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債券こそ分散投資が必要なワケ

クレディスイスのAT1債が、日本でも個人含め1400億円程度販売されており、著名人が(おそらく)数千万円以上全損したという話や、ゲーム会社が41億円全損したと報じられている。
本当に残念な話で、後講釈を述べるのも少々気が引けるが、ここで債券投資における分散の意味について整理しておきたい。

分散投資は長期投資と並び王道の理論としてその重要性が常識となっている。しかしデメリットはないのだろうか?
株式投資においては分散投資は、アップサイドを限定してしまうというデメリットがあるとも言える。個別銘柄では比較的短期間で10倍以上になる場合もある株式も、多数の銘柄に分散してしまえば、全体としてそのような極端なアップサイドは望めなくなる。(もちろん逆にダウンサイドの可能性も限定的になるのが分散投資のメリットである。)
これが債券の場合、そもそも各銘柄のアップサイドは限定的なので、分散することでアップサイドを限定してしまうということはあまりない。債券のリターンは銘柄による差が株式のように大きくなく、おしなべて数%の利回りを期待するものだからだ(分散しても全体として期待できるのはやはり数%の利回りだ)。一方で分散することにより、債券最大のリスクであるデフォルトというダウンサイドは限定することができる。例えば100銘柄投資して、すべてがデフォルトする可能性は極めて低いからだ。
従って株式よりも更に債券投資において、分散投資は有効と言えるだろう。

ただしクレディスイスのAT1債もそうだったが、一般的に債券は株式よりも更に最低投資金額が大きい。複数銘柄に分散する為には、それなりの資金が必要だ。
また各債券の詳しい条件(例えばクレディスイスのAT1債については政府が支援する場合無価値になるという条項があったようだ)の理解が投資する際に非常に重要な為、やはりプロが運用するファンドに投資するメリットは大きいと考えられる。