Research2 〜大阪・あいりん地区〜
調査時間:2018.9.4(火) 7:00〜8:00
場所:大阪・あいりん地区
天気:晴れ/くもり(26°C)
福島の設計・施工プロジェクトの合間を縫って、弾丸で大阪に向かった。
関西を中心に猛威をふるった台風21号が直撃するというタイミングでの大阪訪問になったため、朝方のちょっとの時間しかリサーチに費やすことができなかったが、とても有意義なものとなった。
そもそもあいりん地区は日本一危険な街とも言われていて、ホームレス・ドラッグ・犯罪などで溢れかえっていると言われている。それなりにビビりながらのリサーチとなった。人が多い場所や生活風景が映り込むような場面では写真が撮れていない部分が多い。
<新今宮駅を降りて>
ー続々と労働者が集まってくる。
新今宮駅を降りて駅の南側に向かうといきなり要塞のような建物が現れる。これが「あいりん労働福祉センター」だ。ここの1階部分には日雇い労働者と雇用主がたくさん集まって、異様な雰囲気を出している。
ーたくさんのホームレスが路上を占拠する。
あいりん労働福祉センターの周りにはたくさんのホームレスが路上を占拠していた。前回のリサーチで、新宿のホームレスはあまり物を持たず、移動型のスタイルを取っていることに気づいた。一方あいりん地区のホームレスは定住型なのだろう。多くの物を自分が占拠する敷地に積み上げていた。新宿だでは見ることのできなかった白物家電などを所有しているホームレスもいた。
<四角公園へ>
ーあいりん労働福祉センターから四角公園へ向かう途中
この場所の朝は早いのか、たくさんの人たちが路上をウロウロしている。おそらくほとんどの人がホームレス、もしくはドヤ(安宿)に住んでいる生活保護受給者だろう。
まだ朝方のため空いている商店は少ないが、予想よりも多くのお店が道路沿いに軒を連ねている。
ー四角公園の入り口
中はたくさんのホームレスの住居がフェンス沿いに360度配置されていて、真ん中のスペースは空いていた。まるで先住民族の集落のようであり、真ん中のスペースでは彼らの団欒が起こっていた。(人が多かったために写真撮影は断念した。)
日中には炊き出しが行われているとか。今回は台風接近で10時にはJRが止まるというアナウンスを聞いていたためその様子を見ることができなかったが、公園という場所が彼ら公共の中心となっていることはとても素晴らしいことだと思った。渋谷のみやした公園とどっちが素晴らしいんだろうか。
<警察署>
ー四角公園の隣の西成警察署
四角公園の周りをうろついていると、パトカーがやってきた。
「え、もしかして事件!?」と怯えたのだが、実は公園の隣には警察署があった。警察署といっても周りは高い塀に囲まれていて、パトカーが中に入る際には写真のような鉄扉をその都度開け閉めするほどの厳重さだ。
調べたところ、この付近では度々警察と市民(ホームレスとか危ない人たち)の衝突が起こってきたらしい。
警察署はおそらく10階建でこの付近では群を抜いて高い建物となっている。別に監視塔の役割はないと思うのだが、その存在感と街のパワーバランスはパノプティコンを思い起こさせる。
<自転車の存在>
ードヤ街の路地に停められた膨大な自転車
あいりん地区の路地はだいたいこのような姿をしている。一泊500円〜1000円くらいで泊まれる安宿が立ち並び、道にはたくさんの自転車が停められている。おそらく自転車撤去のような取り組みは行われていないのだろう。そもそも誰の自転車なのだろうか。行政による管理があまりされていない地区なのだろう、と感じることができる場であった。
<再び駅の方面へ>
ーマンションの1階部分の様子。
いたって普通のマンション(というより団地みたい?)な建物もあったが、その1階部分にはホームレスが屋根を利用して家を作っていた。主となる材料はダンボールであったが、普通の敷布団を持っている方もいた。
このまま駅の方に向かい、今度はあいりん労働福祉センターの中を通ってみることにした。日雇い労働者に若い人はおらず、ぱっと見で60歳以上のおじさんたちが多い。
「兄ちゃん、仕事あるで!」
ぼくはまだ若いし体つきがいいからだろうか、たくさん仕事の紹介を受けた。本当はリサーチとして1日くらい労働してみるのもありだな、と思ったのだが、今日中に大阪を出なきゃならなかったため仕事は断ってきた。
どんな現場に連れてかれるのかわからないし、何をさせられるのかわからないけど、ここに住む人たちはそれで生計を立てているのだ。
あいりん地区は新宿なんかよりもはるかにたくさんのホームレスがいたし、危険に満ちていた。だけれども仕事もあれば仲間もいる。彼らの社会の枠組みでみると、(決して良いとは言えないが)循環しているのだ。
卒制完成までに再び訪れる機会があるかわからないが、次回はドヤに泊まり、ここの生活を経験する必要があるだろう。
<今後に向けて>
新宿・あいりん地区などを見ていくと多くの移動型ホームレスの住居では、ダンボールやブルーシートが用いられていることが多い。
一方で本格的な定住型ホームレスの住居は木材が使われていたりする。今回のリサーチではより家らしい家に出会うことができたことが収穫であった。
今後は、自宅からの距離的にリサーチがしやすい場所、かつ定住型の住居が多い場所として多摩川河川敷に注目しようと思う。
ぼくのリサーチに関するフィードバックや情報提供お待ちしています!