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キラキラ

掬い上げた湖の欠片を空に還す
水滴はひとつひとつ丁寧に浮き上がり
光を得て星として輝いた
星は生来降り注ぐものだと兄から聞き
星は将来燃え尽きるものだと弟から教わった
私の掌から掬い上げられていく水滴は
気化しそこねた涙ではないのだろうか

きらきらと擬音を背負った夜空に向かって
咆哮を上げる私は、人間を模倣した獣であり
産まれるはずだった理由に向かって
牙を向けていることを、どうか謝罪させて欲しい
醜い性を浄化するように湖は
今宵も幾重もの星を抱きかかえている

周回軌道中に、ごめんあそばせ
次に出会う時はどうか楽園で会いましょう
星は次々と光を増していく、まるで
私の逝きつけないところで談笑をするみたいに

星は将来燃え尽きるものだと弟から聞き
星は生来降り注ぐものだと兄から教わった

だとしたら、今、私の掌に咲く星屑のブーケは
理由の形を成した幻夜なのだろう
まだ、許されない楽園へと
続いてゆく、泣き声の

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