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ソウルシリーズ(1)

 ソウルシリーズというゲームがある。

 2009年にフロム・ソフトウェアとSCEジャパンスタジオによって開発された「Demon's Souls」というゲームが発売され、このシリーズの歴史は始まった。その後ほぼ同じシステムながら世界観を一新した「DARK SOULS」というゲームが2011年に発売された。その後ナンバリングは2、3と続きその間には別システムで開発された「Bloodborne」も発売された。

 俺はこのシリーズのゲームがとても好きだ。

 だが実は「Demon's Souls」(以下デモンズソウル)を購入したのはベスト盤の発売された2010年だった。発売日に購入したわけではないので、バランスの整っていなかったと思われる最初期のボーレタリアを旅した古強者ではないのだ。

 これは俺のゲーム人生的には割と珍しいことで、俺が一番愛するゲームである「ARMORED CORE」シリーズの作品はそのほとんど(初代三部作はそうではなかった。当時、俺はまだ若くゲームの発売日などてんで知らなかった)を発売日に購入してきた。

 しかしデモンズソウルの購入が遅れたのに特別な理由があった――わけじゃない。単純にPS3を買った後、ずっと「ARMORED CORE 4」(AC4)および「ARMORED CORE for Answer」(ACfA)をしていたからだ。俺はそれくらいACが好きだ。当時の俺は日々をACfAで対戦することにつぎ込んでおり、ひどい時には「ドーザーオンリー、歩行オンリー」のルールで立てた部屋に10時間引きこもってひたすらドーザーを振るっていたこともあった。

 そんな日々を続けていた俺だが、ACfAの対戦も常に人が集まるわけではないし、当然やり続ければ飽きも出てくる。そこで俺は何か一人で出来る面白いゲームを求めてインターネットでPS3のゲームを検索し、評価の特に高いものを購入しようと目論んだ。

 そこで槍玉に上がったのが当時BEST版が発売して半年以上経過していたデモンズソウルだった(ついでに友人に薦められ『トトリのアトリエ 〜アーランドの錬金術士2〜』も購入したのだが実はまだクリアしていない)。

 俺は当時重篤なフロムフリークではなく、正確には重篤なアーマード・コアフリークだった。そのためAC以外の作品には目もくれていなかった。少々頭が悪かったのだと思う。一応初代キングスフィールド、キングスフィールド2のプレイ経験もあったが、PS2時代にはアーマード・コア以外のフロムゲーは触っていなかったのだ。

 そしてそんな俺はデモンズソウルを買いのめり込んだ。久々にはまったゲームだった。王城でワイバーンに焼き殺され、坑道で岩に押しつぶされ、塔でタコに突き殺され、祭祀場でガイコツに斬り殺され、谷で毒に苦しんで死んだ。それでもこのゲームから離れることは無く、弟と進行度を競い合い、ひたすらにクリアを目指した。結局当時学生だった弟のゲームプレイ時間の前には太刀打ちできず先にクリアを許してしまったが、嵐の祭祀場2終盤のナメクジ地帯、浮遊する光球に触れるよう弟にアドバイスし爆発で吹き飛ばされる弟を大いにバカにしたことはよく覚えている。

 だがそう言った弟とのバカ騒ぎ以上に楽しかったのが青ファン、いわゆる協力プレイだ。ACfAにも協力システムはあったが身内以外とはプレイした経験はなく、見ず知らずの人間と同一の目的を共有し肩を並べ戦うというのは不思議な楽しさがあった。何せ同僚たちは多くの場合まったく違う装備、戦術を持ち、それでいながらある所では奇妙に似通った行動を見せたり、時には想像もつかなかったような動きでステージを突破し、ボスを撃破していく。楽しくない筈が無かった。

 さらに敵対プレイ、黒ファントムの楽しさも素晴らしいものだった。他人の世界に侵入し、今まで自分を苦しめた敵キャラクターやマップの仕掛けを味方につけ相手キャラクターを撃破する。その快感といったら比較できるものはそう多くないと思う。

 自身だけのキャラクターを作る、というのは割とよくある話だが、まったく違うプロセスを経て育てられたキャラクターと時に協力し、時に敵対するこのシステムは割とバトルジャンキー気味だった俺に取ってはすこぶる心地よいもので、装備から相手の性質・戦術・目的を類推し、状況によっては逃走し、あるいは撃破を狙いつつステージを攻略していく(敵対時はむしろステージの方を見ていることが多かった)というのは、プレイヤー同士のコミュニケーション手段がジェスチャーに限られていたのもあって時に連携をミスって無残な結果に終わることもあった。

 しかしうまくいった時の「やった!」という達成感はその失敗を拭い去るほどの素晴らしい経験で、数日も経つころには俺はその虜となりACfAにつぎ込んでいた時間の半分をデモンズソウルに移していたと思う。

 一月も経つ頃には身内の人間とデモンズソウルの話をする機会も増えた。それで嬉しかったのはフロムゲー特有のぼかされた設定について話し合う機会を多く取れたことだ。いわゆるフロム脳という奴にあたるのだろうか。アーマード・コアシリーズにおいても設定について話し合うことはあったが、今までのメカアクションとは違いファンタジーとなったソウルシリーズはその楽しさ、深さがより一層増したと自分は思っている。

 それ(設定考察)については自分なりの考えをまた今度垂れ流してみたい。

 そうして俺は直接ではないものの実質的な続編『DARK SOULS』が発売されるまでデモンズソウルを楽しんだ。今までになかった高難易度のゲーム体験、他人とのゲーム上の関わりに一石を投じた特徴的なコミュニケーション形態、何よりも困難を克服する達成感。今考えても自身のゲーム人生最高のゲームの一つに間違いないと思う。

 もし未プレイの方がいればぜひ手に取ってみてほしい。

 とりあえずデモンズについてはここで切って次はダクソについての話をしようかな。

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