11.six roads

 六道とは、地獄・餓鬼・畜生・修羅・天・人の六つの道。
 六道輪廻といった独特の世界観は、仏教に免疫のない人にとって、非現実的な精神世界の話にしか感じられないかもしれない。しかし、私は次のように考えている。
 地獄は苦しみだけの世界。餓鬼は欲貪る世界。畜生は意味知らぬ世界。修羅は争い奪う世界。天は最高の世界。これに人を加えた無常の世界が六道。私たちの命は生まれかわり死にかわり、この六つを繰り返す。これは、どこか別の世界の別の生命体に成る話ではなく、

 ヒトの生涯のうちにも見てとれる


 先ずは苦しみの世界に誕生してしまう。最も苦しい地獄の瞬間、ヒトは泣いて生まれる。そして文字の如くガキとなり、我儘に欲を貪るって成長し、畜生となり、生きることだけに囚われる。やがて戦い奪わなければ生きられない修羅の道を進み、敗者は堕ちぶれ、勝ち抜けた者は有頂天となる。しかし何れも無常、決して続かず、苦悩尽きぬ世界。
 

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