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増殖するワインポリス~終わりなきマウント合戦~(冒頭試し読み)

※ワインポリスとは※

またの名をワイン警察。ワインに該当するコンテンツや発言を取り締まる自称集団または風紀委員。ワインに対する発信者、発言に対して、個人見解に基づき指摘、弾圧する敬称として用いています。指摘厨のような蔑称で用いており、時として他者への中傷発言として取られてしまうので注意が必要である。

はじめに

 ミイラ取りがミイラにならないように最初に宣言しておきます。

 何を隠そう私もワインポリスの一員です。本書自体がワインポリスそのものです。

 気付かずに誰かにマウンティングをしてしまい傷つけてしまった経験もあります。本書でもそのような比喩を用いております。繊細で生真面目なワイン愛好家の方や、綺羅びやかなワイン界隈でご活動されている方はこの時点でアプリを閉じてください。

 私自身、人一倍承認欲求が強いからでしょう。人に何かを教えるという行為は「かまってちゃん」によくあるスタイル。あきらかな間違いを指摘したり、よかれと思ってアドバイスすることもあります。しかし実際はありがた迷惑と思われる事も少なくありません。

 また、ワインの世界で発信活動をしていると、間違いを教えてくれたり、新たな知見を頂くこともあります。しかし、時としてそれは「アラ探し」だったり、「揚げ足取り」の場合も少なくありません。


要は言い方です。


 リアルな場所なら表情や声のトーンで「陥れてやろう」や「上下関係をはっきりさせてやろう」という意図が汲み取れます。ネットの世界では「エアリプ(メンションの付与や標準のリプライ機能を使用せずに投稿された、特定の誰かに宛ての返信や言及のこと)」や「引用リツイート」で第三者に対して晒し上げ行為をすることで「悪意」が汲み取れます。

 本当に親切心があるのなら、本人のツイート(投稿)に小声でリプライすれば事足りますし、ダイレクトメールで直接伝えるのが筋ではないでしょうか。

 しかし、実際は「鬼の首取ったぞ!!」と言わんばかりの大声で祭り上げられます。昨今、そういった空気感が蔓延してしまい、「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ」と面白い人達が淘汰されていきます。それ故に、火種がついた時点でおもしろ投稿は削除されています。

 ワインの感想なんかも調べてみてください。SNSやブログで紹介されるワインは批判されることがありません。しかし、匿名レビューや対面オフレコでは粗悪ワインのネガティブ情報が飛び交っているではありませんか。

 仮に「このワインめちゃ不味い」なんかオープンな場所で発言してみてください。すぐに「ソムリエ教本警察(ソムリエ教本ではワインはポジティブに表現しなさいって書いてたもん)」や「生産者の気持ちを考えて警察」が飛んできます。

 あなたは、お人様が作ってくれた料理に何でも美味しいと言いますか? 毎日作ってくれる人に向けてだと、改善するべき事は伝えるべきですし、高価なレストランで対価を得られなかった場合は文句の1つや2つ言いたくなるのが人間の性ではないでしょうか。

 でも少し戻ってみてください。そもそも「めちゃ不味い」発言自体がマウント合戦の始まりだったりします。ワインって飲み物が存在する時点で小競り合いは始まってしまうのです。ワインを飲んで皆ハッピーは綺羅びやかな世界の絵空事。本書を開いたあなたは既に終わりなきワインマウント合戦に参戦していると言えるでしょう。

 どの世界にもブライトサイドがあり、ダークサイドがあります。本書はその影の部分を抽出し浄化するために生まれました。

 本書を通じてシリアスなワインマウント合戦が、ユーモアやギャクとして生まれ変わることを切に願っております。与党と野党。国会中継も見方によってはコント番組ですよ。

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