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【人道支援チャド】環境を楽しめ、事象を笑え~人道支援家たちの珍言集~ Vol.2
みなさんこんにちは。
人道支援家Taichirosatoです。
前回に引き続き、人道支援家たちの珍言集をお届けします。
Vol.1をまだ読んでいない方はコチラ↓↓
【人道支援チャド】環境を楽しめ、事象を笑え~人道支援家たちの珍言集~ Vol.1
<登場人物>
①マグロア:身長185㎝、強面マッチョの看護師。その見た目からは想像できないほど優しい心の持ちぬしで、看護師としてチームの中で僕の一番の相棒。ナショナルスタッフで使用言語フランス語と少しアラビア語。
②ジーセー:小柄で小太りのおじさんコンゴ人医師。医療チームのリーダーであり、基本は無口でボソボソとしゃべる。案外ボケるのが好きで、そのしゃべり方のせいでボケていることに気づかれないことが多い。使用言語はフランス語と解読困難な英語。
③フィデル:中背丈のコミュニティーヘルスワーカー。常に落ち着いた対応ができるベテランで「困ったらフィデルに聞け」と、チームではみんなのご意見番。フランス語といくつかの地域独特の言語を話せる。
④エリィ:小柄なブラジル人。非常に陽気だが、仕事の話になると熱く、何事も決して手を抜かない情熱の薬剤師。あまりの熱さに話が長くなりがち。使用言語は英仏。
~ 名言 其の4 ~
ワイルドなオーダー。窓をくれ。
アフリカ チャドの夜はいろんな意味でアツい。
地域によって気候は異なるが、スーダンとの国境付近の7月の気温は日中は40℃近い。夜でも32℃くらいだろうか。曇りやスコールがあると30℃を下回る夜もある。
ちなみにチャドは、4月5月が一年の中で一番熱いらしい。そこから雨季に入り気温は上がり止まる。僕の体感でも確かにそうで、4月5月の熱さがきつかったが最近は35℃で涼しいなと思うようになった。単純に僕の体が慣れただけかもしれない。
現在僕は1週間の夏休み中。カメルーンのビーチでのんきに過ごしている僕だが、つい最近までは、チャドの国境付近で仕事をしていた。突然の大きなインパクトにまず駆けつける先隊であった僕たちは、いろんなことが整わない中での仕事をすることになった。整わない中での仕事は慣れっこなのでそれ自体はどおってことない。
整わないのは生活環境に関してもそうなのである。
僕が国境付近の現場に到着した時、雨風がしのげる場所が僕に用意された。
スタッフの寝泊りを管理担当しているスタッフから部屋に案内される。
ジョンギ(生活担当)は優しい笑顔で到着したばかりの僕らをねぎらう。
長旅お疲れさま。明日からメディカルチームは忙しいだろう。
今日はゆっくりやすんでくれ。
そう言って僕らを部屋にササっと部屋に案内して去っていった。
部屋に残された僕ら。
![](https://assets.st-note.com/img/1691053618282-eHwTkA45Ia.jpg?width=1200)
マグロア)・・・
ジーセ)・・・
フィデル)・・・
皆が言葉を失う。
なんってったって、あっつい。。
部屋があっつい。
マグロア)ここはムショか。
ジーセ)・・・。
フィデル)・・・とりあえず、寝てみようか。
到着した時は既に19時を過ぎたところ。
この地域に電気などないので、あたりは暗闇に包まれていて、
部屋の中にセットされたソーラー電池のライトが薄らついている。
みんなここで寝れる気がしないと不安を隠せない様子だ。
それとは対照的に僕の頭の中は安堵で満たされていた。
それはあるものが目に入ったからである。
超重要アイテム
🦟モスティカ―🦟!!
蚊よけのネットのことで、これがないと絶対に寝れない。
というか地獄を見る。助けてードラえもん、どころの話ではない。
Anophelesというマラリア媒介の蚊 が夜な夜な寝ている僕らを本気で襲ってくるので、そういった意味でもアフリカの夜はアツい🦟🔥
皆さんは、無印良品のインテリアは好きだろうか。
無印良品は余計なものを入れず、シンプルデザインでおしゃれ。
シンプル=おしゃれ の方程式が成り立つのであれば、ここは間違いなく無印良品を超える超一流ということになるだろう。
とにかく横になってみる。
あつい。
そして息苦しい。
よくあたりを見渡してみると煉瓦で組み立てられたスペースは、
窓も扉もない。
目をつぶり、無心になる。
顔中の汗が僕の口の中に流れてくる。
Tシャツは絞れば水がバシャーとなるほどだ。
そうこうしている間に少しの眠りにつき、
4時半ごろには太陽が昇り始め、
ニワトリやロバが鳴く
僕は目を覚ました。
そのまま僕は、生活担当のジョンギに交渉しに行くことにした。
部屋に窓もドアもない。
熱くて全く寝れないから
窓をつくってくれないか
そう言い残して僕らはその日の仕事に出かけて行ったのであった。
日の出後すぐに現場に向かい、日没後も活動をした僕らは20時ごろにクタクタで帰宅。
なんだか朝とは少しだけ様子の違う部屋をジーセーと一緒に眺める。
僕)ジーセー。アヴェンジャーズが今日は来たのかな。
ジーセー)かもなだな。おかげで風がよくとおるな。
![](https://assets.st-note.com/img/1691053704307-hwiyJ0B0bG.jpg?width=1200)
ロジスティックチームに話を聞くと
ハンマーで外から壁ぶっ壊して
風穴をつくったんだと
ワイルドだろ~?
![](https://assets.st-note.com/img/1691053762860-3RipDgTcVU.jpg?width=1200)
~ 名言 其の5 ~
お買い得にはウラがある
丁度そのころ、エリィは、
建物の外でせっせとモスティカ(蚊よけネット)を組み立ている。
僕)なぁ、エリィ。外でモスティカなんて組み立てて何してんだ?
エリィ)部屋暑くて寝れないでしょ。んで思いついちゃったわけ。
(私の国)ブラジルでは、大自然の中で寝るツアーとかあんのよ。
結構高い金払って自然の中で寝るわけね。
でも、どう?ここではすべてが無料。
こんなに大自然の中で寝れる。こんな幸せは他にはないわ。
ちょーーーお買い得よ。これは。
そういって彼女は、外にモスティカ(蚊帳)とマットレスを大胆にも屋外に設置し眠りについたのだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1691053869579-aeJRrZVhdQ.jpg?width=1200)
その日の夜、AM2:00ごろ。
アルミニウムで覆われた天井を小さな水滴が打ち付け
バリバリバリ。。と、激しい音を立てる。
僕は目を覚ます。
あっ、エリィ、、、
僕は何も言わず、外へと出かけ、
ずぶ濡れのエリィを見つけては、
マットレスをせっせと運ぶのを手伝ったのであった
お買い得にはウラがある
~ 名言 其の6 ~
真夜中のコンサート
今夜もアフリカ チャドの夜はアツい。
蚊や気温の問題だけではないのだ。
晩飯が終わり思い思いの時間を過ごすと、皆それぞれがベッドに入る。
電気も電波もない夜は特にすることが無いので、みんなベッドに入る時間は早い。
ところで、僕の自慢できることといえば、寝るのがとても早いこと。
そして、僕の知っているほとんどの人道支援家がどこでも寝れて、寝るのがスーパー早いというのもまた事実である。
なぜこの話をするか。
先手必勝。誰よりも先に眠りにつくこと、
そのポジション取りがとても大切だからだ。
僕の隣にはジーセーが寝ている。
長方形の部屋の向こう側にはフィデルとマグロアのが横になる。
隣で
Goooooowww Gaaaaaaahhhhh
奥から
Hgooooohh,, ggu,, hgooooohh
真夜中のオーケストラ🎺が始まる。
この臨場感と音量といったら
それはそれはすごい。
ジーセーのコントラバス🎻。
マグロアのテノール🪈
フィデルはアルト🥁くらいだろうか。
音域、振動、全てが不調律のハーモニー。
ノイズキャンセリング機能をも上回ってくる生演奏
本場のアフリカンオーケストラ📯は桁違いだ
ありがたいことに僕は特等席で毎晩それを楽しめるわけだ。
この環境で僕は、30分~1時間くらい睡眠を妨げられるわけだが、
気が付くと僕は寝ている
恐るべし環境適応能力。
こればっかりは自分で自分をほめてあげたい。
朝4時になるとニワトリの
Coock ki COOOoooock🐔!!!
と、ドンキーの
Hgyeiiiiiii, Hwaaaaa,, Hgyeiiiii hwaaaaa,,🫏
夜のオーケストラ🎺と朝の目覚まし⏰。
僕の眠りは、楽じゃない。
ジーセーがある日言っていた
みんながうるさくて寝れない、と。
僕はジーセーにそっと伝える
オーケストラの主役はいつもあんただよ、と。
おわりに
夜は電気がなく真っ暗でとっても不便な場所だが
ひとたび顔を上に向けると、そこには
きれいな星々が地平線ギリギリまでちりばめられていて
天の川がいくつも見える
流れ星なんて勝手に視界に飛び込んでくる
誰と、どこにいても、良いところと悪いところがある
環境をいかにして楽しむか
事象をいかにして笑えるか
全ては僕次第だ
※投稿内容は全て個人の見解です。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございます!
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また次回お会いしましょう。
Best,
Tai
✎2022年5月より✎
皆さんの「知らない世界🌎」を少しでも身近に感じてもらうきっかけになったら幸いです。
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