此橋不渡 中道衷情
Once upon a time
あるお坊さんが
将軍さまに呼び出され
お屋敷に向かう道中
大きな川に掛かる橋の前で
立て板に書かれた文字を
眺めておりました
この橋 渡るべからず
お坊さんは
じっと考えていましたが
ニヤリと笑うと
橋の真ん中を堂々と歩き
渡ってしまいました
お坊さんは
将軍さまのお屋敷で
その件を問いただされると
「はい確かに『はし』を渡るな
と書かれていたので『真ん中』
を渡りました」
と答えました
将軍さまは持っていた扇子で
お坊さんのハゲ頭をスパーンと
叩きました
「漢字で書いといたわ」
お坊さんはハゲ頭を撫でながら
将軍さまと顔を見合わせて
大笑いしましたとさ
めでたしめでたし
で
なんでも真ん中に寄れば
いいってもんじゃないって話
右派でも左派でも上下でもなく
仏道は中道なんて言います
が
我々の偏りに満ちた視力
で
真ん中に集まった
ら
中央は凹みま
す
十方三世にバラバラ
そのまま
それだけで
みんなが中心
みんな違って
めでたしめでたし
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