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共犯者はお爺ちゃん!?善意の共犯を生んだ少年万引き

こんにちは、TKです。

少年による万引きの認知件数は、年々下がっていますがそれでも件数はそこそこ多く、また最近はフリマアプリを使用した転売などにも悪用されたりするので悪質性も年々上がっている印象です。

今回はそんな少年事件の中で最も印象的だった事件のお話をします。

買い物終わりでうろつく少年の違和感

この日の現場は、関東にある大型リサイクルショップ。古着や家電だけでなく、漫画やフィギアも揃い学生も多く来店する大型店だ。

その現場は、過去に何回も勤務していたのでストックしている要注意人物も多数いた。その中に彼もいた。1か月ほど前の勤務の際に怪しい行動をしていたが、確実な現認まで取れなかった少年。そのお店の袋を持って買い物終わりを装って袋に商品を隠すのが彼の手口だった。

どことなく広島カープの大瀬良大地投手に似てる彼はその日も店にやってきていた。時刻は朝の11時頃だった。右手にそのお店のレジ袋を持った大地は袋の中に何点かの商品が入っている状態で店内を歩いていたので、私は早速警戒態勢に入った。

すると彼は、ゆっくりと店内を歩きながら商品を手に取っては棚に戻す動きを何度も繰り返していた。ここまでなら、普通の買い物客と何ら変わりはないのだが、商品を棚に戻す瞬間に周囲を確認する彼の仕草から、周りに人がいなくなったら犯行に及ぶのだと推測し、わざと彼が1人になるように隣の売り場から彼の行動を監視することにした。

少年の容赦なき万引き

監視を始めてしばらく経つと彼はアニメのフィギアを手に取り通路を歩き始めた。右手にぶらさげていた袋の口を片手で器用に開くと通路の端でフィギアを袋にねじ込んだ。そのあまりの速さから常習と疑える状況だった。

その後も何点ものフィギアやカードなどを袋に堂々と入れているのをしっかりと現認し、そのまま店を出た大地に私は声をかけた。

次々と明るみになる余罪

「こんにちは、警備です。これわかりますよね?」被害品が入ったレジ袋をポンポンと触り、私は単刀直入に切り出した。

あまりに突然だったからか大地は、とても驚いた表情でこちらは見ながら消え入りそうな声で「はい。」とつぶやいた。

そのあまりにそっけないやり取りに私は、少し拍子抜けした。万引きをした割に非常に気弱な彼の様子に、いささか申し訳ないような気持ちにもなった。

彼を事務所に案内して、店長にすべて報告する。バリバリのキャリアウーマンといった感じの40代の細身の女性店長は彼の名前を確認すると少し険しい顔をしながらパソコンを叩き始めた。しばらく、その様子を見ていると何やら1枚の紙を持ってきた店長が、うなだれる大地にハッキリとした口調で話し始めた。

「あなた、うちのお店で盗んだ商品を、うちで買い取りしてもらっているでしょ?この人ってあなたの家族でしょ?」

そう言うと店長は持っていた紙を机に置いた。そこには、びっちりと埋め尽くされた商品名。そのほとんどが最新の漫画本やフィギアなど、決し安くすむようなものではなかった。その紙の上には、大地の苗字と同じ別の男の名前が載っていた。

「はい。お爺ちゃんです。」鋭い目つきの店長に恐る恐る答えた大地は今にも泣きだしそうな声をしている。

「あなたねぇ、自分で盗んだ商品を買い取らせてお金を得るなんて一番悪質なことをやってるのよ。」店長が厳しく叱責する。

「あなたが盗んだ商品を思い出せる範囲で丸をつけなさい。」そう言って、大地にペンを渡して店長は警察を呼びに電話を掛けに行った。

警察官からの激しい叱責。そして涙

しばらくすると警察官が2名やってきた。人定や被害の確認がある程度終わると警察官は大地をかなりキツめに叱責した。他人の私ですら、ちょっと言い過ぎじゃないかと思ったくらいなのだから当の本人は案の定だった。

「何も知らないお爺ちゃんを利用して、悪いことしてお金稼いでたんだよ?お爺ちゃんは孫のためにお願いを頑張って聞いてくれてたんだぞ?」

その言葉を聞いた瞬間に遂に大地の目から大粒の涙が流れ出した。

根は、そんなに悪い子ではないと思う。ただ、1回美味しい思いをしてしまうと心はその鎖を簡単に断ち切ってしまう。最初の1回目がかなり重要になってくる。そんな犯罪の芽を若いうちに摘み取ってあげることが今後の彼を含めた少年たちの将来に非常に大事になってくると思う。

被害額はこれまでに転売されてた品を含めて3万円を超えていた。警察に呼び出された母親がその額を財布から取り出して店長に渡すところを目の前で見ていた大地は悲しそうな表情をしていた。
今後、この事を反省として2度と間違った道に進まないとことを強く願う。

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