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今、水素が世界で注目されている理由とは


アメリカのバイデン大統領は、米国内の7か所の水素生産拠点に対し、合計70億ドル(約1兆円)の投資をすると発表しました。民間投資を引き込むことによって、総投資額は最終的に500億ドルに達する見込みです。

さて今回は、なぜ水素エネルギーが注目されているのか、その背景について説明します。水素が注目される理由は、2050年までにカーボンニュートラルを実現する必要があり、その鍵を握るエネルギー源だからです。

カーボンニュートラルを実現する手段として、まず再生可能エネルギーが思い浮かびます。太陽光や風力、原子力など、化石燃料を使用せずに電力を生成できます。

しかし、すべてのエネルギー需要を再生可能エネルギーで賄えるわけではありません。例えば自動車を全てEVに変えない限り、温室効果ガスの排出は続きますし、電化にはバッテリー容量の限界や出力量の限界が存在します。

ジェット機を例に挙げれば、重たいバッテリーを搭載し、大きな出力を要求される飛行機を電気で動かすのは効率が悪いです。また、製鉄や化学工業のように、単に化石燃料を電力で置き換えるだけでは解決しない問題もあります。

このような問題を解決するために、水素エネルギーが期待されており、エンジンの開発や製鉄技術の研究が進められています。それが、石油や天然ガスの代替となる新しいクリーンエネルギーとして注目されています。

ただし、水素を生成するには電気が必要で、その電力が化石燃料である限り、温室効果ガスの排出量を減らすことはできません。従って、水素と再生可能エネルギーによる発電を組み合わせて推進していくことが求められています。

再生可能エネルギーで生成された水素は、一般的にグリーン水素と呼ばれており、現在、欧米を中心に高い注目を集めています。各国は積極的に投資を行っており、アメリカもその先頭を走っています。

今回の投資はグリーン水素の精製に関連しており、インフレ抑制法による水素関連事業への税額控除の制度も設けられています。

アメリカは2030年までに年間1,000万トンのグリーン水素生成を目指し、その準備を着実に進めています。

ちなみに日本は2017年に世界で初めて水素の国家戦略を策定しました。しかし現状、諸外国に比べて投資額も少なく遅れを取りつつあります。水素の分野こそは日本が世界をリードしてほしいものです。

参考

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