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【レポ】BrandNewMusicalConcert2022

古今東西の様々なミュージカルの曲をコンサート形式で届ける「BrandNewMusicalConcert」。大阪はフェスティバルホールで開催された公演に行ってきました。

さだまさしをして「神が作ったホール」と言わしめた素敵なホール(万里生くんがMCで言うてた)で、豪華すぎるメンツで行われた大阪公演。知っている曲はもちろん楽しめたし、知らない曲・作品も、その情景がありありと浮かぶようなキャストの表現力もあって、また一歩ミュージカルの世界の奥深さに魅せられたコンサートでした。

感想をまとめるときに、どうまとめるのがいいのか迷いつつ、いったんキャスト毎にまとめてみようと思います。

中川晃教さん

本コンサートのホスト的ポジション。第一線で活躍され、今や日本のミュージカル界の先頭を走り続ける人なのに、実は僕は今回が初見。
この人は本当にミュージカルを愛してやまないというのがヒシヒシと伝わってきて、その様はまさに現代のヴォルフガング。彼こそミュージック。ミュージカル愛がすごすぎて、MCでは時々通販番組みたいになるし、初参加の辰巳くんに慈母のような目線で接してるし、ミュージカル愛が具現化した人やなと思った。

女性よりも高いんじゃないかと思うくらいのキレイな高音に、遊びのある表現力はさすがアッキー。万里生くんに「宇宙からもらった声」的なこと言われてましたが、まさに現代の科学では再現できないんじゃないだろうか。序盤の「♪Earth Song(MJ The Musical)」は照明演出も相まって、Earthを感じたしEarthがあった。

辰巳くんとの「♪闇が広がる(エリザベート)」は、イントロが始まった時に「エリザや!闇が広がるや!」と興奮したと同時に、「アッキーがルドルフなんかい!」とツッコんだのは、たぶん僕だけじゃない。年齢や雰囲気は確かに逆なんですが、辰巳くんもちゃんとトートやったし、何よりアッキーがルドルフ以外の何でもない。ちゃんとルドルフだった。

加藤和樹さん

言わずと知れたプリンス。去年もたくさん出演作拝見しましたが、やっぱり声がいい。ある意味安心して聞ける域というか。特に終盤の「フランケンシュタイン」からの2曲は震えた。さすがに和樹くんみたいに痙攣はしてないけど。

MCではチャーミングな面も見せてくれるプリンス。大阪に帰ってきてウナギを食べた徹平くんに「ウナギは名古屋のものなのに。まあいいけど」とちょっと拗ねる。ソニンさんと意外と共演が少ないから、(1789でやった)兄妹以外でやりたいね、からの「尻に敷かれてもいいので」発言。アンコールで各々が宣伝をする中、アッキーの「ジャージーボーイズ」の宣伝中、万里生くんと「俺ら呼ばれてないけど?」みたいなリアクションをサイレントでやってる。カワイイ。

田代万里生さん

マイフェアプリンス・万里生。このコンサートに行こうと思ったのは間違いなく、万里生くんに会いたかったからである。何をどうしたらあの雰囲気と声を醸せるのだろう。歌はもちろん、万里生くんのお辞儀は本当に美しい。見惚れる。

ソニンさんとの「♪星のさだめ(アイーダ)」は僕の全細胞が震えたし、「♪Anthem(CHESS THE MUSICAL)」はまだ見たことないけど観たい作品でもあったので、1曲だけでも聴けて良かった。切実に再演してほしいし、万里生くんにも出てほしい。「♪ガイズ&ドールズ(ガイズ&ドールズ)」の少し砕けた歌い方ももちろん好きですが、やっぱりクラシック系統の強みが出るような曲は言うことなしに良いです。

楽しく演じすぎて、次自分のMCなのに「以上!」って言いながら袖にはけようとするのも、いとお茶目。藤岡くんとのMCも息ぴったりでした。双子の役をやったこともあるのに、いつしか万里生は貴族の役ばっかりになって・・・と羨ましがられてましたが「最近そうでもないよ?」と答えるあたり、昨年の新境地的配役はご本人も手応えがあったのですかね。次はまた皇帝の役(エリザベート)ですが、清潔感たっぷりの皇族役以外もお待ちしてます。

辰巳くんとのMCでは、演歌の発声についてにじり寄りながらインタビューする万里生くん、いい歌オタクっぷりでしたよ。新しいジャンルへの興味関心態度満点。このコンサートに出ている人は皆歌が好きですが、万里生くんは未知への遭遇的な知的探求心が抑えきれていませんでしたね。kawaii。

ソニンさん

「さん」と呼ぶにはおこがましい、ソニン様。和樹くんに「強い女」と言われるのに事実違わず、ソウルフルな歌がよく似合う、というか歌が生き様そのものというべきか。きっと何かが彼女に降りてきている。カレーライスの女は、ミュージカルで強い女になりました。あの細い体のどこからあの音が出るのか。

前述の「♪星のさだめ」も言わずもがな、「♪Speechless(アラジン)」「♪Never Enough(The Greatest Showman)」は、ああこれが歌かと体が理解した。フェスティバルホールの音響の良さは、ソニン様のためにある。一方「♪Lady Marmalade(ムーラン・ルージュ)」で徹平くんを誘惑し、アッキーのお尻を叩くちょっかい。セクシー。

徹平くんとのMCで、「♪There’s a Light(ロッキー・ホラー・ショー)」で使う小道具の新聞紙に、このコンサートの広告が載っていたと嬉々として話すソニン様、可愛すぎます。和樹くん、徹平くんそれぞれとのMCで共演作の話になった時、「別の女とデュエットしたわね」と男性陣を困らせるソニン様、可愛すぎます。赤のドレスも白のドレスもお似合いでした。

小池徹平さん

僕らの徹平ちゃん。地元大阪の公演で千穐楽ということで気合満々の徹平ちゃん。歌と関係ないけど、ホンマにこの人30代のパパか?と何回か目を疑った。まだ10代の学生役いけるでしょ・・・。

個人的には最も好きなミュージカルである「キンキーブーツ」から、「♪Step One」を披露してくれたのはとてもうれしかった。MCで本人が言及していたように、作品を知らない人にも情景が浮かぶように歌った、という意味では作品本番とはまた違う、歌での心理・状況描写で丁寧。
情景が浮かぶという面では、自分が好きな作品というのもあるにしろ、歌い終わると同時にローラが「なによこれ?」って階段から出てくる様がリアルに想像できるくらいだった。チャーリー楽しみにしてます。

和樹くんとのMCは大阪弁バリバリで夫婦漫才やったし、一方でアッキーとのMCはしみじみと語るオトナの徹平やったし、うん、なんかかわいいな。

辰巳ゆうとさん

演歌歌手。ミュージカルコンサートは今回が初で、かつ今回が千穐楽。恥ずかしながら存じ上げず、テニミュあたりの2.5次元系から出てきた若手の俳優さんかな?と思ってたら、まさかの演歌歌手さんでした。客席のファンの方がペンライト持ってたのはそういうことだったのか。

演歌とミュージカルは歌い方が勿論違うわけですが、そもそも歌手なので純粋に歌がうまい。「♪星よ(レ・ミゼラブル)」はレミゼの世界に真摯に向き合って、ミュージカルとしての表現を研究した姿勢が歌に表れていたし、ぜひミュージカルにも進出してほしい。MCで披露してた「星よ~演歌Ver」もぜひいつかフル尺で披露をお待ちしています。
「♪闇が広がる」も、ルドルフかと思いきやまさかのトートパートでしたが、いやらしさのない新たなトートを見れました。演歌と関係あるのかわかりませんが、低音が安定していて美しいです。それこそいつか、今度はルドルフ役とかいかがですか。

万里生くんとのMCで、「座っている姿を見たことがない」と言われ「僕らの世界の先輩はホンマに”先輩”なので・・・」という応えから演歌界の厳しさを垣間見ました。宝塚歌劇団の「電車に礼」に通じる世界ですね。頑張れ!
まあそれだけじゃなくて、衣装がタイトで足が曲がらないというのもあったらしい。確かにお辞儀がしづらそうやった気がする。頑張れ!

藤岡正明さん

みんなの愛されキャラでムードメイカー。アッキーと同様、知っていたけど実際に見るのは初めて。絶対いい人ですよね。

MCパートでの三枚目のポジションとうって変わって「♪神よ何故(ミス・サイゴン」は心に迫るものがあった。この秋初めて観に行く作品だけど、心情・情景が伝わってくるのは役者としての力に他ならないと思います。
そして万里生くんに「圧倒的な輩感」と言われた「♪ガイズ&ドールズ(ガイズ&ドールズ)」。セリフ感の強い歌詞ゆえ、譜面を見てもメロディが分からないという難しさがあったとのことでしたが、その天性の輩感(?)で見事に世界観を演出されてました。
「ガイズ&ドールズ」は今期上演されていた作品ですが、俗に言う「大阪飛ばし」で大阪公演がなかったので、一夜限りの大阪公演としてやってくれてうれしかった。

ソニン様にはUber配達員と間違われ、そしてそのUberのくだりをアンコールまで引っ張り続ける芸人魂もそこに見ました(芸人さんじゃない)。万里生くんと「ブラッドブラザーズ」で双子を演じた話も、客席から笑いが聞こえてすかさず「笑うところじゃないよ?!」とのツッコミ。もう芸人さんのスキルですよ。


全体

1幕、2幕それぞれの幕開けと締めでは、キャスト全員でのパフォーマンスでしたが、一人ひとりのお力と熱量がすごい中、それが合わさってフェスティバルホール全体を響かせる様は本当に感服の一言でした。

特に「♪This Is Me(The Greatest Showman)」は本編締めというのもあってエモーショナルでした。

オーケストラの生演奏も心地よかった。普段ミュージカルでも生演奏はあるものの、オケピットは見えないことも多いので、演奏されている様子を見ることができたのも僕にとっては新鮮な体験。あと照明演出も緩急があって、舞台装置のない中で世界観を演出するのに重要な役割を担っていて、美しかったです。

アッキーがMCで言っていた通り、ミュージカルの世界は広がっている。舞台でやるだけじゃなくて、映画もたくさん出ているし、今回のように様々な作品から曲をピックアップして届けるというのもある。そして演歌歌手の辰巳くんが参加したように、今まであまり交わらなかった世界とのコラボレーションによって、更に奥深く、趣深くなっていく。

作品単体やキャストを楽しむというだけでなく、ミュージカルというそのものを好きになる、そんなコンサートでした。

余談ですが、ミュージカルは女性客の方が多いのはいつものことなんですが、今回は特に男女ともに年齢層も高めで、同世代の男性は皆無でした。彼女に連れてこられた感のある人すらもいなかった…。もっと同世代の男性にもミュージカルの良さが広まってほしいぞ!

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