やっぱ「天然」は強いは。



この上記文。結構いい文章とは思う。

けど、あえて反することを少し書いてみようか。

で上記文に出てくる趙匡胤。


・・・・・・・

宴会して酒飲んでいるときに、重臣の雷徳譲が、上奏に来た。

「緊急です」と

で、

皇帝の趙匡胤が

「なんやねん」

と聴いたら、

「酒飲んで、スズメを打つよりも、重大事です」

と。

ふざけんな!!と小さな斧の柄{料理で殻を割るときとかつかうのだろう}で、雷の顔を何度も殴りつけた。

で、頭も冷えて、ふと雷が何か拾っているの見える。それは雷の前歯だった。

で、趙匡胤は

「お前さん、それで俺を訴訟するんちゃうか」

と。

雷は

「そんな恐れ多い事・・。でも史官は記録します」

これを聴いて、慌てて

「よく諫言した」

と賞与を与えて、退出させた。


・・・・・・・・


結構有名な話だが、

これが趙匡胤が、臣下を「同じ人間」として遇して、かつ「権力」で押しつぶそうとしなかったってことが見えると思う。


同じく「天然」{とっ言っても天然な明君ではない}な光武帝・劉秀の事績というか「やっちゃた」話。


 宋弘はまた宴会に参席した。このとき御座に新しい屏風があり、歴史上の著名な女性たちが美しく描かれていた。劉秀たびたび顧みてこれを見た。宋弘は容を正していった。

「いまだ徳を好むこと色を好むものを見たことがありません」

 劉秀はすぐに撤去した。笑って宋弘にいった。

「義を聞けばただちに服す。どうかね」

 答えていう。
「陛下が徳を進め、臣は喜びにたえません」

 ほとんどエロ本を母親に発見された中学生のようである。あるいはアイドル写真集のようなものは学校の教室に持ってきて自慢したりすると先生に没収されるもの、故に自宅で一人で楽しみなさいということを、身をもって示した教訓かもしれない。
 それにそもそもよく考えるとおかしい。色を好むのを否定するなら、片づけるのではなく、燃やすなどの処分をすべきであろう。史書を読み慣れている人間なら、ここはどう考えてもその場で焼き捨てて決意を見せるべきシーンである。人前で見ないことしたって色を好まないことにはならないではないか。

・・・・

>ここはどう考えてもその場で焼き捨てて決意を見せるべきシーンである。人前で見ないことしたって色を好まないことにはならないではないか。

だよね。

器量とかそんなでなく、ある意味でまじめな李世民なら、焼き捨ててだろう。

ひたすら1センチでも隙間があればダジャレをぶち込みたがる劉秀は、そこまでしなかった。

ちょっと出典が前後するが

馬武と劉秀は馬が合ったようだ。粗野で学のない大酒飲みの馬武は一見すると、礼儀を知り学識豊かで酒の飲めない劉秀と正反対の人物であるが、一番大事なところで共通点を持っていた。価値観である。馬武と劉秀はともに高い地位というものに取り立てて興味がなく、何よりも今楽しいことが大事であり、その楽しさの中にこそ人生の真実があると考えていたのである。


てところが結構肝心かもしれない。特に

高い地位というものに取り立てて興味がなく、何よりも今楽しいことが大事であり、その楽しさの中にこそ人生の真実がある


それを「天然」というのだろうか。

あるいは「徳」っていうのだろうか。

このエピソードもある意味で凄いものがある

 こうした劉秀が再会を喜んだ相手の中でもっとも有名なのが太学時代の友人の荘光である。

 荘光、字は子陵、一名を遵、会稽余姚の人である。若くして名声高く、劉秀と同じく太学に遊学した。しかし劉秀が即位すると、姓名を変えて、身を隠して会おうとしなかった。劉秀はその賢を思い、その容貌を伝えて探させた。後に斉国より上言あり「一人の男性が、羊の毛皮の衣を着て、沢で釣りをしている」と。建武五年(西暦29年)、劉秀はそれを荘光であると疑い、赤黒の安車を準備して使者を遣わして招聘した。三度往復してやっと洛陽にやって来た。北軍の宿に泊まり、寝床を賜り、宮廷の料理官が朝夕の食事を進めた。
 司徒侯覇と荘光は古なじみであり、使者を遣わし書を奉じた。
 使者は荘光にいった。
「公(侯覇)は先生が来たと聞き、一刻も早く会いに行きたいと、典司に迫っていたのですが、得られませんでした。願わくば日暮れまでに、我を曲げてこちらに来てくださいませんか」
 荘光は答えず、白紙の札を投げ与えて、話して記させた。
 侯覇は西曹属の侯子道に書を奉じさせた。荘光は起きず寝台の上でひざを抱えたままで書を取って読み、侯子道に問うた。
「君房はもともと馬鹿だったが、いまは三公になって、ちょっとはましになったか」
「位はすでに鼎足(三公のこと)であり、馬鹿ではありません」
「卿を遣わして何をいいたいのか」
 侯子道は侯覇の言葉を伝えた。
「卿は馬鹿ではないというが、この言葉こそ馬鹿というものだ。天子がわたしを三回も召したからやって来たのだ。その主にすらまだ会いに行かないのに、人臣如きに会いに行くわけがないだろう」
 侯子道は返事を書くように求めた。
「わたしの手で書くことはできん」
 そして口で授けた。使者は少なすぎると思い、付け足すようにいった。荘光はいった。
「菜を買いに来たのか(言葉を飾れというのか)、増やせというのか」
「君房どの、位は大臣に至り、とてもめでたい。仁を持って義を助ければ天下を喜ぶだろう、天子に媚びるなら政治の要点を失うだろう」
 侯覇は書を得るとこれを封奏した。
 劉秀は笑っていった。
「狂奴のいつもの態度だ(狂奴=いかれた人、奴は愛称的な使い方)」
 劉秀はその日に荘光の館に行った。荘光は寝転んだまま起きようとしなかった。劉秀はその寝台まで行き、荘光の腹を撫でていった。
「さてさて、子陵よ、助け合おうとしないのが、理に適っているだろうか」
 荘光は無視して眠ってしまう。しばらくすると目を見開いて熟視していった。
「むかし唐堯は徳が明かだったが、巣父は耳を洗った。士にはそれぞれ志しがあるからだ。どうしてここまで来てそんなにしつこく迫るのか」
「子陵、わたしはついに汝を下すことができなかったか」
 そして車に乗り嘆息して去った。
 けれどまた荘光を呼ぶと、今度は荘光は劉秀の元にやって来た。むかし話や道について論じあい、何日にもなった。
 劉秀は気楽に荘光に問うた。
「朕は昔と比べてどうか」
「陛下は以前より少し太りましたな」
 おそらく劉秀の脇腹をつついて、贅肉がついていると言ったのであろう。皇帝になっていいもん食って贅沢してるだろとからかったのだ。まだ三十五歳、現役の勇将として肉体自慢の劉秀はムキになった。それで二人は並んでうつぶせに寝て体を比べたところ、荘光がふざけて足を劉秀の腹の上に載せたのである。学生時代の気分に戻った馬鹿会話である。
 明日、太史が客星が御座を犯すことはなはだ急であると奏した。劉秀は笑っていった。
「朕の旧友、荘子陵とともに寝っころがっただけだ」
 荘光を諌議大夫に任命したが、荘光は無視して郷里に帰り、富春山にて農耕生活をした。後の人は彼の釣り場所を荘陵瀬と名付けた。
 七里瀬は東陽江のふもとにあり荘陵瀬と相接しており、荘山がある。桐廬県の南に荘子陵の漁釣処があり、いまは山の端に石があり、上が平らで、十人が座ることができ、川に臨んでおり、荘陵釣壇と呼ばれている。二人の友情は永く語り継がれたようである。
>子陵、わたしはついに汝を下すことができなかったか

とか言いながらそのあとすぐに

>「朕は昔と比べてどうか」
「陛下は以前より少し太りましたな」
 おそらく劉秀の脇腹をつついて、贅肉がついていると言ったのであろう。皇帝になっていいもん食って贅沢してるだろとからかったのだ。まだ三十五歳、現役の勇将として肉体自慢の劉秀はムキになった。それで二人は並んでうつぶせに寝て体を比べたところ、荘光がふざけて足を劉秀の腹の上に載せたのである。学生時代の気分に戻った馬鹿会話である。


この「朕」ても、ほぼ「悪ふざけ」で言っているのもわかるし。


なんなら、普通の人間なら、荘光をぶっ殺してしまうだろう。

光武帝ならぬ洪武帝なら・・・まあ洪武帝朱元璋は、政治・軍事の手腕と事績は抜群だが。


で、

他人とともに楽しむのはその楽しみも長いが、自分一人で楽しむのは長く続かずなくなるものだ 


て。

 この劉秀の性格をかつて馬援は、人にしてあげられることがあればすべてしてあげようとする人だ(極盡下恩)と評したほどである。
 ただ人の望みをかなえることばかり考えて、人に与え続ける生涯を生きた劉秀は、逆説的にも世界のすべてが自分のものになってしまう。

そう

理趣経


① まず、自ら智慧の水をすべてのものに灌ぐものとなり、これによって真理を悟って成仏する。最上の宝を他人にも自分にも施し、三界のすべての心に願うところとなり、三界の法王の境地に到る。(灌頂施)
② また、あらゆる人々に義利(よきもの)を施し、世の生活に不如意なものを取り除く。そうすれば、この世の一切の願いは満ち足らされるであろう。(義利施)
③ 次に、如来の法(おしえ)を人々に施すことにより、一切のものが法性(普遍の真理)を獲得することであろう。(法施)
④ 最後に、生(いのち)の資(もと)となる種々様々なものを施す。この行ないによって、世のすべての飢えたるものは、ことごとく苦しみから救われ、身口意(しんくい)も安らかで楽しいものとなるであろう。(資生施)


とある。


まあ、自然もいいんじゃない。

だって、「自然」が一番「理にかなっている」からね。


でも、その「自然」って意外と容易に、人が出来るもの でもないのでね。


新庄剛志


や、

ジミー大西 


は、他人は真似できんものね。


まあそういうことも含めてね。




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