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ワインファンドと音楽著作権ファンドの違い〜オルタナティブ投資の種別

今回はオルタナティブ投資の種別について解説したい。先ずはクエスチョンから。

問.以下のオルタナティブ投資における対象資産を同じ種別ごとに3つのグループに分けてください。

  1. ワイン

  2. 音楽著作権

  3. 株式マーケットニュートラルファンド

  4. 農地のリース

  5. プライベート・クレジット

  6. 債券アービトラージファンド

  7. ビットコイン

(答えは最後に)


さて「オルタナティブ投資」にはヘッジファンドやプライベートエクイティやコモディティやリアルアセットが含まれると説明されることが多いが、ここではキャッシュフローに焦点を当てて資産としての性質の違いで3つに分ける。

1.株や債券などを対象に空売りを上手く組み合わせて儲けを狙うファンド(ヘッジファンド)

ヘッジファンドとは、株や債券などを買うだけでなく、空売りもうまく組み合わせることによりマーケットの影響をあまり受けないようにして、常に儲けを狙うファンドだ。例えばトヨタ株を買って、ホンダ株を空売りすれば、日本の自動車株全体の動きにはあまり影響を受けずに、トヨタ株とホンダ株の値動きの違いだけを取ることができる。ヘッジファンドに投資することは、投資対象のマーケットではなく、そのファンドを運用するマネージャーの腕に賭けることになる。

2.現物の資産で、それ自体からはキャッシュフローを生まないもの(コモディティ)

例えば、投資対象として人気の金/ゴールドは、もちろん利用価値はあるものの、それ自体キャッシュフローは生まない。需給で価格が変動するだけだ。原油やビットコイン、ポケモンカードも同じくキャッシュフローは生まないが、利用価値というより希少性により価格が上昇する可能性がある資産だ。ワインも同じ類のもので、最近ワインに投資するファンドが一部で流行ったと聞いた。

3.現物資産にせよ無形の資産にせよ、キャッシュフローを生む株や債券以外の資産

不動産は商業用であればテナントから、賃貸マンションであれば入居者から賃貸料が入る。農地は農家にリースして収入が得られる。無形の資産でも、例えば誰かにお金を貸せば金利を含め返済を受けられるので、”債権”もキャッシュフローを生む資産である。音楽などの著作権もロイヤリティ収入が得られるのでキャッシュフローを生む資産だ。

以上のように、オルタナティブ投資とは一般的な株や債券以外の投資手段を意味するが、①投資対象自体は一般的な株や債券でも運用者の腕により絶対的な収益を目指すヘッジファンド、②株や債券以外の資産で、キャッシュフローは生まないが需給により価格上昇が期待できる資産、③株や債券以外でキャッシュフローを生む資産の3つの種類に分けることができる。

投資としての儲けだけを考えると、どれが結果的に一番儲かるかは分からない。しかしどのオルタナティブを好むかは、人によってはっきりと分かれるのではないだろうか。例えばビル・ゲイツは2年前に、NFTを「より愚かな人がより高値で買うことに賭けるだけに過ぎない」とし、自身は目に見える生産性のある資産、例えば農地や工場や、商品を製造する会社を好むと発言している。

筆者が経営するKeyaki Capitalも、オルタナティブ全般ではなく、あくまでキャッシュフローを生む資産への投資機会を提供することにこだわっている。それが投資としての見えやすさや、ひいては充実感や高揚感につながり、更に大きな観点でいうと本源的な資金循環につながる投資であると考えているからだ。

(答え)
グループ1:株式マーケットニュートラルファンド、債券アービトラージファンド 
グループ2:ワイン、金、ビットコイン
グループ3:音楽著作権、農地のリース、プライベート・クレジット