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身備五弓

太極拳の本を書くにあたり、自分が習い始めた初日を思い出してみた。

洪拳の練習で腰を傷めていた私に、老師が太極拳で治せと言って太極拳の先生を紹介してくれることになった。

大学病院の針でも、物理療法でも治らないのに太極拳で治るのか?と思いつつ…。

初日は太極拳の先生ではなく、日本語が少し話せるお弟子さんがわざわざ宿舎まで来て下さった。

老師に学ぶ前に簡単な基本を教えておくということだった。

説明を聞きながら、手で円を描くことを2時間余りやっていると、身体中の関節がギシギシときしみ始めた。

自分の耳にはその音が本当に聞こえていた。何だか身体が変だ。関節が音を立てていると訴えると…。

それは良い兆候だからと言って、更に練習は続いた。

すると、今度は両手の指先から何か目に見えないものが物凄い勢いで吹き出すように感じ始めた。

いくら目を凝らしても何も見えない。でも、はっきりと何かを感じていた。

どうやら、腕に気が通り始めた時の初歩的な反応ということだった。

この時、洪拳の老師も面白がって一緒に練習していたのだが、彼も同様の体験をしてビックリしていた。

太極拳には身備五弓という考え方があって、太極拳には五張の弓を身体に備えることが必要とされる。

この時、私が練習したのはその為のファーストレッスンでした。

この練習の詳細を全て本に書こうと思ったが、武術の基本が理解できていないと到底理解できるものではないということに気づいたので、先ずは太極拳の入門書から書くことにした。

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