何がなんやら

「バーン・アフター・リーディング」という映画を見た。
私は今まで映画というものがあまり好きではなかった。というより実は私はあまり好きでないものは多いということをここに告白する。私は何かを嫌いだと断言するほどの勇気を心の中に持ち合わせていないので、よく「あまり好きではない」とか「得意ではない」と言うことが多い。それはさておき、なぜ映画があまり好きではないかというと映画が集団で製作されるものだから、というのが大きいかもしれない。集団で作られるものは個人で作られたものに比べて尖った要素を持たず、多数の人に合わせたものになっていくことが多いように感じる。尖った作品は既成の価値観を広げる役割を持つことが、多くの人の趣味嗜好に合わせた作品よりも出来ることが多いの自明なことなのかもしれない。だから映画やテレビ番組もあまり好きではなかったのだが、憎らしいことにと言ってよいのかどうかわからないのだが、全ての映画やテレビ番組が駄作だと言い切れる人はいるだろうか。おそらくいないか、そんなことを言う人はよほど狭い世界を生きていると思われても仕方がないだろう。そもそも私の好き嫌いなどどうでもよく、何かを得たいなら目の前のコンテンツをとにかく消費したほうがいいのかもしれないと、最近になって低能な私は気付き始めた。ということで映画を見ないわけにはいかなくなったのである。

ここからは映画のネタバレを含みます。ご注意を。

普通に見ていて途中までは普通に見ていた。コミカルなシーンでは笑ったりしていた。ところが途中から少しよくわからなくなってきた。具体的に言うと、ブラッドピッドの演じている役が殺されてしまうシーンからである。それまで普通に笑えるシーンなどもあったと思うが、笑いながら拳銃で頭を打たれて主要な登場人物が死んでしまってから笑っていいのかどうかわからなくなってしまった。そのあとも別の登場人物が斧や銃で誰かを殺害するシーンなどもある。ここで何がそんなに引っかかるかというと、こういったこと(殺害など)が起こるきっかけが本当にどうでもいいことで、大したことじゃないからだ。その大したことじゃないことに関して中盤まではコミカルなシーンを挟んで笑っていたのだが、その大したことじゃないことをきっかけに誰かを殺してしまう事件に進展してしまうのだ。映画のラストに一連の事件の報告をしている人と報告されている人の二人で話し合うのだが、そのうちの一人が”何がなんやら”というようなセリフを言うのだが、まさにそんな感じのストーリーの映画だったように感じる。


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