2023-09-26

・空腹で目が覚める。きのう高島邸に行く前にいつもの量の夕食とケーキを食べていたのに……。わたしの胃は非常に気まぐれで、入るときは食前と食後で1kg以上体重が変わる程度には入り、入らないときはシリアルを食べ切るのもひと苦労する。とはいえだいたい前者なのでわたしの周囲はおおむねわたしのことをよく食べる人だと思っているけれど、たまたま食べられない回ばかりでわたしが多く食べるということがその人の前では嘘になっていることもある。眠り足りないので、軽く食事をとり、再就寝。

・昼食後、すこしぼんやりして学会発表の準備を始める。バトラーは読むまでが大変だけれど、読んでいるときは比較的心穏やかでいられる。とはいえ元気がないと集中はそう続かず、ぼんやりしていると気鬱が広がってきて横になる。人に高島さんとの関係についてほとんど家族だと言われたことがあり、そうかもしれない、と思いつつもそのときは深く考えなかったのだけど、実感を持ってそうかもしれない、と思い至る。人の家にいるという意識がなくなることはさすがにないけれど、そうでないかのように振る舞うことがかなり板についてきた。同居しているきょうだいの間にあるそれと距離感が最も近い人だとも思う。

・婚姻制度に対してどのような立場を取っているかに関わらず、自分が婚姻しうると思っている人と自分の人生に婚姻がないと思っている人とでは見えているものがあまりに違うのだと思い知らされることがこのところいくつかあり、転じて善くあろうとしている人にときどき見られる類の素朴さについて考えてしまった。人を素朴だと言ってしまうことである種の暴力的な勾配が生じることは避けられないのは承知のうえでしかし、自分が素朴ではいられなかった事柄について、その人が問題意識を持っているだけに素朴さがぞっとするほど悲しい、ということがある。あるのだけれど、おそらくこの種の素朴さは本質主義的なものの肯定と結びついている。少なくともクィアをめぐるいくつかの問題圏において。あなたたちのその所与が所与ではなかったということから話を始めなければならない。

・のびていると空腹に耐えかねてきて、高島さんとすこし歩いたところにあるコンビニへ。コンビニに陳列されているもののほとんど全てが公約数的なものであるように感じて、実のところコンビニで食べ物を選ぶのはあまり得意ではないです。しんどさが酒によって楽になったあとで酒を買うのは依存に繋がらないだろうか、と迷って、しかしふたたびビールを買ってしまう。ぼんやり湯船につかっていると、仮固定して直すと決めている論文の方針がエウレカして輝く。目の前にない仕事がいちばん捗ってしまう。そうして持ち直し、この一杯は祝杯になる。

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