携帯電話がもたらした、人差し指→親指、左手→右手へのシフト

令和元年版情報通信白書について、書いた者の立場から解説するシリーズです。

令和元年版情報通信白書では、平成時代を中心に、ICTとデジタル経済がどのように進化したかを振り返っています。その中で、携帯電話の歴史についても紹介しています。

個人的な話になりますが、数年前、当時小学生だった甥っ子に、「小学生の時にスマホは持っていたか?」と聞かれたことがあります。甥っ子としては、「持ってた」という答えを期待しつつ、小学生でスマホを持つのは早くない、という主張を補強したかったのでしょう。「自分が小学生の頃は、スマホどころか携帯電話もなかった」という話をしたら、本当に驚いていました。

それはさておき、携帯電話の原点になるものとして、1970年の大阪万博で出展されたワイヤレステレホンを挙げています。

このワイヤレステレホンは、今の携帯電話とは技術的な仕組みは違っていましたが、後の携帯電話の開発に活かされることになる発見があったようです。それは、電話をかけるときに、ボタンを人差し指ではなく親指で押すというものでした。

携帯電話を親指で操作するというのは、今では当たり前のように思ってしまいますが、固定電話の時代、電話をかけるという動作は、ダイヤルを回す形にせよ、ボタンを押す形にせよ、人差し指を使って行うものでした。

また、電話をかける手と、受話器を持つ手が別ということも固定電話の特徴といえるのではと思います。つまり、右利きの人であれば右手で電話をかけるため、受話器は左手で持つことになりますね。

おそらくはこのことと関係するものとして、スマホを左手と右手のどちらの手で持つかということについての興味深い調査があります。

2013年の記事であり、調査対象も限られているため、あくまでも一つの参考データとして見る必要はありますが、確かにここに書かれているような傾向があるように思えます。昔固定電話の受話器を左手で持つことに慣れていた人は、スマホも左手で持つということなのでしょう。

ちなみに、総務省では色々な資料で「固定電話」という言葉を使っており、私も普通に使っていますが、ひょっとしてこの言葉は死語になりつつあるのでは?と思うことがあります。家に置いてある固定電話のことを、「家電(いえでん)」というそうですが、恥ずかしながら私は最近までこの言葉を知りませんでした。さすがに会社に置いてあるものを家電とは呼ばないと信じていますが、ちょっと注意しておきたいと思います。「固定電話恐怖症」という言葉があるようなので、まだ大丈夫だとは思いますが……。

ところで、携帯電話が急速に普及し始めたのは、データを見る限り1996年頃からということになります。なぜこの時期だったのでしょうか? 情報通信白書には、その答えが書いてあります。そして、その理由の一つに、政府の政策があったことも知っていただければ幸いです。




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