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イシナガキクエを探しています 考察(監禁説)


前置き

とあるホラー好きです。
「イシナガキクエを探しています」大変おもしろかったので、自分の考えをまとめるために書きます。このためにnoteアカウントを初めて作りました。

本編はまだTverで見れます。

また、考察を書く前に制作者の方のお言葉を引用します。

「考察しなかったらこの作品をわかっていないよね」みたいな風潮が加速するのは違うのかなぁ、と。なので、本作はあまり構えずに怖がることができる作りになっていますよ。

https://crea.bunshun.jp/articles/-/48077

考察など考えずとも、雰囲気を楽しめる作品でした!
ですが考えずにはおれませんでしたので書き残します!
長いです。

裏ストーリーの仮定

早速ですが、まず端的に「こういう裏ストーリーではないか?」というのをまとめてしまいます。そう思われる根拠や仮説は、後で述べていきます。断定口調で書いていますが、すべて妄想・仮定です。

  1. 1969年(キクエが失踪したとされる年)、米原実次(以降、米原氏)は何らかの理由でキクエを監禁の上殺害した。しかしキクエは、死ぬ前にその体から脱出した。

  2. その後、米原氏はキクエがまだこの世に”いる”ことに気づき、その筋の専門家である稲垣乙(以降、オト氏)に相談する。

  3. オト氏は強い力でこの世に留まるキクエの"処置"として、もう一度この世で死ぬための"代理人"を必要とする儀式を行う。

  4. 処置を行うも、米原氏は別のキクエを次々と見つけてしまう。その度に米原氏は代理人を立てて処置を続ける。もう死んでいるキクエを再度あの世に送るためにキクエの代理にされた人たちは、湖に沈められたり、事故・病気で死んだことにされた。この過程で、米原氏は親族・身内もすべて代理人として捧げた。

  5. オト氏の亡き後も生涯をかけてキクエを探し続けた米原氏は、最後には自身を代理人として捧げて死ぬ。

  6. しかし米原氏の身を以てしても、キクエの増殖は止まることはなく…

それでは、時系列を追いながら、上記ストーリーの根拠となる要素を辿っていきます。

時系列

1969年 秋 キクエの失踪(あるいは死亡)

キクエ 22歳。米原氏 29歳。

当時を知るためのヒントはほぼありませんが、米原氏は(失踪前あるいは死亡前の)キクエに対して「家族のようなもの」「笑うとエクボができる」などと話しており、好意的な印象を現在でも抱いていることがわかります。ローカルTVへの出演時も、「会えたら嬉しい」また司会者から「よほど可愛かったんでしょう」という問いに対してははにかみつつ「まぁ」と答えたり、体の関係について触れられたときにも笑ってみせたりしています。

米原氏はこの年にキクエを監禁・殺害したと私は仮定していますが、これはこの後の状況から逆説的に導いた仮説です。強いて言えば、この好意が(仮に一方的なものであっても)恋愛のもつれは殺害の動機になり得る‥くらいでしょうか。
監禁の根拠については、キラフ氏の件にて。

1987年 生放送のローカル番組への出演

キクエ 生きていれば40歳。米原氏 47歳。

米原氏はTV番組の企画を利用して、キクエを探しています。結果、番組はキクエを見つけることができませんでした。
この時点で、「何体も処理しているんです。35も」と言っています。キクエ失踪から18年が経っていますので、1年に約2体を処置(処理)していることになります。
また、「見つからないのが一番良いんですけど」「キクエがもうこの世にいないってことを皆さんに確認してほしくて ここに来ました」とも述べています。
番組内で示した住所・電話番号はオト氏のものであったため、少なくともこの時点で米原氏とオト氏は知り合っていることになります。

米原氏は、35体ものキクエをオト氏と処理しており、キクエがもうこの世にいないことを確かめるために、キクエを探している。ということになります。正確にはオト氏の参入時期は不明ですが、この会話の内容からキクエは明らかに怪異の類であり、最初から専門家のオト氏が関与していたと考えたほうが自然ではないかと思います。
「何体も」と表現しているところをみると、米原氏はキクエを生前のキクエとしてではなく、尋常ならざるものとして認識している様子が伺えます。

時期不明 湖での映像撮影

上田さんという女の子が、湖で見つけた古いビデオカメラに残されていた映像です。二人の男が湖を探しているようで、見つけた後ダイビングスーツで湖を探索します。湖の底で遺影のような写真を持っている、包帯でぐるぐる巻きにされた人間らしき物体を捉えます。

湖の底に沈んでいるのは、写真を持たされた人間の遺体のように見えます。持たされた写真にぼんやりと映るシルエットはキクエに似ていることから、これはキクエの写真を持たされた人間であるようです。

このあと述べますが、私はこれをキクエの処置の代理人であると仮定しました。
なお、湖を探していた二人が何者かは不明です。単純に湖を探しては何が沈んでいるかを探索している人々(「池の水抜いてみた」的な)なのか‥しかし最終的にビデオカメラを置いていってしまっていることから、この二人もなにかに巻き込まれた可能性があります。
ですが私のストーリー仮定にはあまり他人を巻き込む要素がありません。ので、例えば「キクエの呪い」のようなものがあるのだとしたら、私が大きな何かを見落としているのでしょう‥

1990年代 オト氏への留守番電話

米原氏が処置の依頼をオト氏の留守番電話に残しています。内容は「先生、あの米原です いつぞやはどうもありがとうございました 1体見つけましたので 処置の方 お願いしたくお電話しました 代理人の方は私の方で用意しておきますので とにかく今回もよろしくお願いします」です。

もはやキクエの処置は事務的な作業になりつつあるようです。ここで初めて「代理人」について触れられています。
この代理人という表現が、妙に気になりました。普通のホラー文脈ではあまり出てこない表現です。代理人というからには「誰の」「何の」代理か、という部分が隠れていることになります。

ここまでの仮定から、キクエは既に死んで怪異化しています。キクエの霊的処置に代理人が必要です。ここで湖の底に沈んでいたモノを代理人であると仮定すると、あれはキクエの写真を持たされ、処置に使われた代理人であることになります。
キクエは怪異あるいは霊体としてこの世に存在しており、写真を撮ることもできるようですが、喋ることはできず、実体はないのではないでしょうか。実体のない怪異キクエをあの世に送る手段として、「キクエの代わりに」「キクエとしてあの世に送られる」のが代理人であると考えると、湖の代理人がキクエの写真を取り付けられていたことにも理由がつきそうです。

オト氏の処置には写真と代理人が必要であるとすれば、「なぜ(怪異)キクエの写真を撮っているのか?」という疑問にも答えが出ます。怪異キクエの写真を撮影し、それを遺影として代理人とともに葬ることで、キクエを処置することができるのではないでしょうか。

あるいは、この遺体こそがキクエであるという説も立てられるでしょう(これもまた後述)。

2023年10月~ 米原氏への取材

米原氏の取材時、仏壇で亡くなった家族に手を合わせる様子が映ります。

ずいぶんと、若い家族まで亡くしているようです。取材に答えた別の方は「事故や病気で亡くなって」と述べています。

これまでの仮定から、米原氏は家族を代理人として使ったのではないかと推察できます。もしこれが「キクエの呪い」のようなものによる死であるとすれば、現在の仮定では米原氏自身にその呪いが降り掛かっていないことの理由がつきません。リングやNetflix版呪怨のスキームに則れば、「(主に呪いを広げる)役割を持つもの」は呪いを受けないということがありえますが、米原氏はむしろ怪異キクエを滅ぼそうとしているように思えるため、やはり米原氏自身が家族に手をかけていると考えるほうが自然ではないかと思います。

2024年2月9日 キラフ氏の廃墟凸(重要)

心霊Youtuberのキラフ氏が廃墟に凸する配信を行います。その中で番号が振られたキクエの写真を発見します。

キクエの写真は、1から番号が振られたもので35まで、合計ではその後に5枚つづいて合計40枚あります。米原氏が持っていた写真は11番です。この家は、林業を営んでいたという米原氏の本家(現在は引っ越し済み)ではないかと推測します。

キラフ氏も述べているように、写真に映る女性(キクエ)はぼんやりとボケていて、また顔の部分がよく判別できません。

1-35までの写真については、これまでの仮説に登場するように、全国津々浦々に出現する怪異キクエの写真でしょう。これを遺影として、代理人とともに葬るために撮影された写真。

では番号のついていない5枚はなんでしょうか?最初は単に36-40なのかと思っていましたが、キラフ氏の手元写真をよく見るとそれ以外の写真とは異なり、この5枚は同じ場所・ほとんど同じ時間に撮影された写真のように思われます。
よく見ると、目隠しをされた女性のように見える写真、足を束ねられているように見える写真があります。そしていずれも、顔の部分から白い煙のようなものが出ているように見えます。

これを見て、私はスタジオにいた元警視庁の神崎一郎氏の発言を思い出しました。キラフ氏の映像の直後、「アメリカでおきた失踪事件に少し似ている ポラロイド写真が大きな手がかりになった」「タラ・キャリコ失踪事件というのがありました」と。

2024年現在も未解決であり、失踪後に関連が疑われるポラロイド写真が発見されたため、「ポラロイド・ミステリー(Polaroid Mystery)」とも呼ばれている[2][3]

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%AA%E3%82%B3%E5%A4%B1%E8%B8%AA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

タラ・キャリコ失踪事件では、縛られ監禁されているようなポラロイド写真が失踪後に見つかったことで話題を呼んだ事件だったようです。正直神崎氏の発言はこれまでひとっつも役に立たんと思っていましたが、ここに来て大ヒントを出しています。

そして、もう一つ‥番組に電話をかけてきた(自称)祓いの仕事を行っているという人物が、以下のような情報を寄せています。「イシナガキクエさんの霊視を試みた」「どこか隔離された施設 閉鎖的で負のエネルギーを感じた そこにイシナガさんがいらっしゃったイメージ 既になくなっている可能性が」

このヒントを辿ると‥米原氏は生前のキクエを監禁していました。もしかすれば、林業を営み巨大な土地を持っていたという家族ぐるみだったかもしれません。キクエを家族のようなものとしているにも関わらず、生前のキクエの写真がないことにも頷けます。
最終的に、キクエは死にました。しかし、キクエは生前のキクエの体から脱出したかもしれません(口から煙のようなものが出ている写真)。
その結果、キクエは全国どこにでも現れるようになり、今に至る‥そんなストーリーが浮かびました。

番号の振られていない5枚の写真は、唯一残った生前のキクエの写真でしょう。

キラフ氏が訪れた米原本家は、そもそも心霊スポットであるということでした。なぜ心霊スポットになるかといえば‥あの本家に地下室のようなものがあるのかもしれません。

2024年2月10日 米原氏死去

偶然ではないと思いますが、キラフ氏が監禁写真を見つけた翌日に米原氏は焼死してしまいます。

現場に残された焦げた白い布のような跡‥湖の代理人も白い布でぐるぐる巻きにされていましたね‥

キラフ氏のYoutubeを米原氏が見て、すべての真相を抱えたまま自死したという可能性もあります。私は、自身を最後の代理人として捧げたという説を推しています(なんとなく)

2024年3月 米原氏の家をうろつく集団

米原氏の死後、米原家(本家ではなく現在の家)を何かを探すように複数人の集団がうろついています。うち一人が外に出てきて、ビニール袋のようなものを外に置いています。

懐中電灯を持っていることから、あれは怪異キクエではなく実体のある人間の集団でしょう。一瞬、富江のようにキクエが実体を持って復活したり増えたりするのかと思いましたが、これまでの仮定を考えるとキクエが懐中電灯を持って訪ねてくるというのは滑稽な気がします。もしかすると、キクエ監禁の闇を知る本家関連の人間かもしれません。スタジオでのサーヤさんも「親族の方なのか何なのか‥」と述べています。

あるいは、キラフ氏のYoutubeや米原氏の死去などの情報から真実にたどり着いた、イシナガ家、キクエの親族の方々かもしれません。真にイシナガキクエを探しているのは、彼らでしょうから。

2024年4月30日 本放送

過去のものから直近のものまで、様々な目撃情報が寄せられます。

真偽のほどは定かではありませんが、いくつか怪異キクエの可能性があるものが見受けられます。この世にはもはや、キクエを処置できる人間はいないので、このあとキクエ(キクエたち)はどうなってゆくのでしょうか。

2024年5月12日 稲垣氏への取材

TVクルーは取材の内容をもとに、稲垣家へ向かいます。そこで出会ったオト氏の息子から、留守番電話のテープを受け取ります。

オト氏の息子は、「一人で住まわれているんですか?」に対して言い淀み、笑いながら「一人‥一人です」と答えるのにも不気味な違和感を感じます。取材中に映る冷蔵庫には、くまのキャラクターと思われるシールが貼ってあるなど、息子氏の家族の存在を伺わせるものもあり、なぜ今彼は一人なのか疑問が残ります。

怪異キクエを処置する者もいなくなった今、彼が一人ではないとすれば、一体彼は何と生活しているのでしょうか。

まとめ

時系列でまとめてしまったので少々わかりにくくなりましたが、この話のコアとなるのはキクエが監禁されていたという所だと思います。
この話を見ている時にずっと疑問だったのは、「キクエが死んだ、あるいは殺されたとして、なぜ怪異化してしまったのか?」という部分です。たまたま普通に殺された人間が、祓いきれないような怪異になるでしょうか?米原氏あるいは米原家による監禁とそれに伴う苦痛が彼女をそうさせたのかなと自分の中で納得しています。

これらの前提で番組を見ると、また別の味がします。
「家族のようなもの」という米原氏の言い回し。「喋れないんじゃないんだよ。大人しいんだよね」‥

これを書いていたら休日が終わっていました。とても充実した時間をありがとうございました。本編は以上です。

余談:湖の死体は代理人かキクエか

私はキクエの写真を撮る理由につながると思ったので、代理人説を推しましたが、単純にキクエ本人かもしれませんね。

でもキクエ本人だとしたら、キクエの写真を持たせるのはよくわからないと思いました。通常のお葬式でも、本人に遺影は持たせませんし‥

余談:オト氏の息子

この人まじで怪しいけどよくわかりませんでした。この息子を中心にもう一本の別説を立てられるんじゃないかと思えるくらいですが、それにはちょっとヒントが不足しすぎていました。

余談:米原氏の自宅を徘徊する集団とビニール袋

これもかなり重要そうな割にイマイチ繋がりませんでした。あのビニール袋なんか意味がある気がするのですが。あれ何ですか?

余談:電話番号

実際かけましたが、「発信音の後に情報をお寄せください」的な内容でした。折り返しがあったという真偽不明の情報も見かけましたが。これはまぁ単純に真実味をもたせるアレだと思います。


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