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望みごと

失った物を探すようにして
明日に希望を投げ捨てた
炎の中で燃え尽きた愛に
意味なんてあるんだろうか
そう思った当日に
描いた絵を全てシュレッダーにかけた
燃えカスになった努力は
あまりにあっけなく風に舞っていった

君のことを愛していただなんて
口が裂けても言うべきではない
もう燃え尽きたのだ
そんな時にも
スマホを見つめながら
君から連絡がないかなんて確認してしまう
それはきっと、僕という人間の弱さだ

頭の中にはきっと大切な人のための扉があって
いつでも想い出に会うことができる
それは都合のいいことだと馬鹿にされたこともあるが
そうでないと、人間
生きてはいけないとは思わないか

今日も扉を開け放っておく
誰が尋ねてきても良いように
泣かないで欲しいけれど
泣いてくれた方がいい時もある
きっと全ての優しさは
自己犠牲の上に成り立っている
少しずつ身を削りながらでも
大切だと思える人に
自分の肉を手渡すようにして
その感触を残すのだ

優しさを使い切ってしまった人の最後
その身体はきっと軽いに違いない
削り切った先に残るものは
骨だけなのだろうか
それは断じて違うと思いたい
その人は多くの人間の頭の中に
扉を残したのだ

君がそうでなければいい
あんまり自身を傷つけないで生きていて欲しい
それはただの僕の我儘でしかないことを
僕は知っている

燃えカスはほんの少しの赤みを残して空に舞う
そこに、あったことの証明だ
決して無駄な事なんかない

だから
明日に捨てた希望を
一緒に探してはみませんか

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