Research1 〜夜の新宿〜

調査時間:2018.5.27(日) 1:00〜5:00
場所:新宿駅周辺
天気:晴れ(18°C-20°C)

土曜日の終電に乗って新宿に向かった。小田急線の最終電車のため西口改札口は閑散としていて、少し静かな都市を感じることができる。

今回の目的はひとまず夜の都市の様相を探ること。そして、今後のリサーチ手法や場所などを改めて考える気づきを獲得することであった。

<西口地下広場>

ー1:00頃の新宿駅西口地下広場。もう寝ている人たちも。

小田急の地下改札を出て早速、ホームレスを発見した。手前の肌色の高級感あるタイルは小田急の場所。そこから奥のグレーのゾーンがどうやら自由に寝泊まりできるスペースのようだ。
5月もあと少しで終わり、夜でもそこまで冷え込むことはないためか、かなり軽装備だ。日中はこのエリアはサラリーマンや買い物客などでごった返し、そこにホームレスの姿はない。ここで寝泊まりする人たちは「モバイル・ホームレス」と言えるかも知れない。

ー3:00頃に戻ると、もっと多くのホームレスが。

2時間くらいかけて新宿駅周辺を1周したあとに、再び西口地下広場に戻ってきた。2時間前に比べてホームレスの数は増えていて、ざっと100人はこの広場で一晩を過ごしている。雨風を凌ぐことができるいい環境がここにはあるのだろう。多くの人はダンボールを下に敷き、その上に寝袋か毛布をまとって寝ている。

<東京都庁の近く>

ー1:20頃。高架下の家。

地下広場から都庁方面に移動すると、高架下に点々とホームレスの家がある。高架下は雨が防げるのと、ガードレールにいろいろな機能を持たせることができるようだ。比較的空間をカスタマイズしている例が多い。写真は電話ボックスと該当までの一畳くらいのスペースを家にしている。日中のリサーチをしていないのでまだわからないが、先ほどの「モバイル・ホームレス」よりか場所への依存が高い。
また、新宿の西側(都庁周辺)は比較的静かなため、ホームレスにとっては閑静な住宅街となっているのだと思う。

ー掲示板を物干し竿のように活用。

ー新宿中央公園にはトイレも水飲み場もある。

<西武新宿>

ー1:40頃。新宿大ガード下。

自分にとって新宿のホームレスのイメージはここだった。日中のこの場所で何度かキツイ匂いのするホームレスを見たことがあったからだ。
しかしながら、今日の夜は数人しか寝ていなかった。写真をみれば一目瞭然だが、この大ガードをくぐると繁華街だ。この雑踏は生活には向いていないのかも知れない。

<歌舞伎町+新宿2丁目>

ここはもうなんというか、ホームレスと関係がない。(と今の所思っている。)
2:00くらいの歌舞伎町と新宿2丁目はホットスポットだ。とにかく人が多いし、とにかく明るい。都市を観察するという点においてすごく面白かった(実際小1時間歩き回った)が、今回はそれには触れないことにする。

<新宿南>

ー2:30頃の新宿駅新南口周辺。

新宿の新しくできた施設といえば、バスタ新宿やNEWoManだろう。これらができたことによって、新南口はとっても綺麗だ。ここではまた違う形態の路上生活があった。
それはバス待ちの路上生活だった。ホームレスとはまた違うため、とりあえずは分けて考えることにするが、「ワンデイ・ホームレス」とでも呼べるかもしれない。

ー2:40頃のバスタ新宿3階のベンチ。

1フロア上がるとそこにはタクシー乗り場があるのだが、ここの椅子でもたくさんの人が寝ていた。雨風は凌げるし、近くに綺麗なトイレもある、さらには警備員がいるため治安もいい。ただし誰もダンボールで作られたような家を持たない。「ワンデイ・ホームレス」どうやら忍耐で生きているのかもしれない。

ー南口は本当に綺麗で、意地悪だった。

最近できただけある新南口の施設は、ランドスケープやパブリックスペースの考え方がしっかりされている。たくさんのベンチ、綺麗な間接照明、心地よい自然がある。だけど、今や定番の寝させないための突起があったり、とても意地悪だ。(この辺のことについてはまた別で書きたい。)

<新宿西口(小田急ハルク)>

ー3:00頃の小田急ハルク1階の前。

ー同じく小田急ハルク2階。10人以上がショーウィンドゥ沿いに寝る。

今回歩いている中で、もっともホームレスが多かった私有地がこの小田急ハルクだった。道路に面する1階は、入り口のくぼみが良質な空間を生み出し、2階のショーウィンドウ沿いは少し飛び出た庇がちょうど雨を防ぐ様子だった。かなり作り込まれたダンボールハウスが多く、古くからの居住地の可能性がある。

ー傘を使ったファサード。

一部のホームレスはダンボールの上から傘を広げている。雨からも守れるし、なんだか心理的に熟練している感が出ている。ホームレス的なファサードの考え方かもしれない。写真にはないが、ブルーシートを天井にかけた家もあった。

<駅>

ー深夜の新宿駅南口。

駅で寝られたらどれだけいいだろう。
公共交通機関の深夜の公共性はなかった。シャッターは閉まり、その寝心地が良さそうな空間は明かりがついているだけの虚空だった。気になったので、駅前で座り込んで何時にシャッターが空くのかを確かめたところ、JRは4:00で私鉄が4:20だった。(4:20にホームにいったものの、泊まっている小田急線の電車のドアは一向に開かず、ぼくはホームで寝ていた。)

<夜の新宿についての雑感>

ホームレスは集まって住む。意図せずとも、都市は優しさと厳しさがアンバランスに撒き散らされている。新宿で言えば、ホームレスにとっては西側が睡眠に適した場所だった。一方で、「ワンデイ・ホームレス」にとっては南側が生き延びるには適した場所だったのかもしれない。そしてそういったホットスポット的な場所は限られているがため、ホームレスは集まって住む。おそらく、集まることによって守られる治安もあるのだろう。

新宿は思った以上に流動的な生活スタイルだった。
この人たちの生活思想を知るには、日中の動きにも目を凝らす必要がある。
また、多摩川のホームレスとは何が違うのか、そういったところも分析したいと思った。

加えて、都市空間と人間の関係性についても考えていきたい。アンリ・ルフェーブルを参照しようと思う。

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