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看護計画テーマ「外科 OPCABの標準看護計画」

割引あり

いかがお過ごしでしょうか?
実習中の方は、あまり無理せずサボれるところはサボりましょう!
そんなあなたに今回はOPCABの標準看護計画についてまとめました。

OPCABの標準看護計画
OPCABとは
 OPCAB=(off pump coronary artery bypass)
 冠動脈の狭窄部より末梢と大動脈をバイパスでつなぎ、末梢の血液を確保するための手術である。
 OPCABに用いられる血管は、内胸動脈(IMA)、大伏在静脈(SVG)、胃大網動脈(GEA)橈骨動脈(RA)がある。
 
 適応
1.左冠動脈主幹部病変が50%以上の狭窄例
2.高度な三枝病変の長さが1cm以上など、PTCA施行困難例
3.冠動脈末梢枝が狭窄、不整がないこと
4.左心機能として駆出率(EF)20%以上、左室拡張末梢圧(LVEDP)20mmHg以下であるもの
5.PTCAあるいはPTCRが試みられた後に、緊急手術が必要な事もある
 手術治療目的
1.狭心痛、心不全の改善
2.生活の質の向上
3.寿命の延長
 これらの目的を達成するためには、症状、冠動脈造影所見(冠動脈病変)、左室機能、弁機能等から総合的に検討し、手術選択の決定を行う。
アセスメントの視点
 OPCABは虚血性心疾患の代表的な治療の一つである。しかし近年、内科的にPTCAやカテーテルによるステント留置が行われるようになってきている。そのためOPCABの症例は、内科的治療困難症例(多枝病変、重症度の高い症例)が適応とされるようになってきている。
検査
 胸部X線撮影、安静時心電図、血液凝固検査、生化学検査及び血液一般検査、負荷心電図(Mastar=階段テスト、Treadmill テスト)、心エコ−図、頚部エコー、CT、心筋シンチグラフィ−、カテ−テル検査(心拍出量、心内圧)、冠動脈造影、左室造影、心機能の評価を目的とした特殊検査(既に内科医によって検査がすんでいる事が多い)及び麻酔科、手術のためのル−チン検査を並行して施行する。
手術直前の管理
 1.患者と家族への手術についての説明
冠動脈病変の程度、狭心症の重症度、予後及びOPCABの方法、術後経過及び合併症の発現等についての主治医の説明を把握する。
 2.術後管理についての説明
術後に患者の協力を得るため、また不安を軽減するためにも、術前、クリティカルパスやパンフレットを用いて術後回復室の収容について人工呼吸器の役割、各種モニタ−の重要性、多くの点滴ラインが挿入される理由を説明する。
 
術後の経過と管理
 手術を終えた患者は、未覚醒の状態で術後回復室に収容される。術後回復室へ入室直後複数の看護師で、ライン類の接続および観察を、素早く行うことが要求される。
 以下の処置を行う。
1.      人工呼吸器の装着(設定条件の確認)
2.       心電図モニタ−電極装着。動脈圧ライン,スワンガンツカテーテルの肺動脈圧(PAP),中心静脈圧(CVP)ラインとモニターの接続。心拍数,血圧,肺動脈圧がモニタリングされ観察する。
3.       スワンガンツカテーテルと末梢輸液ラインへ、指示された薬剤・量の注入開始
4.        
 精神的サポート
 患者の多くは、外科病棟に入院する直前、多かれ少なかれ循環器専門医の精査、濃厚な内科治療が行われ、既に外科的適応が十分検討されている。患者は外科的治療に対して納得し、一大決心のもとに入院してくるが、やはり手術に対する患者の不安、緊張感は計り知れない。
 1.循環動態の管理
 1)血圧(Aライン上からデジタル表示される)
状態が安定するまで15分ごと、その後30分〜1時間ごとに観察。Aラインモニタ−用カテ−テルよりモニタ−に波形と数値が表示される。波形がゆるやかな場合は、ラインの閉塞か、血圧下降が考えられるので輸液量と尿量のバランス、出血量、中心静脈圧など、その他の状態と合わせて、数値の意味を判断し医師に報告する。
 2)心拍数
状態が安定するまで15分ごと、その後30分〜1時間ごとに観察する。不整脈出現時は種類と頻度を観察する。特に心室期外収縮(PVC)の頻発や心室性頻脈は、心室細動に移行する危険性があるので医師に報告する。
心拍出量の増加や、心室期外収縮の頻発の抑制などの目的で術中に心房や心室に一時的ペ−シングワイヤ−が縫着される。使用中は、ペ−スメ−カ−設定条件や効果などを観察する。
 3)肺動脈圧(PA圧)
正常値は、15〜35/8〜13mmHg(平均20〜25mmHg)
左右短絡疾患により、肺動脈血流量が増加した場合や左心不全のときに上昇する。
 4)中心静脈圧(CVP)
連続的にモニタ−され、バイタルサインチェック毎に観察する。スワンガンツカテ−テルで測定するCVP圧は、循環血液量と心機能、右心不全の程度の指標となる。
正常値は5〜10の範囲で、5以下では循環血液量の不足、15以上では心不全を疑う。
 5)心嚢・縦隔・胸腔ドレ−ン
出血量・性状の経時的変化に注意し観察する。ドレ−ンが凝血により閉塞すると、心嚢・胸腔内に血液や浸出液が貯留し心タンポナ−デや、呼吸不全の原因となるため必要時ミルキングを行う。出血が多く続き、頻脈・血圧下降・Hb・Htの減少等の症状が続くときは、再開胸止血術が行われる。
 6)尿
バルーンカテーテルが留置される。1時間ごとに尿量・比重・性状を観察する。尿は心拍出量・循環血液量・腎機能などに影響されるので、多くの情報が得られる。尿量減少は、心機能の低下による心拍出量の減少、循環血液量の低下、腎機能の低下などが考えられる。尿量増加は、輸液の過剰投与なども考えられる。
 7)輸液
術後、種々の薬剤投与や輸血が行われるので、3〜5本の輸液ラインが確保されるそれぞれの輸液が、どのラインから注入されているかを確認し、滴下速度を調節する特に強心昇圧剤・抗不整脈剤・血管拡張剤は、自動輸液ポンプで確実に滴下し、他の薬剤の注入は同ラインからは行わない。また、電解質液であるK製剤は、倍量あるいはそれ以上に希釈して投与する。

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