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【アーティストの純度】サポーターや後援者を、堂々と求めていい

平静を装う必要は無い、アーティストは堂々、スポンサーを求めるべきだ。どこまでも大胆につまりは、あなたの創作と同じくらいに手段を選ばず。
このトピックでは、「正直な創作活動を続ける方法」を、知ることができる。生活すべての不安を捨てて創作活動に没入したいあまりに叫びたいアーティストの、ために書く。

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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 きれい事は、嘘 』

余裕を演じて満たされている自分像を磨いている“無名アーティスト”に限って、生活に困窮して創作活動に集中できず、企画書風の雑記に人生を消費している。ノルマを休んだわずか半月に、あたかも以前から熟考していた風の“小作品”を創りあげて、「(自分はアーティストなんだッ!)」と暗示をかける日々。そんなアーティストに、チャンスは訪れない。

自身の業界ポジションと成功を手にした者は、嘘を嫌う。弱点を晒し、ビジョンをアピールして堂々、支援者を求める。きれい事を演じる理由がない、正直だけの世界だ。

そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際ニュース:注目のアーティストKennedy Yankoのシュールな彫刻を生み出すスタジオに潜入

セントルイスに生まれ、ブルックリンを拠点とするKennedy Yankoは、最近マイアミのルーベル美術館でのレジデンスを終えた。「私の心がいつも望んでいた規模の作品を制作するための“スペースとサポート”を得られたことで自信がつきました」Yankoは1年のほとんど、週に6日、大好きなブッシュウィックのスタジオで仕事をしている。このスタジオは、リビングルームとキッチンを備えた、自宅のような空間だ。彼女はこの場所を“夢の実現”と呼んでいます。「何もない部屋で、好きな時に好きなことができることほど、刺激的なことはありません」

彼女は、スパイク リー監督作品で女優デビューを果たし、最近ではPyer Moss初のクチュールショーでウォーキングを披露している。「私はモデルには全く興味がありませんが、私と私の芸術に賛同してくれる人とのパートナーシップやコラボレーションには、オープンです。」

彼女の目標はNFTでも同じだ。新しいデジタルアートの形や技術を試すことは、アーティストが意味のあるサポートや後援を見つけるための新しい方法のように、ヤンコには思えている。

「私は自分の作品を見たり、ここを読んだりすることに多くの時間を費やしています。何ヶ月も見たり考えたりしていることが多いです。この小さな空間をとても大切にしています。自分の素晴らしいアイデアを共有する機会が誰かに与えられるのを待ってはいけません。誰かが自分の素晴らしいアイデアを発表する機会を待つのではなく、とにかくやってみて、終わってからすべてを考えればいいのです。」

スタジオは、彼女の日常を映す鏡だ。

「私は自分のお気に入りの作品がありません。私は最終的な形よりもプロセスに興味があります。それは正直であり、物語でもあります。」- JULY 11, 2021 VOGUE -

『 ニュースのよみかた: 』

ニューヨークのブルックリンで拾った産廃から現代アートを生み出している33歳が、世界的に注目されている。彼女は超一流のステージで女優やモデルにも挑戦しながら「まったく興味は無いが創作活動の“後援者”を募るため」と断言している、という記事。

まさに現代流、“巨匠香る才能”である。彼女の活動は華やかで、VOGUEのページを飾る姿はモデルそのものだ。正直、“安チャラ”い。だが、「すべては“後援者”を募るための活動」と宣言してしまえばもう、闘う戦士である。

あらゆるプラットフォームに登場し、自身を看板に注目を集めながら、作品アピールを核として、現代アートの業界地位を駆け上がっている。この堂々“節操ない”活動を否定、嘲笑する人に時代は振り向かない

『 正直な創作活動、とは 』

“後援”を必要としていないアーティストを、独りも知らない。カンヌ国際映画祭、ベルリン、ベネチア、アカデミー賞の受賞者たちですらわたしのプロデューサー キャリアに気付くなり、目の色を変える。

「10万ドルの“支援枠”を用意しよう、君はラッキーだね。僕らは明日の夕方にはパートナーだよ。どうかな?」と。

これはBeverly Hills  IFF会期中にアイリッシュバーで体験した、実話だ。まだハリウッドに不慣れだったわたしが口籠もった瞬間、背後から手を伸ばした青年が、“彼”と握手した。ドキュメンタリー映画部門でアカデミー賞ノミネートがかかっていた彼は退店までの20分で、2本の協賛を獲得した。当時のレートでおよそ、3,000万円だ。

俳優、クリエイターそしてアーティストまで、成功者のスターは誰もが、正直だ。「勝つ自信は無い」「失敗する可能性が高い」「ライバルが強くてタイミングが悪い」など、日本の常識を引きずれば“ぶち壊し”な発言を、次々と吐き出していく。だが列席しているインベスターズやファンドマネジャーの表情は、曇らない。ひとしきり“ネガティヴ”を列挙したスターの“決め台詞”を、待っているのだ。

「ウィークポイントは以上だ。それ以外は、わたしが最強最上だ。どうかな?」握手の手が伸びる。

『 アピールを恐れる必要、無し。 』

街の店舗はすべて、客を待っている。オンライン店舗も、客を待っている。サービスも施設もプラットフォームも学校も宗教も政治もすべて、客を待っている。「そんなことは——!」という きれい事はいらない。

つまり、アーティストが“後援者”を求めることは、まったく不自然ではない。むしろ、永遠に沈黙したまま創作を続けているアーティストは、不気味だ。

“後援者”とは、応援者である。
その支援は、お金であったり手伝いであったり、保証であったり広報であったり様々だ。アーティストは、0から1を生む。後援者が、1を100にする。両者は両輪であり、かけがえのないパートナーだ。バチカン市国の天井画からピラミッド建造にまで遡っても、このパートナーシップは変わらない。

叫ぶといい。「わたしのビジョンを観てくれ!そして“後援”してくれ!」と。先ずは、“弱点”を晒すことから始めるのが自然だ。そして、カメラの前に立ち、最初の一言を発するのだ。


『 編集後記:』

顧問の弁護士先生たちとの、定例会議があった。
真夏に輝く精かんな先生は今日も鋭く、いつも柔和な自然体の先生は元裁判官の爪も観せず。まったくタイプの異なるプロフェッショナルは常に、同じ目的に向かい、成果を生む。だがそこには、「勝ち/負け」とは異なるルールがある。“納得”できる解を、選ばせてくれるのだ。

シンプルな結論の先に理想を生み出す実行力は、魔法のようだ。
今日も精かんで、今日も柔和で。
感謝に堪えない。

目的の先に理想を求めて、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。

■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記