異例のアカデミー賞 2021“延長戦”投票開始で有力作品判明、アンソニーホプキンス vs ジョディ フォスター

今日のTop画像に用意したのは、米国アカデミー賞協会本部の内部。このアカデミー賞受賞記念ポスターは、協会員用の上映会が行われる本部内のスクリーン、“サミュエル ゴードン シアター”の前にかけられている。（カメラの持ち込みが禁止なので、画が眠くて恐縮だが……。）

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太一（映画家）：アーティスト業界情報局
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 映画「羊たちの沈黙」という時代 』

ちょうど30年前の今、アカデミー賞授賞式をよそに全米の観客たちは、同作の上映に押しかけて熱狂していた。当時19歳だったわたしはVFXディレクターとして、岩井俊二監督作品の撮影現場にいたのを想い出す。スタッフたちが噂していた。どの映画にも似ていない、傑作スリラーが公開されているらしい、と。観た者はいず、寝不足の撮影現場にありながらスタッフたちはこぞって小説を買い求め、岩井俊二監督とプロデューサーを苛立たせていた。その作品こそ、後のアカデミー賞の主要5部門受賞作、「羊たちの沈黙」だった。

『 文庫本を “作品化” する 』

3万冊の蔵書を処分して電子書籍に移行したわたしが捨てられない文庫版は、カリフォルニアの朝露にふやけて膨らんでいる。擦り切れた表紙はボロボロだったが、カバーをつけるのが嫌なわたしは、自作することになる。以来わたしは文庫本を購入すると同時に、オリジナルの表紙を作成している。必ず。“ブックカバー”をつければ良い、という向きもアる。しかし、それは本ではなくカバーであり、わたしは“本を手に持って読みたい”のであり、選択肢にはならない。購入した書籍ままの表紙カバーも、同じだ。それはカバーであり、作者が意図したモノではない。わたしは真新しい表紙カバーを捨てて、本書籍の背にアラビックヤマトのチューブ糊を塗りたくり、自身デザインの表紙を直接、貼り付ける。

世紀の傑作との、コラボレーションである。誰にも文句を言われず、誰の許可もいらないクリエイティヴ。まるで自分が関係者になったかのような満足感は、新作映画にスタッフ参加する時、自分用の“台本”にサインをした瞬間の感覚に似ている。作品と己が、一体化するのだ。おごりと自己満足だが、その説明をしている。これが、わたしのデザインした「羊たちの沈黙」だ。この表紙なら機内で開いていても、誰からも推察されることがない。上下巻に別れているために他書とは異なる仕掛け、を施すことができた。

お気づきだろうか？

上下巻を並べて開いたときにだけ、作品タイトルを断定できる。

お気づきだろうか？

開かれているページは、先の写真にあったペーパーバックの洋書ではない。

『 「羊たちの沈黙」のSCRIPT（※映画脚本）公開 』

今年の誕生日プレゼントにもらった、映画「羊たちの沈黙」のSCRIPT（※映画脚本）だ。本作に惚れているわたしの想いを知っているL.A.当社のプロデューサーが、滞在中のロンドンから“Sir アンソニー ホプキンス”のサイン入りで郵送してくれたのだ。“レクター博士のサイン”が嬉しいが実は、その中身が希少だ。製作当時に小作だった本作は保有権利が非常に入り組んでおり実のところ、再上映や販売、ましてやSCRIPTの出版などできようもない状況にある。NBC製作のマッツ ミケルセン主演版「ハンニバル」は打ち切りに、CBSで放送が始まったスピンオフの「クラリス」では、“レクター博士”の名前を使うことができない。傑作「羊たちの沈黙」、監督のジョナサン デミ亡き今、その深奥は記憶の宮殿にあり。今はただ、テッド タリーの秀作SCRIPTを読み込んで血肉とする。

あぁ、ところで。

まだ日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際News：延長アカデミー賞で後発のアンソニー ホプキンス作品が急上昇、ジョディ フォスター作品に影を落とす

アンソニー ホプキンス主演作「ファーザー」など、後発入札の作品戦略が勝利を証明できるかどうかが注目されている。すでに著名な作品は数ヶ月前から、配信映画としてファンを魅了しているわけですから。アンソニー ホプキンス主演のファーザーゴールデングローブ賞で優秀作品賞含む4つ受賞し、有力作品だった「モーリタニアン」ジョディ フォスター作品に影を落としました。本年度アカデミー賞ノミネート作品リストの発表は、本月15日。授賞式は、04月26日。選考会の投票は続いている。 - MARCH 08, 2021 VARIETY -

『 編集後記：』

なんとタイムリーなことか。ロックダウンに乱された本年度アカデミー賞の選考会は異例に延長されているが、好評だったジョディフォスター作品を脅かしているのがアンソニー ホプキンス作品。映画「羊たちの沈黙」を愛する者にとってそれは、グレン グールド演奏のバッハ：ゴールドベルク変奏曲に匹敵する美しい旋律である。

回顧は未来のためにあり、これからの映画の元に帰るとしよう。