見出し画像

メモリアル

まだ、名前の付いていない島へ行こう
その場所で二人、星空を眺めるんだ
無駄な光の無い空間で見える
瞬きの素晴らしさよ
いつまでも続け、続け

貴女のことだけを知った気でいたい
いつか四畳半から二人で見上げた夜空の
星の無き事を嘆くより
今、見えるこの素晴らしき空を
瞳に焼き付けて生きてみないか

生きることは難しい
途方もなく難しい
自身の身を投げ出してまで護りたいものを
抱えると途端にハードルが上がる
それを悲しみと捉えるか
楽しみと捉えるかは、人それぞれだけれど

色褪せない水彩で描かれた書のような
景色を共有した時の衝撃と
貴女に初めてくちづけしたその日のこと
僕はきっと生涯忘れないだろう
あの日履いていたスニーカーがどんなものなのかは
思い出せないけれど

貴女のことを忘れない
すぐ近くにいるのに、変な話だよね
ただ、
傍にいたって忘れてしまう関係性で溢れてしまったこの惑星で
愛し合うことの、なんと難しい事か

人の60%が水でできているのなら
星空を映すこともあるのだろうか
星空を飲み込んだ身体は
キラキラと光輝いて
生きることに意味を見いだせる日のことを
暗示しているのだろうか
ずっと、ずっと
傍にいることの難しさ
それはきっと、僕達自身が映写機のように
景色を投影することができるようになれば
全て解決する

この世の全てよ
美しくあれ
零れ落ちた水滴のひとつひとつに
名前をつけながら
それを我が子のように抱きかかえて生きてゆく

それは、
思い出せない些末な記憶との
再会でもあるはずだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?