公的債務残高(国の借金)の増加はどのようなリスクをもたらすか。
財政健全化というキーワードは、日本の政策立案ににおいて今までひとつの重要な要素として考えられており、幾度の消費増税などをおこなってきた。
国別の公的債務残高の一覧を出してみると、2023年11月現在、1位はアメリカの約33兆ドル。2位は中国の約14兆ドル。そして3位に日本の約13兆ドルと続く。アメリカの3分の1程度である事を考えれば、とりわけ多すぎる値でないように思えるが、GDP比で考えると状況は異なる。
GDP比で公的債務残高を国際比較すると、日本は260%。対してアメリカは121%と大きく離れていることが分かる。これはレバノンに続くワースト2位の数字である。
国際比較するといかに日本の債務残高が高いのかという事が分かるが、この260%という数字をどのように評価するのかが問題だ。
日本国債は日銀が国内の金融機関が多くを保持しており、日銀は通貨発行を有していることから、現状破綻のリスクは低いと考えられている。
また、日本の令和4年度連結財務諸表の貸借対照表によれば、負債残高1514兆円に対し、資産残高は942兆円であり、BSベースで諸外国と比較すると、突出して日本の状況が悪いとは言えない。
しかし、仮にこのまま債務が増加し続けて、更に債務残高の割合が高まれば、デフォルトリスクが上昇する可能性もある。
一般的に国の債務残高が増加することによってもたらせる懸念は以下が挙げられる。
1. 金利上昇
債権の金利が上昇すると、政府の利払い費用が増加し、更に将来的な返済が困難になる懸念がある。また、民間部門の資金調達が困難になるクラウディングアウトを引き起こす可能性がある。また、価格が下落すれば金融機関等の自己資本にも影響がある。
2.信用格付けの低下
債務償還が将来的に困難であると判断された場合、国債の信用格付けが低下する可能性がある。信用格付けの低下はそのまま国の通貨に対する信頼度の低下にも繋がる。
上記の懸念により公的債務残高の増加というのは、抑制しなくてはならないというのが一般的である。実際に政府の財政が破綻することになれば、日本国に対する信頼そのものを揺るがすことになり、証券市場や不動産等の国内撤退、日本円の売却がおこなわれ、円が暴落するおそれがある。
参考資料:
財務省(2023年1月27日)「令和3年度国の財務書類連結財務書類」(PDF)https://www.mof.go.jp/policy/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2021/nation
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