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KOKUYO DESIGN AWARD 傾向と対策 2019年度版

皆さん、こんにちは。
プロダクトデザイナーの三島です。

今回から、KOKUYO DESIGN AWARD(コクヨデザインアワード)の傾向と対策をしていきたいと思います。ただ傾向と対策は毎年していますが、年々変化するので今回は最新の2019年度版の傾向と対策を考えていきます。



①主催について

コクヨデザインアワードは、使う人の視点で優れた商品デザインを広くユーザーから集めて、商品化をめざす国際コンペティションです。昨年は世界46カ国から1,289点の作品が集まると共に、「カドケシ」「なまえのないえのぐ」「本当の定規」など過去18個の受賞作品を商品化しています。

主催は、文房具やオフィス家具を製造・販売するコクヨ株式会社です。2002年の創設以来今回で17回目と歴史のあるコンペで、同様に多くのヒット商品を生み出してきました。

コクヨが主催ということもあり、テーマに関わらず文房具・家具というカテゴリーでデザインすることが求められ、今一番プロダクトデザインらしいコンペと言えます。

Campus(キャンパス)ノートやシャープペンシルなどの国民的にも有名な文房具から、ゆらゆらと揺れる椅子「ing」などのオフィス家具などを製造・販売しています。

キーワードは「文房具」「家具」


②テーマ

2019年のテーマは、「♡」

このテーマ、あなたはどう読みますか?
LOVE、情熱、絆、カワイイ、
希望、愛着、想い、生命。
ドンヨリしがちなこの世界を、
明るく一変させるアイデアを。
目にした途端、手にした瞬間、
ココロが動くデザインを。
What is ♡?
あなたが見つめたその答えを、
カタチにしてみてください。

2015年 美しい暮らし
2016年 HOW TO LIVE
2017年 NEW STORY
2018年 BEYOND BOUNDARIES
2019年 ♡

去年までは暮らしや物語に焦点に置いた、ある意味非常にわかりやすいテーマではありましたが、今回は「♡」という非常に抽象的なテーマになりました。言葉ではないひとつの記号である「♡」をどう解釈するかが、今回のKOKUYO DESIGN AWARDのカギになります。

「♡」を愛や優しさ、命などと解釈しコンセプトとして表現する、もしくはそのまま「♡」をモチーフにしたデザインでも良いと思います。

さらにこのコンペではプロダクトとしての完成度とプロジェクトとしての広がり(発展性)の両方を持つ、デザインが求められます。プロダクトが背景に持つストーリー、これからプロダクトを使っていくことで生まれるストーリーなどを提案できると広がりを見せることができます。

キーワードは「テーマの解釈」「完成度」「ストーリー」


③過去の入賞作品

2018年の受賞

2017年の受賞

2016年の受賞


何度も言いますが過去三年分の受賞作品は、必ず見ておいた方が良いです。昨年までの受賞作品とは言ってしまえば、方向性や完成度、視点の面白さとして近いという意味で「答え」です。

まず、KOKUYO DESIGN AWARDではテーマの問いに対する解釈が求められ、その答えの密度や深さを求めているのかがわかります。そしてプロダクトとしての完成度や物語・背景が求められます。

2016年 文房具・スタンプ・テープ・テープカッター
2017年 食べ物・時計・ペン・ペン
2018年 鉛筆・クリップ・絵具・ノート

また近年のグランプリや入賞作品が、ほぼ「文房具」であることに注目しましょう。多くは文房具というカテゴリーの中で、新しい可能性や見せ方を提示しています。

④審査員

2019年の審査員は、以下の方々。

植原亮輔(KIGI 代表、アートディレクター・クリエイティブディレクター)
川村真司(Whatever クリエイティブディレクター・チーフクリエイティブオフィサー)
田根 剛(Atelier Tsuyoshi Tane Architects 代表、建築家)
柳原照弘(デザイナー)
渡邉良重(KIGI、アートディレクター・デザイナー)
黒田英邦(コクヨ株式会社 代表取締役社長)

毎年、このデザインコンペでは著名な日本のデザイナーや建築家、アーティストなど6名の審査員が選ばれます。2-3年で審査員が入れ替わり、その度に選ばれる作品も変わってきます。


⑤応募人数

毎年1300 点程度の応募があり、一次審査を通過するのは10点です。倍率で言えば、130倍になります。一次審査を通過した10点を対象とし、最終審査を開催し、グランプリ1点と優秀賞3点が決定します

2015年 1,659点(国内:1,232点、海外:427点) 41か国
2016年 1,307点(国内:929点、海外:378点)   44カ国
2017年 1,326点(国内:880点、海外:446点)   53カ国
2018年 1,289点(国内:766点、海外:523点)   46カ国

応募総数は非常に多く合計1,200点を超え、海外からの応募比率が4割を超え、国際的になっています。実際に海外からの応募者が入賞することもあり、日本語で応募できる、国際的なプロダクトデザインコンペという認識で良いと思います。

このような大規模なコンペでは、1作品にかける時間は7秒と言われています。そこで目に留まったものが、文章まで精査されます。

一般的には、どんなに大きなデザインコンペでも、最終審査の前の一次審査で100案から50案まで絞られます。そしてそこから更に協議をし、最終審査のために10案ほどが通過します。

つまり、そのためには目に留まるようなデザイン画のインパクト、中身、文章を両立することで入賞する確率を高められます。

こちらでサポートして頂いたものは、日本の伝統工芸・モノづくりのために使わせて頂きます。