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人は、過去と未来しか見ることができない。


どうも。
木曜日担当の、そーかいです。


季節は巡り、
空気は熱を帯び始め、
世界の色は濃く、
人々は
桜の香りなぞ興味がなかったかのように
青を求め、歌い出す日々。


「シン!」


深い付き合いの心の友を手招き、
膝の上に乗せ、いつものあの場所を
右手の中指の腹で愛撫する。

水晶玉よりも美しい瞳を覆い隠すように
一直線になった細い目を見ていると、


ああ、なんて幸せな時間だ。そう思う。


心友は「もっと撫でてくれてもいいんだぜ?」と
言わんばかりに、膝の上に腰を落ち着ける。

おまえは、スフィンクスか。


中指は、顎の下の喉仏から、眉間に移動し、
上下運動を繰り返す。いつもの流れ。



・・・



シンの話は、ここまでにしよう。




みんな、お待ちかね。TAIDENのお話。



今日は、最近のTAIDENに想うことを正直に話す。




ryota、kota、ぼく。

チーム『pupa』の活動期間は長くなかった。
( pupa は「蛹」という意味。
 おれらはこれから蝶になるのか、
 いやはや蛾になるのか分からんけど、
 どちらにせよ美しく羽ばたいていこうぜ。
 って感じのネーミングだった、はず。)


そして、naoki、wasse、sakiという、
尊く、かけがえのない、
死ぬまで失いたくない仲間と出会い、

TAIDENは産声をあげ、雷を帯び始めた。


そして今、ありがたいことに、
半径5m以内に居た人たちだけでなく、
顔も名前も知らない誰かが
ぼくたちの作品について、
貴重で儚い人生の時間を使ってくれている。


「何を伝えたいのか分からない」

「クオリティが小学生レベル」

「感動しました」

「この作品に出会えて良かった」

「idwがピークだったな」

「wasseがいるからギリ成り立つ雑魚チーム」

「心臓に電流が走りました」


いくらなんと言われようと、
TAIDENの雷を帯びた作品ひとつひとつに
出会ってくださったことへの
喜びを感じる気持ちに嘘偽りは微塵も無いし、

誰も見たことがない表現への挑戦に
終わりなんてものが過ったことも微塵も無く、

到達するゴールなんてものは、
ぼくら自身が分かっていないことも
正直に告白しよう。




でもさ、楽しいよね。



これだけ仲間も増え、

「できるわけない」と言われた作品をつくり、

毎晩徹夜でイライラしながらも

辛ラーメンを食べて、またつくりつづける日々。


楽しすぎる。



24歳の自分の選択を、心から誇りに思う。



よくやった。





そろそろ出番かな。


今日は、『without』の完成披露試写会。


レッドカーペットの歩き方なんて、
父さんにも習わなかったけど大丈夫だろうか。


緊張は、成功のプロローグ。


その言葉を信じ、ステージ上で必ず言おうと
昨日から決めていたセリフを、空に言う。



よし、大丈夫。


ryotaの全身黒の服は今日も最高だし、
グラサンもイカしてる。
緊張からか、kotaとnaokiは
さっきから10秒ごとに水を飲んでいる。
相変わらず落ち着いているwasseと
「緊張するね」と微笑みながら
煙が口からこぼれるsakiを急かす。



うむ、いつも通りだ。



今日は、2026年6月18日、木曜日。



さあ、行こう。




ビリビリっつってね。





おまえが居なくても、
ぼくがぼくであることが変わるわけないだろ?

 by ユウ from 『without』




文:そーかい










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