読んでもわからんかった

ベンジャミン・カーター・ヘット著、「ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか 民主主義が死ぬ日」(亜紀書房)を読んだ。
私は高校生のときに真面目に勉強していなくて、今でも少し後悔しているのだが、そのおかげで世界史の知識はほとんどないのである。最近YouTubeでTryの世界史の映像授業を少しずつ見ていて第二次世界大戦が終わって冷戦のときにインドが独立するところまで見終わった。余談ですけど、YouTubeのTryの世界史の映像授業分かりやすいですよね。大学受験などに使えるのかどうかわからないけれど、無知な自分にとってはとても勉強になる。とてもありがたいです。
話は戻して、少しだけ第二次世界大戦の知識がうっすらついた時に本屋さんでこの本のタイトルを見つけたのだ。現代の、ちょっと雲行きはあやしいが今のところ平和な日本で暮らしている私にとって、イタリアのムッソリーニやドイツのヒトラー、そしてもちろん同時代の日本がどうしてファシズムになっていったのか腑に落ちなかったのだ。そこで、この本を読めばタイトル通りどうして大衆がファシズムを支持しヒトラ「が力をつけていったのか分かるのではないかと思い、購入して読んでみたのだ。
ここからは読了後の感想なのだが、歴史の本であるのでネタバレ等はないはずなのでこのまま書いていく。
読み終わった結果、私はなぜドイツの民衆がヒトラーを選んだのか、分からないままであった。というのも、阿呆な私の脳みそでは、この本を理解できなかったのである。この本は第一次世界大戦の後からヒトラーが首相になり、大統領のヒンデンブルグが亡くなるところまでの政治を解説してくれている。
この政治状況がとても複雑なのである。漫画のようにこの政党は良いやつであの政党は悪いやつという単純明快な図式では全くない。そのうえ出てくる政党の名前もかなり似ている。ドイツ独立社会民主党、ドイツ社会民主党、ドイツ民主党。しかもどの政党がなに主義なのかもいまいちわからない。さらに出てくる人物はかなりいる上にこれもまたみんな名前が似ている。シュライヒャーとかシュトラッサーとか。もう勘弁してくれドイツ人。まあこれは日本人が義雄だとか喜久雄とか似た名前があるというのと一緒であろう。
ということで私はここからなんとなく分かったことを書いていく。
まず、読んでいて出てくる人物について、作者は一応どんな人物かざっくり説明してくれる。イメージとしては司馬遼太郎の「竜馬がゆく」で、出てくる登場人物がものすごい説明されることがあるのだが(読んだことある人なら共感してくれるのではないでしょうか)、それをかなりぎゅっと短くした感じだ。そうやって説明されている国会議員の中に博士号持ちの人が多いのが感じられた。経済学の博士号を持っている人も何人かいたし、ナチ党幹部のプロパガンダを担当したゲッペルスは確か文学の博士号を持っていたと記述されていた気がする。以前ドイツの首相を務めていたメルケル氏も物理学の博士号を所持されていたはずだ。私は日本の国会議員が博士号を持っているイメージはあまりない。少し調べてみると医学系の勉強をして博士号を取得した国会議員は何名かいらっしゃるらしい。そういうところも海外と日本では感覚が違うのかもしれないと思った。だが、いくら博士号を持っているくらい賢い方であっても効果的な経済政策が打てなかったりするのだから、それも考慮しなくてはいけないところかもしれない。
次にドイツの経済状況というのはヨーロッパの経済情勢にとても影響されているということだ。なにを当たり前なことを言っているんだと思われるかもしれない。しかし、日本の歴史を考えてみると、日本は島国であったり、鎖国をしている期間が長かったりするので、特に明治時代になるまでは海外情勢の影響を受けることなく歴史が進んでいくことが多い気がする。ところが本書で扱っている時代のドイツ、特にドイツの経済状況はヨーロッパの経済状況と密接に関わっていて、ほかの国の影響をもろに受けることもあればドイツの経済政策が他国にダイレクトに影響するらしい。そのため他国との外交を通して、自国の状況を考えなければならない。これはとても複雑なことだと思う。
私は本書を読んでもドイツ人がヒトラーを選んだ理由はわからなかったが、それも当然のことなのかもしれない。ドイツは海外の国であり、ベースとなる価値観やそれに絡んでいるキリスト教的宗教観もまるで違う。そして、様々な政党、他国の思惑が絡んでいるのだから、そもそも本を一冊読んだだけで分かるようなトピックではない、とお叱りを受けることなのかもしれない。そんな簡単に分かるのなら、今でも歴史学者の方がこんなにヒトラーについて、なぜ戦争が起こったのかについて研究しないであろう。この本を読んでも分からないことだらけだったので、また別の本に少し助けていただきたい次第だ。

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