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コロナ禍で売り上げが3分の1に。時流に合わせて自分たちのスタイルを変化させ、半年でV字回復へ

お久しぶりです!タイミーの小川です。
すみません、お盆ゆっくりしてしまったので更新頑張ります..笑

今回は順調に成長を続けていたタイミーが大きな壁にぶち当たってしまったコロナ禍のときの話をしたいと思います。

ぶっちゃけるとその頃の僕は少し注目を浴びて浮かれていました。サービスリリースから1年ちょっとでテレビCMを放映し(2019年11月)、各所から登壇依頼がくるイケイケの状態。
皆さん、想像してみてください。ついこの前までただの大学生がリリース1年ちょっとで橋本環奈さんのTVCMを放映ですよ。浮かれない方が難しい気がすると言い訳をしておきます..←
(今は周りからのご指導もあり謙虚になったかなと思います、多分、笑)
しかし、天狗になった鼻をボキッと折られるようなそんな経験をしたので、その件も合わせて話していきたいと思います。

コロナ禍で売上が3分の1に

2020年1月にはアルバイトも含めた従業員数が100人を突破。採用のアクセルを踏んでおり、それに合わせてオフィスを池袋に移転することにしました。「この場所にしよう!」と決めたのは 竣工されたばかりの新しいオフィスの27階、ほぼ1フロアの300坪。もう気合いが違います(笑)。

※2023年8月現在はさらに移転をしており、汐留に本社を構えています。

ユーザーが増え、資金調達を行い、テレビCMを流し……。タイミーの認知度はグッと高まっていました。そして、ありがたいことにタイミーという会社を立ち上げた「小川嶺」という人間にも注目が集まるようになっていました。

正直「大学生起業家」という肩書のせいもあったかもしれませんが、僕はタイミーが社会に貢献できるサービスだと期待されていたからと疑っていません(笑)。大企業や大学、地方イベントなど講演依頼が大幅に増え、メディア露出も絶えることがありませんでした。

このような扱われ方をされる中で、正直、僕自身も浮かれていたと思います。

YouTubeで学生起業家のリアルを届ける「タイミーチャンネル」なるものを立ち上げてみたり(恥ずかしいので今は非公開です……!)、エンジェル投資家として学生ベンチャー企業に出資したりと、僕は社外での活動にも力を入れはじめていました。

今現在、あの頃の自分を振り返ると、天狗になっていたんだと思います。

ですが、そんな状況も長くは続きません。新型コロナウイルス感染症拡大です。

タイミーの名古屋支社を立ち上げた翌月の2020年3月12日に、WHO(世界保健機関)がパンデミックを認定。ほどなくして日本でも感染者が増えはじめ、4月7日には「埼玉・千葉・東京・神奈川・大阪・兵庫・福岡」を対象とする緊急事態宣言が出されました。宣言の対象地域は、タイミーが主要展開しているエリア。ほとんどの飲食店は休業を余儀なくされ、タイミーの売上も大打撃を受けたのです。

当時、タイミーの売上の約70%を飲食業が占めていましたが、それが一瞬で前月の5%以下になりました。売上額で言えば、単月5000万円規模が一瞬で3分の1以下になったのです。

圧倒的な上昇気流のなかで有頂天になっていた僕は、この状況に戦慄していました。とくにタイミーは飲食業界を中心に展開してきたビジネスです。しかし、コロナ禍によってもはや業界構造が変わってしまいました。

飲食店の皆様と一緒に歩んできたタイミーだったのに。メンバーには、飲食業界に頼りすぎてはいけないという意味で「もう以前の状態には戻らないよ」と伝えたのを覚えています。

本社が大変だったのは言うまでもありませんが、支社の苦境も相当なものでした。例えば、食堂街が膨大なアルバイト雇用を生んでいる福岡は本当に悲惨で、ほぼ虫の息状態でした。

コロナ禍でタイミーが行ったこと

コロナ禍で追加の資金調達に向けて動きながらも、タイミーは大きく2つの戦略を取りました。

①「物流業界」へのシフト
②「タイミーデリバリー」の展開です。

タイミーデリバリーというビジネスについては次回にするとして、この記事では、業界シフトをした話を紹介したいと思います。

「物流業界」へのシフトは明快でした。

それまでタイミーを導入している事業者は、飲食業が中心。しかし、コロナ禍が続いているかぎり、飲食業界は苦しい状況であり、スキマバイトは活用されないだろうと予測していました。

実際、緊急事態宣言が明けた2020年の7月からも飲食業には時短営業要請が出されるなど厳しい状況が続いていたのです。

生き残っていくためには、他業界へも手を広げて、飲食業界への依存度を低下させることが急務でした。もちろん、飲食業界はまた盛り上がるだろうと信じていたし、そのときにタイミーがなければならない!という使命感があったのも事実ですが!

そこで、最も有望だったのが物流業界です。

事業を立て直すための戦略を必死で練っていたときに、すべての利用顧客を分析しました。すると物流業界と小売業界はコロナ禍でも売上が落ちていないということに気がついたのです。

コロナ禍によって人の流れが抑制されたとしても(あるいは、抑制されたからこそ)、世の中のモノの流れは変わらずに、むしろそれまで以上に流れ続けるものです。しかも、物流業界は飲食業界と同様に労働集約型の産業です。タイミーに膨大なニーズがあるのではないか、と確信しました。

当時はまだ積極的に営業をかけていたわけではありませんでしたが、幸いにも、すでにタイミーを導入してくださっている物流倉庫も見受けられました。そうした事業者の状況を徹底的にヒアリングし、ある程度の勝ち筋を見極められたことが、その後の命運を決めたように思います。

「物流業界を攻めよう。物流顧客の売上をつくり出してほしい」

このミッションを受け取ったのが、当時営業トップを走っていた眞玉京さん(現在:特定法人事業部部長)です。物流事業者のポテンシャルを測りかねていたこともあり、いったん彼だけにこのポジションを引き受けてもらったのです。

そこで、さらに強力な追い風を送ってくれたのが、2020年9月のシリーズBラウンドでタイミーに出資をしてくれたプロロジスでした。世界20カ国で物流施設を開発し、賃貸用に提供している同社は、物流倉庫の圧倒的なコネクションを持っていました。
当初出資いただく時は飲食がメイン事業なので、いつか物流に注力する時にお願いします!という中でご出資いただいたのですが、こういう先を読んだ手を打っておいてよかったなと本当に思っています。

営業トップの眞玉さんの奮闘に、プロロジスの後ろ盾が加わった結果、タイミーの売上は右肩上がりへと転じます。そして、数か月たったあたりから、ものすごい上昇カーブをたどり始めたのです。売上も、テレビCMを打った2019年12月の過去最高額を更新し、絵に描いたような「V字回復」です。

当時の回復の様子(数字は非公開です)

これ以来、物流業界はタイミーのもう1つの柱となり、現在に至るまでの成長を支えてくれています。

既存にしがみつかず、常に変化し続ける

僕らがV字回復して、その後も売り上げを伸ばし続けることができているのは、まさに「選択と集中」を意識してスピーディーに変化し続けたことが成功の要因だったと思っています。

売上ダウンを補うために、戦略にあった組織を新たに編成し、営業トークもガラリと変更し……。経営者として決断するのは一見簡単かもしれませんが、これを実現できたのも、信じてくれたメンバーたちのおかげだと思っています。新規で市場を広げていくのは怖かったかもしれません。しかし、それをむしろ、可能性だと捉え楽しみながら進んでくれたことに感謝をしています。

今は本当になにが起こるかわからない時代です。常に現状に満足することなくどんな状況でも戦えるような組織であり続けたいと思っています。

さて、もう一つの施策の「タイミーデリバリー」については次回の記事で紹介したいと思います。正直、失敗に終わったので、「タイミーってデリバリーやってたの?」と知らない方も多いかも。

でも、新規事業の失敗があったからこそ、今の僕がいると言っても過言ではありません。「社長を退任しよう」とまで思い詰めてしまった熱い話ですので、気合い入れて書き進めたいと思います!


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