【技術≠価値】テクノロジーに依存しないアーティストが台頭
機材と技術を誇るクリエイターが増加する中、アーティストには独自の進化が必要になっている。このトピックでは、「迷わない創作方針」を、知ることができる。技術を追うだけに創作人生を消費しているアーティストの、ために書く。
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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 “技術”はコモディティ化する 』
クラウドベースのワークフローによって作品開発コストは下がり、「技術=価値」というクリエイティヴは弱体化する。“技術”は時間と学びを経て習得するものではなく、使途に応じて都度“実装”するものへと変化している。
そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。
■ 最新国際ニュース:ピーター ジャクソン、Weta DigitalのVFX技術部門を16億2500万ドルでUnityに売却
3Dゲーム開発プラットフォームのUnity Softwareは、ピーター ジャクソン氏が所有するニュージーランドのWeta Digital社の技術部門を16億2500万ドルで買収し、VFX事業を大幅に拡大した。この買収により、ジャクソン監督の「ロード オブ ザ リング」のゴラム、「猿の惑星」のシーザー、その他数多くの映画のキャラクターや設定の作成に使用されたツールが、クラウドベースのワークフローを通じて世界中のクリエイターに提供されることになる。
Unityは、メタバースのための次世代リアルタイム3Dコンテンツを実現することができるとしている。
Weta社では当初、自社のツールを広く市場に提供することに「不安」を感じていたとAkaraju氏は述べている。「私たちはジミ ヘンドリックスであり、今はギターを売っています。この世界にはもっともっと多くのジミ ヘンドリックスがいると考えています」
Unity社のNatasha Tatarchukは、Weta社のVFXツールを数百万人のユーザーに向けて拡張することができると述べている。「我々は、Wetaと手を組むことで、クリエイターの制作コストを削減することができます。私たちが生み出しているものには、膨大な量の価値があります」 - NOVEMBER 09, 2021 VARIETY -
『 ニュースのよみかた: 』
ハリウッドに台頭する最大級のVFXラボ、その“技術”が開放される、という記事。
Weta Digital社のVFXおよびアニメーションチームは「WetaFX」というスタジオとして存続される。今回は「技術/ツール部門」の売却だ。I.L.M.を凌駕するVFX界の最頂点が下した決断はつまり、「技術よりコンテンツ」という判断である。
『 アーティストの価値、その本質 』
作品を生み出す労には人生を賭すこともいとわないのがアーティストという生き方だが実に、その“本質”を見誤り、歴史の本道を外れ消える偉人は少なくない。「テクノロジー」に依存するエンターテインメント系作家に顕著だ。
技術は購入して、実装できるようになった。もう、“技術”で圧倒的な差がつけられる時代ではないのだ。アーティストの本質とは、もう一端の価値で決まる。それは、「アーティスト本人」という価値だ。
比喩ではない。
『 機材頼りのクリエイターたち 』
それは、まったく悪くない。
いわゆる“ガジェット系YouTuber”たちにはむしろ学ぶ日々であり、気取らない彼らの正直さはしっかり、時代を捉えている。
問題は、インディペンデントの末端で信者を従えている素人キャリアばかりが長いだけのアーティスト気取り、偽者クリエイターたちである。
特徴は、一目瞭然。一般観客を欺き、業界の戦歴に反して本物のアーティストたちを汚す彼らは一様に、“機材頼り”である。
『 迷わない創作方針 』
自分らしくいることだ。あなたはアーティストであり、唯一無二の価値だ。
スマホひとつで撮れない映画は、存在しない。ハリウッドにも魔法はない。簡単に手に入る技術や機材は、誰にでも表現できる無価値である。
あなたらしさを信じ、技術に依存せずしかし最先端とデファクトスタンダードに精通し、「選ぶ創作」を実行してほしい。
『 編集後記:』
ソックスを買ってしまった。
靴は底を張り替えるし当然に、ジャケットの破れも繕う。愛着ある数少ない相棒たちを、“買い替え”たくないのだ。だが下着とソックスにだけは、非情が必要になる。つらい。
捨てた先に残る本質を求めて、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。
■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記