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看護計画テーマ「ぶどう膜炎患者の標準看護計画」

本日もお疲れ様です。
今回のテーマは眼科に焦点を当てて、「ぶどう膜炎患者」です。
早速まとめてみました。


どう膜炎患者の標準看護計画
 
ぶどう膜炎とは
 虹彩・毛様体・脈絡膜を合わせてぶどう膜と呼ぶ。その部分が何らかの原因で炎症が発症し、視力障害をきたした状態をぶどう膜炎という。ぶどう膜は、血管がきわめて豊富であり、房水の産生や網膜の栄養、眼内組織の代謝など視機能の維持に重要な役割を担っている組織である。その発症部位により、虹彩炎・虹彩毛様体炎(前部ぶどう膜炎)・脈絡膜炎(後部ぶどう膜炎)・全ぶどう膜炎(ぶどう膜全体に炎症が広がっている)などに分類されている。
 
アセスメントの視点
 ぶどう膜炎の症状には、軽症のものから、再発を繰り返し慢性の経過をたどるもの、網膜剥離や壊死など重篤な合併症を呈し硝子体手術や眼摘が必要なものまでと幅広く、適切な看護が要求される。又ベーチェット病・原田氏病・サルコイドーシスなどに代表される全身疾患の症状として現われることもあるため、早期に原因疾患を鑑別する必要があり、諸検査にて特定疾患と認定されれば治療費は免除となる。ほとんどのぶどう膜炎では、ステロイド治療が主体となるため的確な投与と副作用の管理が重要であり、再発を繰り返すことで長期治療となることが多いので患者の精神的、身体的苦痛は大きい。また、退院後もステロイド治療が継続される場合が多く、自己管理に向けての指導も必要となる。
 
症状
 1.自覚症状
1)虹彩毛様体炎:羞明、流涙、眼痛、霧視、球結膜の充血、視力低下、眼圧上昇に伴う頭痛、嘔気、嘔吐
2)脈絡膜炎:飛蚊症、霧視、視力低下、視野障害、色覚障害

 2.他覚症状
1)毛様充血(結膜充血を伴うことが多い)
2)前房水混濁
3)前房内細胞遊出(cell)
4)角膜後面沈着物(KP)
5)縮瞳
6)虹彩後癒着、瞳孔遮断、瞳孔閉鎖、周辺部虹彩前癒着
7)虹彩ルベオーシス(虹彩表面に新生血管がみられる)
8)硝子体混濁
9)眼底所見:視神経乳頭の充血や腫脹、網膜の浮腫混濁や血管閉鎖、滲出液による網膜剥離や黄斑浮腫、浸出物や出血
 
合併症

  1. 虹彩後癒着

  2. 膨隆虹彩

  3. 白内障

  4. 緑内障

  5. 硝子体混濁

  6. 網膜剥離

  7. 視神経萎縮

  8. 低眼圧症、眼球萎縮、眼球癆

 
検査
 1.全身検査
採血、検尿一般、心電図、胸部レントゲン、血沈をして内科、皮膚科(ツベルクリン反応、皮膚生検等)、耳鼻科、脳外科・神経内科(髄液検査)にて、鑑別診断

 2.眼科的検査
視力、視野、眼圧、眼底検査、眼脂培養、超音波エコー、ERG、細隙灯顕微鏡検査、屈折、色覚、光覚
 
治療
 1.局所療法
散瞳剤、ステロイド点眼、ステロイド眼注、遮光眼鏡の使用

 2.全身療法
安静、ステロイド大量点滴、ステロイド内服、非ステロイド消炎剤、鎮痛
剤、免疫抑制剤、コルヒチン

 3.手術療法
硝子体手術、白内障手術、緑内障手術、眼球摘出術
 
特殊な型のぶどう膜炎
 1.ベーチェット病
 眼症状は再発性前房蓄膿性虹彩炎で代表される急性虹彩炎であり、前房下部に白血球が貯留し、一見化膿性炎症のように前房蓄膿が形成される。発作は数日から数週で治まり前房蓄膿も消失するが、長年にわたり発作を繰り返すのが普通であり、慢性虹彩炎の形に移行し、虹彩後癒着・併発緑内障・併発白内障を引き起こし高度の視力障害に至りやすい。通常片眼で始まるが早晩両眼おかされる。硝子体混濁が高度な場合には、網膜症や網膜剥離に至る。失明の原因は一様でないが併発緑内障や極端な低眼圧症の結果として起こる眼球萎縮が大半を占める。治療として、前房蓄膿性虹彩炎が起これば、アトロピン点眼・ステロイド点眼・結膜下注射が用いられ、後部ぶどう膜炎に対しては、免疫抑制剤やコルヒチンの投与が行なわれる。ステロイド剤の長期全身投与は禁忌である。

 2.原田病
 急性に発病し中枢神経(髄膜)、脈絡膜ならびに皮膚や頭髪等の色素細胞を系統的に冒す原因不明の炎症である。はじめ頭痛・吐気・羞明等の髄膜刺激症状があり、耳鳴も時に伴う。この前駆症状の数日後に両眼に急激に視力低下が出現する。網膜剥離は、多発して数日の経過とともに急速に範囲が広がり、数ヵ月後には自然消滅する事が多いが、虹彩症状はいったん出現すれば慢性化する傾向があり、虹彩癒着が併発すると緑内障を併発することがあり予後は不良となる。重篤な場合には眼症状発症数ヵ月後を経過すると夕焼け眼底を認め、皮膚や頭髪に斑状の脱色素が出現する。原田病の急性期には全身のステロイド大量投与が有効である。数日後に眼底病変は急速に改善し、5日から7日後には網膜剥離が殆どなくなる。6週から12週間後には急性炎症が再発することがあるので病状改善後もステロイド投与を経口的に続けることが必要である。

 3.サルコイドーシス
 全身のリンパ節を中心とした諸臓器に肉芽腫をつくる全身疾患であり、眼の障害が高頻度にみられる。全身症状としては肺門リンパ節腫脹・ACEの上昇・ツベルクリン反応の陰性などがある。サルコイドーシスの眼の臨床症状にはかなり明瞭な特徴があり、眼所見をきっかけにして発見されることが多い。原則として両眼が罹患する。眼症状としては、角膜後面沈着物・虹彩後及び前癒着・虹彩や隅角の結節・網膜血管のびまん性の拡張・硝子体混濁・網膜表面に結節形成などがある。治療にはステロイド製剤が有効であり、前部ぶどう膜炎型にはステロイド点眼、後部ぶどう膜炎型にはステロイドの全身投与(内服または点滴)が行なわれる。

 4.転移性眼炎
 敗血症・肺炎・髄膜炎・癌等で血行性に病原体が運ばれ、はじめ化膿性の網脈絡膜炎の形で発症し、進行すると硝子体や水晶体が化膿し、全眼球炎となる。全眼球炎は、穿孔性外傷や眼手術により病原体が眼内に侵入した場合にも発症する。進行すれば眼球内容全体が化膿し、眼球萎縮(眼球癆)に陥り失明する。早期から強力な抗生物質による治療と硝子体切除術などの手術療法が必要である。症状の軽快がみられず、視機能の改善が期待できないときには、眼球内容除去術を行なうこともある。

 5.急性網膜壊死(ARN)
 桐沢型ぶどう膜炎ともいわれ、ヘルペスウイルス感染症が原因であるといわれている。眼底周辺部の広い範囲が白色化し、網膜血管に沿ってわずかな出血を認める。急性網膜壊死の特徴として急性にぶどう膜炎が進行し、さらに網膜壊死から網膜剥離へと進行する。治療は坑ウイルス剤の投与と網膜光凝固術が行なわれる。網膜剥離の初期に硝子体手術を行なうが予後不良例が多い。
 
治療の経過と管理
 ぶどう膜炎の治療は症状や原因によって異なり、軽症の場合にはステロイドの点眼や眼注で経過観察する場合もあるが、殆どがステロイドの点滴や内服による投与となる。ステロイドの量は症状改善に伴い徐々に減量していくが、減量時に炎症の再燃が起こることがあり、眼所見、患者の訴えに注意を要する。ステロイドの長期投与により、ムーンフェイス・ステロイドアクネ・熱感・ほてり・発汗・寝汗・胃部不快・食欲亢進・体重増加・動悸・頭痛・不眠・精神不安定・気分高揚・ステロイド性糖尿病・糖尿病の増悪などの症状をみとめることがあり、身体への影響は大きい。そのため、精神・身体共に患者を注意深く観察し、副作用に応じた適切な対応が要求される。また、内科的疾患の有無や原因検索の検査も行なわれるが、かなり身体的苦痛を伴う検査もある。検査前の十分な説明と検査後には十分に休息できる環境を整えていく必要がある。全身的疾患を有する場合、再発を繰り返し慢性の経過をとりやすい。ステロイドの内服が長期に及ぶとステロイドの自己管理の指導が重要となる。また、白内障や緑内障等を合併し手術の対象となる場合は予後不良である事が多く、精神的サポート・今後の社会生活に向けての情報提供等も要求される。

 1.精神的サポート
 ほとんどのぶどう膜炎では、ステロイド治療が主体となるため、的確な投与と副作用の管理が重要となる。また、再発を繰り返すと長期治療となることが多く、患者の精神的・身体的苦痛ははかり知れない。さらに、急性に発症し急激な視力低下を伴うことが多く、患者に与える危機感は大きい。そのため、患者の眼状態や病気の経過を十分に把握した上での精神的サポートはとても重要となる。ステロイドによるムーンフェイス・体重増加・ステロイドアクネ等によるボディイメージの変化により、特に女性や青年期においてはショックが大きく、治療開始前から十分な説明と管理の仕方や精神的慰安が重要となってくる。

 2.ステロイド管理
 ぶどう膜炎では、発症時より早期に大量のステロイド投与となる事が多く、指示された量を確実に投与しなければならない。ステロイドの使用は重篤な副作用が出現しやすいため、十分な治療についての説明が重要となる。看護師は患者のステロイド治療に対する理解度、副作用症状の程度を把握し、観察、対処していかなければならない。特にステロイド性糖尿病の発症、糖尿病の増悪には十分に注意する必要がある。治療開始前の全身精査は極めて重要であり、患者の病歴を十分に把握しておく必要がある。

 3.眼症状の観察
 ぶどう膜炎では、再発を繰り返し慢性の経過をたどることが多い。そのため、常に患者の自覚的症状(見え方など)の変化、客観的情報、眼症状を把握し、異常の早期発見に努め適切な治療を受けられるように援助しなければならない。

 4.栄養の管理
 ぶどう膜炎では、ステロイド治療が主体であり、ステロイドの副作用として、食欲・体重の増加・ステロイド性糖尿病の発症などがある。そのため、患者の栄養管理はとても重要である。治療中にステロイド性糖尿病が疑われた場合には、早期に内科受診をして適切な食事療法を実行する必要がある。ステロイドによる消化器症状のため食欲亢進がある場合は無カロリー食品にて空腹感を補ったり、逆に食欲低下に陥った場合は食物形態を変更して患者の嗜好に合わせた食事にするなどの工夫が必要である。その他、ステロイドによるカリウムの低下に対しては、内服による治療の他に、果物やカリウムが多く含まれる食品などを摂取するようにすすめていく必要がある。
 
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