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「新しい資本主義」とは何か


「新しい資本主義」という言葉が聞かれることが多くなった。しかし、この言葉だけでは一体どこが新しいのかということがはっきりしないと思う。今回の記事では、「新しい資本主義」とはどういった概念なのかを整理していきたい。

「新しい」があるならば、「古い」が存在するのではないかと考えられる。21世紀初頭、日本においては小泉政権の時代。新自由主義の潮流があった。新自由主義とは、政府による市場介入を最小限に留めて、規制緩和や減税によって自由な競争と成長を促していこうという考え方である。日本では、郵政民営化がその象徴であろう。

実際にアメリカでもトランプ政権は、アメリカ国内への回帰を促すために、税制改革や貿易保護をおこない、伝統的な産業の保護を推進してきた。また、シリコンバレーが誕生したのも、その自由主義を象徴するものである。

しかし、近年では中国の政府主導の大胆な産業政策と地政学的な緊張。コロナウイルスのパンデミックやロシアのウクライナ侵攻。また、環境問題への対応など、民間だけでは解決が困難な課題に直面する世の中となった。

これらの時代背景をうけて、特に欧米を中心とする諸外国では、積極的に政府が産業に投資・介入する流れが強まっている。

例えば、アメリカではバイデン政権発足以来、インフラ投資・雇用法で5500億ドル、CHIPSおよび科学法で2800億ドル、インフレ抑制法3940億ドル等、積極的に産業投資を進める法案を可決した。

このような国際的な流れの中で、日本でも政府が積極的に産業投資を進めていき、官民連携して社会課題を解決していこうというわけだ。

「新しい資本主義」の主なトピックは、
労働市場改革、GXやDX、スタートアップの育成、資産所得の倍増、インバウンド推進、宇宙等の個別産業への投資 等が主なとなっており、成長産業への投資だけでなく、日本社会の構造問題そのものものを改革していくような内容となっている。

まとめると、大まかな新しい資本主義は「官民の連携を強化し、課題の解決に共に取り組む社会」への転換であるといえる。この30年間、賃金が上昇がほとんどなく、経済が成長しなかった日本の社会構造に、政府が介入していき、変革を推進する方針のようだ。

新しい資本主義の詳細の内容については、内閣より「新しい資本主義のグッドデザイン及び実行計画」で述べられているのでそちらをご参照ください。


参考
新しい資本主義のグッドデザイン及び実行計画

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/ap2023.pdf

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