掛軸の軸先って??
ひさびさのお「おもしろい掛軸の世界」です
表題の掛け軸の軸先ってなんざんしょ?ですが、掛軸の軸先とは掛軸の下のほうに左右から3㎝前後、角のように出ている部分です。
この軸先には様々な形や、素材があります、代表的なのは、木製、陶器があります。その他金軸といった金属のものや、アクリルやプラスチック、牛骨などがあります、今は流通が難しいですが昔は象牙などもよく見ることがありました。
さて、そんな軸先ですが、なんのためにあるんでしょう??
そういわれてみると???・・・
わたくしも、一番最初に軸先を付けた人の考えがわからないので、何とも言えませんが、おそらく、掛軸を巻くときに、軸を傷めずに巻けることと、デザインの意味合いが強いのではないかと思います、作品によって、様々な軸先を取り合わせるだけで、印象が変わってくるように、掛軸の生地のように、作品をより引き立てるためのアイテムになっているのだと思います。
よく、みなさん誤解されるのですが、軸先の部分は全部同じ素材で入っていると思っている方がおりますが、実際は、軸棒という、棒と軸先をつなげて、一つの棒にしております。
軸棒は、吉野杉を使用するのが一般的ですが、スプルースやヒバ、紙管なども使用されます、紙管の場合には、紙管用の軸先を使用します。
そんな、感じで軸先を付けていくのですが、そこで疑問に感じるのは、どんな軸先を付ければよいのか?ということではないでしょうか?
掛軸コーディネーターからは、「特に気にせず作品に合うもの、気に入った物を付ければよいですよ」とお伝えしておりますが、1点だけ、宗教関係の作品については、牛骨や樹脂(象牙に似せた物等)などの軸先は、殺生をイメージするので付けないほうがよいとアドバイスしております。
ただ、昔からある程度、どの軸先がどの作品に適しているかの、基準は実はあります、結構細かいですが、大まかに分類すると
仏教系:金軸・黒塗(木)・朱塗(木)
神道系:一位(イチイ)・面金(塗・木)
節句:蒔絵
水墨山水:桑・角軸/牙軸(代用含む)
花鳥:角軸/牙軸(代用含む)
書:紫檀・黒檀・各種木製
墨蹟/和歌:陶器・紫檀・黒檀・各種木製
巻物:水晶・アクリル・各種木製
みたいな、感じで、昔々の表具師さんたちが考えてくれました、それぞれ、何故にその作品には、その軸先なのか?といった、意味あいはあるかと思います、例えば神道系の一位(いちい)の軸先は、古代日本の天皇の即位の礼に使う笏(しゃく)などにも使用されていたことから、そのつながりで、神道系の軸にも、使用されたのではないかと考えられます。
しかし、最終的には、現代の取り合わせとしては、自分で楽しむ、自分の表現方法として、掛軸を使用したい場合は、その作品に合うベストのものが正解なのではないかと思います。(上記の基本から外れても)
ただ軸先にも意味合いがあることを、知っていることで、あえて外すのと、知らないで外すのでは、掛軸の奥行が変わってくると思いますので、軸先のことを知っておくのも無駄ではないかと思います。
ぜひ、掛軸を買う場合も、自分の作品を掛軸に仕立てる場合も、軸先にも着目して楽しんでみてくださいね~(^^♪