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【人道支援イエメン】リーダーシップについてのナース×ナースの対談〜僕に皆から嫌われる覚悟はあるか?〜

みなさんこんにちは
人道支援家のTaichiroSatoです。

自身のイエメンでのミッションも終盤で
今日はオーストラリア人ナースのジェイと僕で
ミッションのフィードバックをし合った時のことを記事にしていきたいと思います。

◎まずはオーストラリア人ナース ジェイを知ってほしい
オーストラリア人のジェイは人道支援チームでは若い20代のナース。
普段の彼は非常にユニークで、いつも冗談ばかり言っている。
彼の知っている日本語は
「そうですか〜!?」
なんだが、学生時代に習ったのだそうだが、
驚いた顔で、
そうですか〜!?を連発し僕を笑わせてくる。
あまりに連呼するため、
フランス人ドクターのムーまで
そうですか〜!?を使うようになり
今のチームではちょっとした
そうですか〜!?ブーム が来ているほどだ。
二人のユニークなエピソードはコチラを見てもらえるともっと二人を身近に感じてもらえるかもしれない。

普段は、ジェイも僕もおチャラけていることが多いが、
お互いが人道支援家として芯を持っていることも知っていて、僕らは認めあっている(と思っている)。

ジェイはナースとしてのキャリアをスタートして、
程なくして自ら、チームリーダーとしてのキャリアを選択しスタートさせたのだ。
当時、彼は26歳。

みなさんが20代のリーダーと聞くと、
経験が浅い、荒削りなリーダーというようなイメージを持たれるかもしれないが、
現在も20代彼はアフガニスタン、イラクでチームを作り上げた経験豊富な立派なリーダーである。

◎ジェイと僕、どっちもリーダー
人道支援のチームでは、それぞれのポジションに
連絡相談をするいわゆる上司のような人がいるのだが、
日本のように 上司=ボス という感じではない。
その証拠に、僕たちはミッションが終わるとき、お互いに評価し合うのだ。
お互いの仕事に関しての取り組み方や問題解決方法、コミュニケーションやそれぞれの課題点など、いろいろな角度から話し合いお互いにフィードバックし合う。

ジェイとは2ヶ月間一緒に時間を過ごし、
共に協力しながらチームを作り、まとめてきた。
チーム事情で3月上旬まで僕が全体のマネジメントをしていたわけだが、ジェイがチームに加わりタスクを分け、より効果的にチームをマネジメントできるように編成した。

ジェイが全体の大きなマネジメント。
僕は細かな個々のチームのマネジメントをという具合に。

ジェイが来る前に僕がまとめていた全体の問題と
ジェイがチームに加わってから彼自身が感じた問題点を二人でシェアし、ゴールを設定し、そこに対しての必要なタスクを洗い出していった。
もちろん問題は流動的で、新しい問題、優先度が下がっていく問題など、その都度ディスカッションしていく。
当時の彼と僕のミーティング、
問題点とゴールのシェアはほぼ毎日行われ、
2週間ぐらいするとお互いに細かく言わなくても理解できるほどになった。

僕は僕自身をよく知っている。
チームメンバーひとり一人と関係性を築き、ポジティブにフィードバックを返していくことが得意だ。
一方のジェイは、根拠に基づいて正しいこと、間違っていることを明確にすることが得意で、そこに妥協がない。人道支援の世界で理不尽やどうにもならない現実に直面することが多いが、この混沌の中で、ジェイの妥協なき姿勢というのは誰にでもできることではない。すごいの一言である。

◎ハイタッチから始まるフィードバック
先日の僕らのフィードバックの始まり。

この2ヶ月間、ありがとう。
問題をきちんと整理し、二人でシェアして、役割を分担。いいコミュニケーションでナイスコンビだったよな。
二人でハイタッチをする。

お互い納得。いいコンビだった。
ここはいい!ここはできていない!ズバズバ切り込んでいくジェイ。僕はこれが苦手だ。
僕はナース個々との関係性を築いた上で、彼らの感覚や価値観を大切にし、彼らを主役として伸ばしていく。

皆さんにはあまりイメージができないかもしれないが、
人道支援は、きれいな世界でなく、そして甘くない。
現地スタッフの思うようにやっていたら、患者の命は救えない。

なんでこんなことが起こる?
何を考えたらこうなる?
一般的に考えつかないような、納得のいかないことが本当にたくさん起こり、その都度きちんとした修正を求められる。

リーダーとして、
どんなスタイルがいいのか、
どうあるべきか、
どーやったらチームが目的を達成できるのか、
勝利の方程式なんてないのかもしれない。

ただ
目的を明確にした上で
チームメンバーの特徴を理解し
自分自身をよく理解し
彼らの成長ステージにあった関わり方が大切だということは間違いがないことだと思う。

◎Transformational leadership
トランスフォーメーショナル リーダーシップ。
皆さんは聞いたことがあるだろうか。
この文節のタイトルにマサチューセッツ大の記事を添付したので、英文になるが興味のある人は目を通して見てほしい。

簡潔に説明すると、
「ビジョンを示しメンバーの理想やニーズを重視」したリーダーシップスタイルで、乱流環境、組織改革に適している。
Transactional leadership
トランザクショナル リーダーシップ
と対比されることが多く、こちらは部下とリーダーの関係性を重視し、落ち着いた環境下での組織の発展に適している。
他にも、Servant leadership、Authentic leadershipなどかあり、興味のある方は調べてみることをオススメする。

どれが良い悪いではなく、それぞれが補完関係にある。
自分自身や自分のチームと照らし合わせてをこれらのリーダーシップを組み合わせることでより効果的にチームを導いていけるのかもしれない。

--話をジェイと僕のフィードバックに戻そう---

ジェイが僕に話し始める。
僕へのフィードバック。
それぞれのメンバーと関係性を築き、上手く自立を促していくのが上手な一方で、目的と間違った方向に動き出した時の修正に関してが課題と指摘をくれる。自分自身でも気づいている点だが、改めてなるほど、と思う。
そして、ジェイは続ける。

目的達成の為に皆からの嫌われる覚悟はあるか?
一人でも多くの命を救うために、目的を達成するために、たとえ嫌われたとしても推し進めていく覚悟はあるか。
そしてジェイも僕も二人共がこのような状況下での経験やジレンマを抱えたことがあるのだった。

僕は喋りはじめる。
ジェイの改革を推進していく力は素晴らしい。一方で、コミュニケーション方法やチームメンバーとの関係性の作り方に改善出来る点が多い。
二人のやり取りを踏まえた上での、
ジェイの問いに対する僕の回答はこうだ。

僕は
目的達成するための責任と覚悟はある
ただ、
チームの皆から嫌われなくても、
それをする方法があると思う。

リーダーは楽ではない。
みんなにとって良くない意思決定も
時には仲間たちを縮小する決定をしなければならないことだってある。
客観的に それ が必要であれば、
僕にはそれを実行する覚悟がある。

ただ、僕は常々思うのだ。
みんなにとってのwin-winであったらいいと。
ただ現実は、
100人いたら100人が満足しハッピーになることは難しい。

それでも、
目的を考え、
チームのことを考え、
メンバーひとりひとりのことをよく考え、
コミュニケーションがきちんと取れれば、
限りなくみんなのwin-winに近づけることはできる。

僕は、そう信じている。
僕の思いにジェイも耳を傾けた。

僕たちのフィードバックの終わりに、
二人でチームマネジメントできたことが
何より楽しかった。
改めて、いいコンビだったよな。
お互い今回の改善のアイデアを次に活かそう。
そーやって、フィードバックを終えた。


先人たちが提唱した
リーダーシップのモデルは、たくさんある。
でも、
今の僕にリーダーシップの正解なんてわからない。
きっとこの先もわからないかもしれない。

ただ、今の僕は思う
リーダーは、二人いたっていい。
リーダーは、万能じゃなくていい。
少しづつ成長して、補い合って、
バランスを保てばいい。
そして目的をみんなで達成すれば、それでいい。

厳しい決断を強いられたり
ニーズの変化が激しかったり
多国籍でチャレンジの多い人道支援だが

わからない正解の中から
Betterだと思う答えを選択して
間違っていたら修正して
みんなで考えながら
葛藤しながら
支え合って
最後はハイタッチで またね をいう。

改めて、思う。
これが僕の大好きな仕事なのだと。

※投稿内容は全て個人の見解です。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございます!
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また次回お会いしましょう。
Best,
Tai

✎2022年4月より✎
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