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帯化自主企画「原野商法」

 こんばんは。帯化の島崎です。われわれは3/18(土)に新音源集『御池塘自治』のリリースを記念した初の自主企画イベント「原野商法」を開催します。出演は大山田大山脈、UPTIGHT、割礼、帯化の4組。場所は桜台poolです。
 今回はこの自主企画イベントについて気合のある意気込みをしたためるべく筆を取りました。まずは演者の皆様を紹介します。

 まず大山田大山脈。彼女はぼくらが主催しているレーベル、造園計画から作品をリリースしている電子音楽家で、アンビエントなんだかニューエイジなんだかサイケなのかテクノなのかわからないうえ、不穏だと思ったら穏やかになったりと、掴みどころがないようで作家性ははっきりしていて、でもとにかく総じて全部「いい曲」という、すごいバランス感覚を持っている作家です。当日の物販では完売している既発作品のリプレスが買えるという噂があるので、買い逃した人はそちらも気にしておいてください。


 続いて、彼らが心おきなく演奏をできる環境を作るという名目でライブハウスがひとつ建ったという伝説を持つ静岡の秘宝、UPTIGHT。
 「ギターってこんな音出るのか…」という素朴な驚きを呼び起こすギターサウンドと、リズムが水平方向に伸びていくようなゆるやかなグルーヴを作るベースとドラムの職人的演奏を聴けば、ドラムとベースに何の工夫もなくギターの音がデカいだけでカルトバンドぶるような「爆音サイケ」みたいなものと彼らがまったくの別物であることがお分かりいただけると思います。
 去年静岡で共演した際、あまりの素晴らしさに声をかけさせてもらったところ意気投合し、「また必ず共演しよう」という固い約束を結んだのですが、今回のイベントはその約束の実現というわけです。


 そして、ジャパニーズアンダーグラウンドのなかでニューウェーブ、ポストパンク、サイケデリックをまとめあげる存在、割礼。
 彼らの音楽を聴いていると、「超スーパースローのベルベッツ」、「湿気の多いテレビジョン」、そんな表現が浮かびますが、ドラッギーな要素もありつつ、ある種のフォークっぽい叙情性が主成分となっている感じが彼らの音楽を特別なものにしていると個人的には思っています。


 で、最後はぼくら帯化。ギターとドラム二人組のバンドです。2019年くらいから活動をしています。最近新しいアルバムを出しました。


 と、こんな感じで、ぼくらも30に差し掛かる年齢なので、勢いで押し切るようなメンツではなく、「バカテク」みたいなものに還元されない独自の技術やひとつの「妙」を磨いているような演者を集めました。

 それから帯化や大山田大山脈と、ぼくらからみたら祖父世代(これはあくまでバンドにおける世代の感覚ですが)にあたる割礼やUPTIGHTなどのバンドが音楽的な系譜がつながっているのに現実的な関係性としてあまりつながってない感じはもったいないなと思っていたので、この日は疎遠だった祖父と孫が邂逅する法事みたいな1日になればと思っています。皆さんも、「こいつとこいつ目元が似てるな」とか、「口元はちょっと違うんだな」とか、それぞれの演者の「顔」=演奏の似てるところ、似ていないところを聴き比べたりしても面白いと思います。

 では最後に「原野商法」というタイトルについてもちょろっと触れておきます。この「原野商法」という言葉は、ほとんど価値のない土地(「原野」)を売りつける悪徳商法の呼称で、北海道なんかで一時期流行ったらしいです。
 そういう意味でいうと、「ライブハウスに行って売れてないバンドの演奏を見る」というイベント自体まさに「原野」そのものです。近年暴落も暴落。大暴落です。コロナの影響もあるでしょうが、もっと楽で楽しいものが沢山ありますから、コロナ云々はそこまで関係ないでしょう。

 なにせ今の時代、月額いくらか払えば、映画もアニメも音楽も、名作として約束されているものから最先端のものまで網羅できてしまうのです。ガス、電気、水道、食料品は値上がりしましたが、コンテンツレベルで考えたら、こんなに作品が安売りされている時代はありません。しかも何かを選んで買う必要もないわけです。月額を払ったらあらゆるコンテンツにアクセスできるのですから選びたい放題です。作品がつまらなければ途中で離脱してもう一度選び直せばいい。便利ですね。

 それと比べたらわざわざ外出して、暗いし臭いライブハウスにいくなんて、なんだかめんどくさそうです。そりゃ人も来なくなります。でもみんなわかっているはずです。本当にエキサイティングなのはリスクのあるもの、めんどくさいものです。
 なのでぼくらはこのイベントに来れば穏やかになれますとか、そういう嘘はつきません。ここは「原野」です。あとあと「詐欺だった」と思うかもしれません。それにリスクの補填もしません。他のものも選べません。この日のイベントに来て失敗だったと思ったら、その日一日は無駄に終わるでしょう。それでもいいと思ったら来てください。ぼくらはリスクと対価を支払って来てくれた皆さんが「いい一日だった」と思えるよう、全力で演奏するつもりです。
 と、ちょっと調子に乗っていろいろ書きましたが、イベント会場である桜台poolは結構座れるとこがあったり、演奏スペース以外の「逃げ場」がある(あと謎の改造重機の展示もある)良いところです。なのでずっと立ちっぱで演奏を見続けるみたいなことにはならないと思います。

 さて、一応のフォローも終わったところで、しっかり告知しておきましょう。帯化、初自主企画「原野商法」ぜひ来てください。以下に改めて詳細載せておきます。予約も可能です。荒れ放題の良い「原野」揃ってます。3/18は「原野商法」、「原野商法」へぜひお越しください!

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《 原野商法 》
3月18日 (土)
桜台pool

-出演-
大山田大山脈
UPTIGHT
割礼
帯化

開場 17:30 / 開演 18:00
前売 / 当日 2,500円

《予約》
https://forms.gle/SEDYP9AxH7qnuSyL7


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