2023年振り返り③

やあ。
きみがこれを読んでいるということは、
ぼくはもう、
人間じゃないかもしれない。
2023年
F.WALTに、いや、
TAIOSINに訪れた3つ目の転機。
あのときなにが起きたのか。
知っておいてほしいんだ。
ぼくが人間であった証を。


2023年7月

3つ目の転機はここ。
レコーディングに向けて
楽曲制作を行っていた。
8月の頭には録り終えて
9月に入ったらリリースする予定だった。
しかし、そう上手くはいかなかった。
新メンバーを迎え、できることが多くなった。
その分、迷いも生じてしまった。
シンセサウンドをふんだんに取り入れて
音楽性を大きく広げるか。
それとも、
バンドサウンドにフォーカスして
1stE.Pいや、
1stキスの方向性を深化させるか。

1度F.WALTの音楽性の変遷を振り返ろう。

夢に満ち溢れた大学生期

人類最後の秘境山形県で
稲作をしていたときから
バンドが夢だった。
とはいえ、こういう音楽がやりたいという
具体的なイメージは持っていなかった。
大学に進学し、
サークルでメンバーも見つかり、
いざやろうとしたしたときに
一番はまっていたのが
Bring me the Horizonだ。
ここから我々がシビュラシステムに支配される
運命となった。
ほかにも、miss may i , motionless in white
などメタルコアスパイシーキッズ全盛期。
このときはこの世界で自分だけがメタルだと思っていた。

オーストラリアに希望を抱いた中退期

この時期からあまりバンドを
聴かなくなってくる。
porter robinson , HoneyComeBear ,
Yuc'eなどの
アーティストにはまっていた。
伝説の名曲「Walk little by little」には
この影響がもろにでている。
また、バラードな曲が
多くなったようにも思う。

リトルTAIOSINと対話した
完全在宅Dreamer期

このあたりは以前触れたが、あらためて話すと、
稲作時代聴きまくっていた
SAOSIN , Pay money to my pain
などのサウンドを目指している。
割愛。

このような変化を経て、

F.WALTらしさとは?

模索の日々が続いた。
それは突然終わりを告げる。

何の気なしにyoutubeで目に留まった
見知らぬバンドのライブ映像
ドラムのビートから始まり、
1,2,3,4のかけごえでバンドインした瞬間
鮮やかなコードが爆発する。
心をぎゅっとつかまれた。
5人編成でありながらギターボーカル。
トリプルギタースタイル。
上手とはいえない歌。
上裸のドラム。

バンドって楽しそう。

変な話だが、素直にそう感じた。
ずっと、こんなふうにバンドをやりたかったのかもしれない。

ただコード弾いて、ブーンって鳴って、
そしたら音楽だ。

かつてシドヴィシャスが言ったように。
バンドって、これでいいんだよな。
肩の荷がすっと降りた気分だった。

作曲スタイルも自然と変化した。
以前はDAWソフトを立ち上げ、核となる
ギターフレーズを作るところから
スタートしていた。
しかし、今は
あいみょん顔負けの弾き語りスタイルで
作曲している。
部屋を暗くし、ベッドの上でギターを構える。
コードを鳴らす。
鼻歌でメロディを歌う。
恥だらけの人生が救われるように
祈りながら。

隣から苦情が来ないことも願いながら。

遠くにそびえる山々。
先が見えないくらいまっすぐ伸びる道路。
春は桜が舞って、
夏は入道雲がそびえたち、
秋は稲穂が頭を垂れて、
冬は雪のまぶしさに目をつむって、
果てしなく続く道を歩きながら
イヤホンから聴こえる音。
それが音楽のすべてだった。
もう少しだけ、
自分のためにギターを弾いてみようと思う。

そうして何とか曲が出来上がった。
かなり短期間で練習して
レコーディングに臨んだ。
このときにはすでに
からだもメンタルも限界を超えていた。
3徹でむかえたレコーディング当日。
ドラム、ベースと滞りなく進んでいき
ギターセクションへ。
このとき協力してくれたKatsunoriへ最大限の感謝を述べたい。
現在、メインでギターサポート
してくれている。
正規メンバーで活動しているバンドでは
ボーカル担当だ。
さらに、完全リモートで仕事をしている
勝ち組でもある。

・高身長イケメン
・ギターも歌もうまい
・安定した高収入

本来なら丑の刻にまいって呪ってやる存在だ。
しかしながら、抜群に人当たりがよく、
自らのハイスペックさを
ひけらかすようなこともしない。
人間までできている。
彼はレコーディング中、
機材も貸してくれたし、
積極的に意見も出してくれた。
「Yours Truly」の天にも昇るような
エクスタシーを感じるギターソロは
彼が考案し録音までしてくれたものである。

ただし、この時6徹目を迎えていたTAIOSINは
世界のすべてを憎んでいた。
Katsunoriの的確なアドバイス1つ1つが
心に突き刺さってしまった。

「ぬわ~に~?!きさま~!!
このおれが42歳無職童貞子供部屋おじさんと
知っての狼藉か~?!」

TAIOSINはとうとう発狂した。
急に顔色を変えてイスから立ちあがると、
何か訳の分からないことを叫びながら、
そのまま外に飛び出して、
闇の中へと駆け出した。
TAIOSONはもう虎になっていた。
なぜこんなことになったのだろう。
わからない。

いや、ほんとうはわかっている。
自分に才が無いことが露呈することを
恐れていた。
“臆病な自尊心”“尊大な羞恥心”
そうさせたのだ。

もはや人間としての生活は出来ない。
もう、別れを告げなければならない。

帰るときには決してこの道を
通らないで欲しい。
友人と分からずに襲いかかるかも
知れないからだ。
また、今から別れて、あの丘にのぼったら、
こちらを振り返って見てもらいたい。
今の姿をもう一度お目にかけよう。

F.WALT一行が丘の上についた時、
彼らは、言われた通りに振り返って、
先ほどの林のなかの草地を眺めた。
たちまち、一匹の虎が草の茂みから
道の上に躍り出たのを彼らは見た。
虎は、すでに白くなり光を失った
月を仰いで、
二声三声吠えたかと思うと、
勢いよく元の草むらに戻り、
再びその姿を見ることはなかった。

今日もどこかで、
TAIOSINの咆哮が響き渡る。


2023年振り返り③

山月記

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