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減損損失について


はじめに

 第6弾は減損損失に関して書いていきます!先日、日経新聞の記事で「アステラス、治験中断の遺伝子薬開発6年遅れ」とありました。その中で開発の遅れのために、価値が低下し減損損失を計上する可能性があると公表していました。

 そこで、今年の税理士試験の試験委員の方は減損の研究をされているということもあり、減損に注目していきたいため、書くことにしました!
 ちなみに、この前のテストで減損損失に関する理論を間違えたので復習を兼ねて書いています…。

 最後まで読んでいただけますと幸いです!


1 減損とは

 まず減損についてですが、こちらの日経の記事がわかりやすく解説してくれています。

 新聞を読んでいると頻繁に見かける言葉のような気がします。
 簡単に説明すると、資産の収益性が低下し、将来的に企業が投資した額分の回収が見込めなくなった時に、収益性が低くなったなりに回収できる投資額まで現在の帳簿価額から切り下げることを言います。その時に切り下げられた金額は、減損損失となります。この会計処理のことを、減損処理と言います。

 さて、一例を挙げてみると、2022年3月9日の日経から出た記事にも出ていました。はじめにでも取り上げた、アステラス製薬の減損についてです。新薬の開発が遅れたために、新薬候補という無形固定資産の価値が低下する可能性が出てきたという内容です。来年度中に減損テストを行い、減損があるか否かのチェックを行うとのことです。もし減損が認められると、減損損失を計上します。

 他にも多数の減損や減損が指摘されている例があります。

 ロシア事業を巡って事業の継続が怪しくなり、投資額の回収が見込めなくなりそうになったために減損の可能性が生じています。


2 減損会計基準について

 減損損失について解説したところで、減損損失会計基準の解説をしていきます!
 はじめに減損損失会計の目的から書いていきます。上の段落でも述べていますが、難しい言葉を入れて書くとこのような感じです。

 取得原価基準の下で回収可能性を反映させるように過大な帳簿価額を減額し、将来に損失を繰り延べないことを目的とする

2022年度受験対策 要点チェックノート理論編 財務諸表論

 「回収可能性を反映させるように」とは、財務諸表上に、企業が回収できる価額を記すということです。損失を含んでいる額から、収益性の低下を反映させた資産額まで減らすということを意味しています。
 ここで突然ですが、費用配分の原則について少し説明します。これは取得原価を当期の費用額である費消原価と当期末の資産額である未費消原価とに期間配分することです。この考え方が次に役立ちます。
 「将来に損失を繰り延べないこと」とは、費用配分の原則の考え方から来ています。つまり、資産の取得原価を当期の費用分と、まだ費用にはなっていない部分(未費消原価)に配分し、未費消原価については資産として計上します。そこで当期の費用分として、減損損失を計上しています。


 「取得原価基準の下で」というのは、下記の通りの定められているからです。

資産の取得原価は、資産の種類に応じた費用配分の原則によって、各事業年度に配分しなければならない

貸借対照表原則、五

 とりあえず、収益性が低下が疑われれば、損失が出てくるかもしれないんだと抑えておけば大丈夫です!

 少し難しい話が続きすみません。最後に収益性の低下というのはどのくらいかなのを説明しておくと、「割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回る場合」です。割引前将来キャッシュフローの総額とは、時間価値とリスク分を考慮せずに、シンプルに将来どのくらいのキャッシュを稼ぐかということです。今の帳簿価額よりも将来稼げなくなってしまうと投資額の回収ができません。そのため、収益性が低下するのです。


3 まとめ

 コロナやロシア関係などで、これまでのビジネス環境が大きく変わろうとしています。そういう時に、将来の収益性の低下が見込まれ減損の可能性が出てきやすくなっています。これからもニュースをチェックしながら、減損に注目していきたいです。
 来週も、引き続き税理士試験の財務諸表論の理論論点と実際のニュースを絡めながら、書いていければなと思います。

 来週もよろしくお願いします!




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