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【エンタメ横断ニュース】小栗旬の事務所が初のファン感謝祭、東宝の出資・買収、伊藤忠商事がおぱんちゅうさぎを海外展開(24/10/20)

こんにちは!マンガIPのライツを担当している村田です。

今週は下記の6つのニュースを紹介します。


トライストーン初の“ファン感謝祭イベント”

ニュースサマリ

芸能事務所のトライストーンが初のファン感謝祭イベント『Tristone Fan Fes 2025 〜UNDOKAI〜』を2025年3月15日さいたまスーパーアリーナにて開催する。
小栗旬・田中圭・綾野剛・清塚信也がそれぞれキャプテンを務める4つのチームに分かれ、チーム対抗戦で運動会を行う。

分析、所感

トライストーン事務所の所属タレントがほぼ参加ということで、よく日程を合わせられたなという感想です。若手、中堅、ベテラン含めて出演してて本当にすごい。(前職の芸能事務所のファンクラブ運営していたので、様々な調整の大変さが余計に分かります)

コロナが収束を迎え、音楽ライブ含む有観客イベントは戻りましたが、芸能事務所でこのような一致団結したイベントを実施できるところは少ないでしょう。社長の小栗旬さんの掛け声によって事務所総出で実施できているのかなという印象です。

グッズも販売するとのことで、アディダスでしっかり作っているところ、準備も必要なので企画自体は前から練られていたのではないのでしょうか。

また、私は芸能事務所のアカウントを運用していたのですが、事務所のアカウントのフォロワー数を伸ばすのって本当に大変なんですよね。ファンからすると追っているタレントの個別SNSを追えばいいので、事務所のアカウントはフォローする必要はないので・・・。

そんな中、イベントだけのXアカウントを作って、フォロワーが既に1.5万人いるのはトライストーンという事務所のブランド、各タレントのパワーを感じます。前職ではタレントのイベントTシャツの着画像、サイズを発信していましたが、トライストーン大運動会はタレントを活用したどのような発信をするのか注目。

配信はしないそうですが、PPVすれば売れそうなのでなぜそうしたのか気になるところ。また、この1回きりのイベントなのかも気になりますね、

ドコモ、Webtoonスタジオ運営のMUGENUPを完全子会社化

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NTTドコモはMUGENUPの全株式を取得し、MUGENUPはドコモの完全子会社となった。
MUGENUPは、デジタルコンテンツの制作受託、制作管理ツールの開発とSaaS展開を手掛けるコンテンツ制作スタジオ。タテヨミコミック制作スタジオ「MUGEN FACTORY」を運営。
ドコモのオリジナル出版レーベル「weavin(ウィービン)®」にて、『運命の相手は上司だった』『異世界転生したら、推しの敵役のメイドになりました』をはじめとする作品も制作している。

分析、所感

ドコモの2020年のアニュアルレポート、2023年度決算及び2024年度業績予想を見て、個人的にはあまりエンタメ事業を重視している印象ではないのですが、IPビジネスに力を入れていくということなんですね。

プレスリリースを見てもIPビジネス強化への意気込みを感じます。

今回、MUGENUPの完全子会社化により、オリジナルコミックの企画・制作機能を強化することでIPの創出をさらに推進していきます。制作したオリジナルコミックは、「dブック」をはじめとするさまざまな電子書籍配信プラットフォームで提供するだけでなく、オリジナルコミックを原作とする映像制作および映像配信プラットフォームでの提供も行っていきます。また、ドコモの各種サービスと連携した取り組みなども行っていくことで、ドコモのIPビジネスのさらなる拡大をめざします。

ドコモがやりたいことは明確で「dブック」のオリジナルIPを強化、「dアニメ」や「Lemino」も連携して映像化してIPビジネスの上流から下流までやるぞ!ってことです。

注目したいのは通信会社がIPビジネスのタネ(=原作)を育てようとしている業界地図の変化。ドコモがエンタメコングロマリット化しようとしている動きは追いたいですね。

Netflix、ニューヨークにイカゲーム2の体験施設オープン

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Netflixのオリジナル韓国ドラマ「イカゲーム」のシーズン2の配信開始を控え、ニューヨークに同ドラマの体験型エンターテイメント「Squid Game: The Experience」をオープン。
会場には韓国のスナック類を味わうことができる「ナイトマーケット」、イカゲームをテーマにしたさまざまな商品や衣類を販売する「イカマート」、米最大規模の韓国系スーパー「Hマート」のポップアップストアもある。
今月中にスペイン・マドリード、12月にオーストラリア・シドニー、来年初めに韓国・ソウルに「イカゲーム」の体験空間をオープンする計画。

分析、所感

上記リンクが公式サイトなのですが、見たところ期間限定なので常設ではないみたいですね。チケットは29ドルからで、VIPもあって45ドル。ディズニーランドみたいに課金すれば早く乗れるみたいな課金の仕方ではなく、VIPエリアを用意しているのが面白いです。

Netflixは「Netflix House」という体験施設を作ることを発表していて、リアルなエンタメ体験も力を入れ始めています。

実は、すでに25都市で50以上の体験施設を立ち上げているNetflixですが、今回の「Squid Game: The Experience」もその1つでしょう。個人的には、常設施設をやるためのデータ集めと検証を繰り返し、最終調整中なのかなと思います。

東宝、コミックス・ウェーブ・フィルムの株の一部を取得。北米配給会社GKIDSを買収。

ニュースサマリ

東宝は映画「君の名は。」や「すずめの戸締まり」などを製作したアニメーションスタジオ、コミックス・ウェーブ・フィルム株の一部を取得。創業者の川口典孝会長から申し出を受けた。取得株式数は45株で、取得比率は6.09%。
また、北米でスタジオジブリの作品など日本アニメを配給するアメリカのGKIDSを買収すると発表。東宝の米子会社のToho Internationalが2025年2月期中にGKIDSの全株式を取得する。買収額は非公表。

分析、所感

今週のビッグニュースですね。まず、コミックス・ウェーブ・フィルム株の一部を取得。そして、北米の配給会社のGKIDSを買収。

ジャーナリストの数土さん曰く、GKIDSは宝のような会社とのことで、東宝が経営陣に信頼されたのだろうということです。

この前の決算説明会によるとGKIDSからの申し出とのことなので、数土さんの仰ることはその通りなのかもしれません。コミックス・ウェーブ・フィルム然り、東宝は映画・アニメ業界のプレイヤーから一定の信頼を得ているのが分かります。個人的にはサイバーエージェントの藤田さんもBABEL LABEL、ネルケプランニング、ニトロプラスとエンタメ企業からの買収の申し出があり、近いものを感じます。

東宝の2025 年2月期第2四半期 決算説明会のノート付き資料、今回の出資と買収について細かく書かれているので是非読んで頂きたいのですが、コミックス・ウェーブ・フィルム、GKIDSの買収についての松岡社長のコメントをそれぞれ抜粋します。

われわれは長きにわたり、こちらの会社と製作・配給でパートナーシップを組んできましたが、今回の取り組みによって、連携がさらに強固なものとなって、われわれが一緒にさらなる高みを目指していけるように、そのようなかたちでパートナーシップを強めていきたいと思っております

そして私どもは、この GKIDS が東宝作品を扱う会社と認識されるのではなくて、数々の素晴らしい日本を中心としたアニメ作品が海外で展開するために、GKIDS という会社が選ばれるように、それもこれまで以上に皆さんに信頼していただけるように、われわれはサポートしていかなければならないと考えています。ぜひ、日本のアニメ関係者の方たちが、海外で皆様の作品が展開される際に、GKIDS を、あるいは東宝を信頼してくださり、架け橋のような存在になれることを、われわれの目標にしたいと思っています。

他にも決算説明から気になるところは下記抜粋しますが、アジア地域における拠点をシンガポールに作り、今後はヨーロッパ、中東、アフリカの事業展開を目指すとのこと。

現在、アジア地域における拠点をシンガポールに構築中です。また、今後は EMEA(Europe、the Middle East、 Africa の頭文字をとった略語)などでの事業展開も目指していきます。こういったネットワークを構築していく理由は、ア ニメやゴジラの作品を販売するということだけではなく、マーチャンビジネスやゲームビジネスも多角的にやっていこうという目標があるからです。つまり、IP 展開のために必要なインフラを整えていこうと。そのために、われわれは投資をし、その投資が将来成長につながると考えています。 視察している地域の中でも、例えばインドなど、これから必ず成長すると思われる、しかし日本のアニメ、IP の存在感がま だまだ小さい地域もあります。そういった地域は、われわれにとっても、いわゆる伸びしろなのではないかと思います。

ことアニメに関しては海外はCrunchyrollにマスターライセンスするのが多数ですが、いずれ東宝の海外子会社の「TOHO ○○○」とかにマスターライセンスする時代もくるんじゃないかと思っています。

伊藤忠、「おぱんちゅうさぎ」海外展開

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伊藤忠商事は、キャラクターライセンスビジネスを拡大し、5年後に関連商品などの流通総額を年1千億円規模に広げることを目指す方針を明らかにした。
「おぱんちゅうさぎ」の日本と韓国を除くアジアでの独占ライセンスを取得。

分析、所感

おぱんちゅうさぎのクリエイターである「可哀想に!」さん、もとはチョコレイト所属だったのですが辞められて、関係者の中では衝撃的なニュースでした。

ちいかわと並ぶキャラIPなので動向を注目していたら、日本と韓国を除くアジア地域は伊藤忠商事が担当してました。

伊藤忠商事、実は2021年からキャラクターライセンス事業に力を入れており、香港の現地会社と「ムーミン」の会社と合弁会社を作って中国や東南アジアでグッズ販売しています。それが持分法適用会社の「Rights & Brands Asia Ltd.(RBA社)」です。 

また、スカパーがアニメの製作幹事を務めるスカパー・ピクチャーズを設立しており、「チ。-地球の運動について-」の幹事をやっていますが、パートナーに伊藤忠商事がいます。

海外商品化のアジアの権利を持つのが先ほどのRBA社で、窓口なのかライセンシーの立場かは分かりませんが、国内商品も伊藤忠商事が絡んでいます。

キャラクターライセンス、アニメビジネスで海外販売に参入している伊藤忠商事の動向に注目です。

ソニーミュージック、インフルエンサーマーケのブランド立ち上げ

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ソニー・ミュージックエンタテインメントと、BitStarは、インフルエンサーマーケティングの新ブランド「Viralot(読み:バイラロット)」を設立。
インフルエンサーマーケティングを軸にしながら、新規IP開発にも取り組み、企業のブランド価値を高める新たなコンテンツを創出する。

分析、所感

音楽、アニメなど多種多様なエンタメ事業を手掛けるSMEですが、インフルエンサーマーケティングの雄であるBitStarとブランドを立ち上げ。

エンタメ特化のマーケティングとのことで、この時点では具体的なものが分かりませんが、博打だったりするエンタメビジネスにどのようにマーケティングのソリューションを提供するのかが気になります。

<エンタメ特化型インフルエンサーマーケティング>
音楽、アニメ、映画、イベントなど、エンタメ分野に特化したマーケティングを提供。
ターゲットオーディエンスに対する高いリーチとエンゲージメントを実現します。
<カスタマイズされたマーケティング戦略>
SMEとBitStarのノウハウを活かし、適切な分析と革新的なアイデアを駆使して斬新なマーケティングを展開します。BitStarのプラットフォームを活用することでデータに基づいたアプローチや効果的かつ効率的なキャンペーンを実施し、企業のニーズに応じた最適なマーケティングソリューションを提供いたします。
<Z世代(デジタルネイティブ)へのアプローチ>
デジタルネイティブであるZ世代に刺さるアイデアを得意とし、彼らの関心を引きつけるマーケティング戦略を展開。ソーシャルメディアやデジタルプラットフォームを活用し、Z世代とのエンゲージメントを強化します。

アニメの製作委員会に携わっている身としては、アニメ作品のマーケティングはもっとやれることがあると思うのですが、予算と時間と人のすべてがリソースが足りていないと思います。電博みたいな代理店が委員会にいるとまた違うんだろうなという気もします。

そこに代理店ではないプレイヤーが入り、アニメビジネスで圧倒的な地位を築きあげたSMEがマーケティングの分野まで抑えにくる帝国拡大のニュースだと思います。

今週のニュースは以上です。分析、所感は間違っている理解や知識があるかもしれませんので、もし気づいたらご指摘ください・・・。それでは、また来週お会いしましょう!


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村田泰祐
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