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神のちから

正直言って、ここまでくだらないものを読んだことがない。 最後まで読んでも何を読んだのかわからない。 一コマ一コマに注意を注いでみても全く無駄で何一つ役に立たない。 これはこの本を侮辱しているのではないことを注釈したい。 ただただ尊敬しているのだ。私自身、無駄なことが大好きで、昨今叫ばれる「生産性向上」や「一億総活躍社会」というものに嫌気がさしている。 だいたい世の中もなんでも「これをやる意味」だとか「目的はなんだ?」とか、なんでもかんでも因果論でつなげたがる。 この本は世

友だちは無駄である

友だちは無駄である 佐野洋子 2007年 ちくま文庫 女性のエッセイが好き。 この本の場合、エッセイというよりも対談。相手は谷川俊太郎。 別に何か特別なことを話しているわけでもない。佐野洋子さんにとっての友達とのかかわりを方々から谷川さんが引き出している。 「100万回死んだねこ」で有名だと思う。それも面白いが、エッセイもいくつも書いており、僕にとっては興味深かった。 この本のタイトルも「友だちは無駄である」というようにかなり棘がある。 私自身、いまだに人との距離感がつか

春宵十話

岡潔(おかきよし) 春宵十話(しゅうしょうじゅうわ) 光文社文庫 2006年 百瀬さんにおすすめの本を紹介してみませんかと言われた。 「それは面白そうだ」と思ったが、際限なく出てきてしまうので、庭文庫にあった本からいくつかピックアップしてみようと思った。 というのも、全く同じとは言わないが、私が持っている本がいくつも庭文庫にあったからだ。 一度読んだけど、庭文庫で見つけてまた手に取ってしまったのは「春宵十話」。 初めて手に取ったのは浪人生の頃か、大学生の頃か定かではないが、

愚者の道

中村うさぎ 愚者の道 角川文庫 2005年 冒頭にこんなことを言っては身も蓋もないが、本当はマツコ・デラックスさんの「アタシがマツコ・デラックス!」を紹介したかったが、絶版で手に入りにくくなってしまった。 でも、でも?ますます中村うさぎさんに失礼極まりない言い方になってきたが、この本は僕の固定概念を砕ききった1冊です。木っ端みじんです。 この本は大学生の頃に出会い、最初は中村うさぎさんという人を関東ローカルTV・Tokyo MXで放送されていた「5時に夢中!」を見て知ったと

生きのびるための事務

生きのびるための事務 原作:坂口恭平 漫画:道草晴子 マガジンハウス 2024年 僕は大学を卒業して、しばらくフリーターをしていた。定職につくこともなく、ふらふらとアルバイトをしながら売れるかどうかわからない作品を作り続けてきた。塾講師にはじまり、美術館の事務とか、運送会社の受付とか、倉庫で発送される箱の仕分けとか。あとは思い出せないや。その後、何社か正社員という立場でも働いてみた。 共通して言えたのは、いわゆる事務職と呼ばれる人が会社を回しているのだ。 上手くいっている会

徴候・記憶・外傷

徴候・記憶・外傷 中井久夫 みすず書房 2004年 どこかで中井久夫さんという精神科医の方が「微分知」について語っているという話を聞き手にとった。正直理解できているかというと微妙だし、すべてを読んではいない。でも、最初にある「世界における索引と徴候」という文章は、ものづくりする人におすすめしたいな、と思い紹介することにした。 理解が合ってるかどうかわからないが、微分知は言葉のとおり、ある曲線における任意の点の接戦をもとめるような感覚に近いのだと思っている。 最近はできて