に命を吹き込む上でどんな役割を果たしたのかについて議論してくれました。

S&P: Garyさん、新しいスパイダーマンシリーズの全てを手がけていますが、年月を重ねるなかでどんな手法を使ってきましたか?

Gary Hecker(GH): 初代映画スパイダーマン(2002)の時から、全ての映画において、自分自身にとっても挑戦を重ねてきました。最新のスパイダーマン(Far From Home)では、入念な作り込みをしました。スーパーバイジングサウンドエディターのSteven Ticknor氏、それから、スーパーバイジングサウンドデザイナー兼レコーディング担当のTony Lamberti氏、それから編集ミキサーのKevin O'Connell、私のフォーリーミキサーであるKyle Rochlin氏たちとは、最高の仕事をすることができました。美しく、そして、見事なサウンドのために、メンバー全員が綿密協力するように努力しました。

S&P: スパイダーマン映画で、絶対に外せないフォーリーの要素は何ですか?長年に渡って、変わらない要素はありますか?

GH: そうですね、スパイダーマンの足音と動きは特徴的な音だと思っています。スパイダーマンの動きは、走ったり、跳ねたり、着地したり、飛び上がったり、たくさんの音があります。あなたもイメージできると思いますが、スパイダーマンは、ビルの窓やガラス、金属のポールとか船とか橋とか壁とか何にでも着地します。それらの全ての音のテクスチャ感を変化させることで、リアルで独特で魅力的なサウンドになります。スパイディーの手の動きにも注意を払って演じます。

スパイダーマンの手や体の音や、蜘蛛の糸の音などを全て違ったテクスチャにして重なると、めちゃくちゃカッコ良いサウンドになります。

全てのレイヤーと質感をスパイダーマンと一緒に楽しんでつくりました。ヘトヘトになるまで細部にまで集中して取り組みました。

S&P: アニメーションのスパイダーマンである「スパイダーバース」と実写の「スパイダーマン」で違いがありましたか?

GH:めちゃめちゃ違いました。スパイダーマンシリーズの何がめちゃくちゃカッコいいのか、初代スパイダーマンから彼の特徴を研究しました。私はどんな風に彼の音を演じればいいか分かるようになりました。少しでもそれぞれの映画より良い作品になるように、細部にまで取り組みました。

本当の意味でのアニメーション作品である「スパイダーバース」だけは違いがありました。CGとADRボイスを使っているからです。

制作の過程で、音が何もないので、全ての音を作らなくては行けなかったからです。音楽、サウンドエフェクト、サウンドデザイン、フォーリーなどの工程がありましたが、フォーリーは特に重要な工程になりました。

アニメーションのためのフォーリーも手法は実写と変わりません。私は、何も書いてないキャンバスを持ってフォーリーステージに向かいます。私は映像に沿って、手を使ってフォーリーをして、それぞれのサウンドレイヤーを入念に書き込まないといけません。

アニメーション映画では、プロダクショントラックがないので、実写よりもフォーリーが大変になります。

アニメーションでは動きがほとんどない時があります。(また、アニメーションの初期の段階は動きがギクシャクしていることがあります。)実写と比べてアニメーションのためのフォーリーを演じるのは少し奇妙な感じがします。

S&P: 最近のスーパーヒーロー映画のVFXは向上しているのが見て取れますが、破壊行為を全て作るのは現実的じゃありませんよね?しかし、スーパーヒーロー映画にとってフォーリーはなぜ重要なのでしょうか?

GH: ヒーロー映画に求められる象徴的なサウンドは、それぞれのヒーローによって違います。私は、バットマンやスーパーマン、スパイダーマン、ワンダーウーマン、アクアマン、フラッシュなどに関わってきましたが、ヒーローによってそれぞれ象徴的なサウンドは異なります。私は、あなたが、目を閉じていてもヒーローが画面上にいるかいないかを分かるようなサウンドをつくることに取り組んできました。

それぞれが独特な質感でかつ象徴的なサウンドを持つように心がけて、フォーリーステージに向かっています。

S&P: スパイダーマンのようなキャラクター何度も取り組んできたキャラクターの場合、同じ小道具を使っていたりするのですか?スパイダーマンキットを持っていたりします?

GH:はい、スパイダーマン映画用のキットがあります。スパイダーマンには特定の音があり、大部分は変化していません。映画シリーズの中で変わっているのは、スパイダーマンが接触しているものです。スパイダーマンが活躍すると、足、手、拳、蜘蛛の糸などが物にあたりますが、全てのサウンドは似ているようでそれぞれ違った音を持っています。

全体的にスパイダーマンは軽くてステレスに聞こえます。それぞれの作品の監督は、どんな音を響かせたいか異なるビジョンを持っています、ほとんど同じです。ホームカミングの時に初めてJonWatts監督にあった時、スパイダーマンのサウンドは忍者っぽくしたいといっていました。

S&P: Far From Homeではどんな挑戦がありましたか?

GH: Far From Homeでは多くの挑戦がありました。もっとも挑戦的な映画の一つになりました。

Rock Monsterのシーンのオープニングはチャレンジになりました。サウンドスーパーバイザーのSteven Tivknorは、早い段階からやってきて、私のチームに映画を通して、全ての異なるクリーチャーに特定の要素を持つように伝えていました。そして、Rock Monsterは私にとって最初の大きな試練となりました。岩が互いにぶつかりあうなどの岩の動きを考慮する、さまざまな岩の効果の層を設計して作成しなければなりませんでした。 Rock Monsterは巨大であるため、この巨大な生き物の音を作成する必要がありました。 私はRock Monsterの動きを絵と同期して演技しなければならず、巨大で爆発性の岩と中程度の岩、そして汚れた破片が重なった層の細かい岩を重ねました。

これらの音を実現するために、様々なマイクを使って録音しました。一つ目は、Sanken C-100kです。多くの音を最高の形でとらえてくれます。これは、「Far Frome Home」の大きな特徴的なポイントとなりました。Omnidirectional condenserマイクは、 20 Hz〜100 kHzの周波数範囲を持つ全方向性コンデンサーマイクです。これは驚くべきことです。 おそらく、その範囲の唯一のマイクです。 素晴らしい結果が得られました。

これらのレイヤーを重ねた時、最後には満足が得られました。これらをサウンドデザイナーやミキサーに届けた時、フォーリーアーティストとしてのやりがいを持ちました。

Water Monsterのフォーリーも担当しました。巨大な腕が動く様子を表現するために、様々な水の音を録音しました。我々は、攻撃的な動きの腕を水越しに録音しました。ホースから出る水の速度を変えたりしながら何層にも録音を行いました。また、大きな丸いプラスチック製の容器を使用して水にぶつけて水に沈め、かっこいいプラグインを作りました。それをサウンドトラックとして並べた時には、非常に強力なサウンドデザインを行うことができました。

S&P: Water Monsterや Rock Monsterは完全なCGですが、フォーリーの最後の工程でどんなことをしましたか?また、VFXが出来上がると共に、追加でフォーリーを行うことはありましたか?

GH:  フォーリーは、映画にとって大きな役割を持っています。 これらのCGのキャラクターはそれぞれ異なったフォーリーサウンドを求められていました。  これらの大きな生き物は、彼らがしていることと一致するために、写真と同期して動きを持たなければなりませんでした。 それはすごかった。 サウンドデザイナーとサウンドエフェクトチームを支援しました。 私たちは皆、一緒にそれに取り組みました。

さまざまな種類のフォーリーロック、破片、および汚しを何層も重ねました。 画像の変更があった場合、サウンドエディターはその素材を使用して必要に応じて調整や変更を行います。

S&P: 「Far From Home」のフォーリーは他にどんなをしましたか?

GH: ほとんどのスパイダーマン映画は、説明的です。今回のスパイダーマンも例外ではありません。何が起こっているのかを語っていきます。しかしながら、一つ違ったのは、スパイダーマンの宿敵のための象徴的な音がたくさん存在したことです。

一つは、Mysterioのヘルメットです。ガラスのヘルメットを象徴的な音にする必要がありました。私は、花瓶を探して、泡のそこへと沈め、ポップオフサウンドを作りだしました。それをミキサーのkyleが一オクターブ下げて深みのある音へと変形させました。

スーツケースの上にあるガラスの花瓶と共鳴するライフルと銃のコックを使用して作成したヘルメットキャッチと機械的な取り外し音を取り入れました。 それは、大きな、ガラスのようなポップオフサウンドとなりました。

Mysterioもまた鎧をしている。飛び上がると鎧からは轟くような音がする。音楽に負けないくらい十分に迫力のある音にする必要がありました。

私が作ったもう一つのフィーリーサウンドは、トニースタークがスパイダーマンに渡したアベンジャーグラスでした。スーパーコンピュータに接続されたこのグラスは、ドローンを制御したりできます。劇中、何度も取り上げられるアイテムなので、リアリティを持つような音を作る必要がありました。

プラスチック製と金属製のフレームを組み合わせて、何度もレコーディングを繰り返しました。

また、スパイダーマンの忙しさと同じくらい、大変忙しい映画だったので、ドローンにしがみついたり、爆発したり、飛び乗ったり、それらを全てカバーする音が必要になりましたので、それは大変な作業でした。

S&P: ドローンの音はどのように作ったのですか?

GJ: 異なる破片の金属とプラスチックでできています。ドローンの旋回の音は一つとして同じ音はありませんでした。我々のホーリーステージには、9種類程度の金属があり、ほとんどはそれを楽器のように使って構成しました。

映像の動きに合わせて、異なるパターンを作り出しました。

S&P: 劇中、スパイダーマンは異なるスーツを来ていました。

GH: Night Monkeyスーツは、特別なスーツです。舞台裏には切るスーツがありましたが、本番ではスーツを来てませんでした。彼はナイロン製のスーツをただ来ているだけでした。とてもコミカルなシーンでした。彼は戦闘スーツ用のゴーグルを着用しており、ラッチ機構の音と小さなサーボ音がありました。

S&P: スパイダーマンの靴について、 スパイダーマンの足音を演じる時は何を履いてますか?

GH: スパイダーマンの足音に関しては、様々な意見がありました。スパイダーマンは合成ゴムのようなブーツか、ナイロンのブーツを履いているかで少し違います。

蜘蛛男の足音を考えるは、少しトリッキーな話です。しかし、スパイダーマンの足音は軽くかつ、観客にしっかりと届く絶妙なラインを考える音をデザインする必要がありました。

そこで、初代のスパイダーマンから、サウンドスーパーバイザーや監督と協議の結果、とてもいいゴートペアを使うようになっています。本作でも、こちらを使っています。

S&P: Far From Homeでお気に入りのフォーリーを使ったシーンはありますか?

GH: 全部ですね!今回の作品では、クリチャーの音作りにとても多くの時間を費やしました。これらのクリーチャーたちのサウンドはどれも気に入っており、複雑で、細部にまでこだわって作りました。

S&P: 最後に、Far From Homeのフォーリーを通して、紹介したいことはありますか?

GH: スパイダーマンシリーズを最初から一貫して取り組めたのはとても素晴らしい機会になりました。フォーリーアーティストとして、スパイダーマン映画に関われたことはとても特別な機会となりました。

偉大なサウンドチームと制作チームの皆様のおかげで素晴らしい作品が公開できました。

ソニーピクチャーズとマーベルスタジオの皆様には、このような機会を与えてくれたことを感謝いたします。僕のキャリアにとって、最高の瞬間になりました。

S&P: 今年のハロウィンはスパイダーマンにドレスアップしますか?

GH:  それを本当に知りたいのかい?そこら中に蜘蛛の巣を飛ばしちゃいまっせ。

S&P: キャラクターになりきって、演じるフォーリーはパフォーマンスアートですね?

GH: その通り!それは間違いなくパフォーマンスベースのアート形式です。 私はこれらすべてのスパイダーマン映画に取り組んできたのは、運命的なことです。 スパイダーマンのさまざまな映画に取り組んでいるさまざまなスタッフがいますが、私はそれらの多くに取り組んできてとても幸運です。 それが私の運命であり、物事が決まった方法であり、この素晴らしい機会を持つことはクールです。 これが私のキャリアの中で実現したことは本当に嬉しいことです。

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Meet the Man Behind the Man Behind the Spider-Man Mask: Foley Artist Gary Hecker 2019 - 7 - 30

原著はこちら

原著: Jennifer walden 

翻訳: Taito Otani

Twitter: @Uctaito
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