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ぬくもり

あなたの目ってビー玉みたいだね
それって、実際には見えていないってことかな
そういうことじゃなくて
綺麗に見えるってことだよ

ラムネの入り口に浮かんでいるビー玉は
事実上エー玉に劣る
完全な円形ではないからだろうか
それは人間にも言えると思う
殆どの人がビー玉として生涯を終えることになるから

夢が流星として降りしきる夜に
僕と君は祈るようにして願い事を唱えた
私のことを好きな人が
私のことを好きなまま幸せでありますように
目を見合わせて、笑った

星が良く見える日の翌日は
雨が降るって知ってた
それだけ空気が澄んでいるんだよ
僕達の心は、成長するにつれて
純粋に澄むことはなくなってしまったけれど
それでも二人、手を繋いだ花火の前では
子供心を思い出した

高原を走り回って
疲れたら木陰で休んで
人と人との繋がりってそれだけで良いと思う
足し引きなんてこれ以上必要ない程
僕と君はお互いを引き寄せ合っている
その道程が幸福に繋がっているかなんてわからないけれど
とりあえず
今は

指の熱に溶かされた心は
スプーンで掬われた炭酸飲料みたいに
幾重の泡が弾けている
それが、僕等に圧し掛かる苦難なんだとしたら
生きることにどれだけの価値がありますか
なんて、らしくないことを考えながら
 
今は
とりあえず
君の手が温かいから
それでいいや

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