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#穴の中の君に贈る
【#毎週ショートショートnote】穴の中の君に贈る
「ねえ、ドーナツを穴だけ残して食べることできる?」
そういって彼女は目の前にあるドーナツを片手で持ち上げた。
ある休日の午後、僕たちはある喫茶店にいた。昔からある古びた店だが、ここの手作りドーナツが二人とも好きでよく食べに来るのだ。
「ん、どういうこと?」
いきなりの不思議な質問に僕は戸惑う。少し考えてから答える。
「ギリギリのところまでドーナツ生地を食べればいいの?」
「それじゃ完食じ