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国際アーティストになる条件:たった3つだった。

クリエイター、アーティストの誰もが、“国際アーティスト”として行動する時代になっている。貴方の意思は、関係ない。それがデファクトスタンダードなのだからこの際、“日本流”を無視してみよう。日本でしか通用しない交流方法ではもう、適応できなくなるのだから。

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太一(映画家):アーティスト業界情報局
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 “国際”という日本流 』

国際アーティスト、という言葉がある。
いや、無い。

アーティストとはそもそも国際的な存在であり、その国の中に留まっているクリエイターたちはアーティスト界において、“山籠もりの仙人型職人”に見えている。いわゆる、変わり者だ。

ここ“アーティスト業界情報局”を通読している情報通の皆さんなら、その違和感を理解できるだろう。残念ながら日本人アーティストたちは業界を問わず、かなりの変わり者だと想われている。

それでも構わないのだが、残念なのは、そんな日本人アーティストには世界の重要な情報が降りてこないという現実だ。日本人アーティストばかりが、業界から放置されている。

極々少数の日本人アーティストの精鋭が世界を走っているが、とても苦労されている。世界を駆け巡る日本人たちはまず、「日本人なのに?」というマイナス状況からのスタートを強いられているためだ。これはとてもキツい。

『 日本の認知度 』

韓国、中国の躍進に対して日本は未だに、「よくわからない金持ちの国」だ。一部の各国マニアに知られている為に日本人たちは、自分たちが世界でも認知されていると想いこんでいる。

そんな時にわたしは、こんな質問をすることがある。「最近観たウズベキスタン映画はなんですか?」答えられる人はいないだろう。それが、(国際)アーティスト業界から観た“日本”の姿だ。

残念ながら日本人の我々は、努力せねば、かなり努力せねば、人生を賭した勝負を挑み続けなければ、彼らとは対等に競り合えない。そもそも、競り合うための舞台に立つことすら、奇跡%なのだから。

では日本人アーティストに、国際舞台は高すぎるのか。
まったくそうでは無い。

『 世界の日本、その姿 』

矛盾して聞こえないように、補足してみる。

日本人アーティストは有名無名どころか、まず意識されていない。その存在すら、どこの国の人々も、気にかけていない。映画、写真、音楽、ファッション、絵画、出版、放送、デザイン、広告、なにもかも、だ。胸割けそうに苦しいが、事実だ。映画を問えばアニメと黒澤、音楽を問えば韓国と間違えられ、ファッションを問えばUNIQLOを褒められる。それが現実だ。

貴方というアーティストは、どこに属しているだろう。そこが、国際ターミナルへの直行便にアクセスできていることを願う。切に願う。

『 俳優と企業 』

映画を語らせてもらえば、我々映画監督たちが敬愛して止まない、人生を預けている“演者”たちの多くは、タレント業で食っている。テレビCMに出演して広告料を頂かなければ、生活が維持できない。

高給を払えない日本映画界を申し訳なく想うが、企業かたがたにもお願いしたい。俳優演者を広告に起用するのは、構わない。むしろ、感謝申し上げる。しかし、少しだけ国際マーケットに倣って欲しい。

俳優演者を自社の広告に連れ出すのではなく、俳優演者の年間スポンサーとなり、スターの彼らを“大スター”にして欲しい。その大スターの背に乗ることの方が、はるかに、御社企業ブランドの価値は高く、大きくなる。

それがこそが、広告依存のソリューションでスターのブランドを消費しない、かつ最大効果を生み出すシナジー。それこそが、デファクトスタンダードなのだから。知っているでしょう企業かたがた。

貴方たちの中には、コングロマリットが多く存在している。知っていますよわたしは27年間地上波メジャーCM業界で400社と仕事をしてきたのだから、担当者の顔も浮かぶ。

判るでしょう企業の決裁者である貴方は各国を飛び回っており、カンヌの古城下のバルでもサンタモニカの桟橋脇のアイリッシュバーでも見かける国際マーケット人なのだから。

余談が過ぎた。
日本人アーティストも、国際舞台に通用する。
本題をまとめよう。

『 国際アーティストになるための、要点3つだけ 』

要点は、たった3つ。
しかもそれは今すぐに実行でき、レベルに差も生じない。
必要なのは、決断だけだ。いってみよう。

『 ①:日本的交流をすべて捨てる 』

1.:「日本的交流をすべて捨てる」
捨てることが目的であり、減らしても意味が無い。なぜか。日本流の交流は多くの時間と出費を要する。つまり、無駄が多い。しかも国際アーティストとして活動、成果を上げるためには、全く効果が無い。効果があると感じている方がいれば、わたしとZoomをしよう。堂々、その非効率を証明してみせる。
ただし、例外はある。広尾駅に近い、港区南麻布にある「ニュー山王ホテル」を知っているだろうか。そこはホテルとは名ばかりでパスポート必須、在日アメリカ海軍が管理運営している米国だ。公用語は英語。通貨はUSドル。出入りしているのは海軍などではなく、国際映画人を中心としたコンテンツ産業の“日本掌握担当”の精鋭たちだ。また、ロックフェラー財団が創設に協力した国際文化会館の会員間ネットワークでもいい。そこは、日本にある“国際アーティスト界”なのだから。他は、多くない。

ダイニングカフェを貸し切る個人主催パーティや隔週の居酒屋集合は、一流の交流ではない。馴れ合いと気休めな、ただの一般人用会食だ。そこは孤独を癒やし、業界地位を上げているような陶酔用に機能するのかもしれない。しかし、人生を賭す大きな情報を持ち寄る場所であるはずはなく、国際アーティストには無用だ。一般人会食席でしか繋がらない関係は、日常の延長でしかない。
日常を捨てる勇気、お判り頂けるだろうか。


『 ②:身軽かつ上質に生活する 』

2.:「身軽かつ上質に生活する」
国際マーケットは、虚飾の通じない“ホンモノ”の世界。互いを尊重し合い、認め合うことから始まる社交の場に、マウンティングは存在しない。そこで重要になるのは、「身軽」でありながら「上質」であるかどうか、だ。20万円の今期最新のジャケットよりも、20歳から手縫いで修繕を続けている祖父譲りのジャケットが選ばれ、豪邸や高級車よりも、ジムの国際会員権と10㎞走れる有酸素力が話題をさらう。高級食よりも旅先での手料理、ヴィーガンよりも家庭菜園にこそ、価値がある世界だ。ハイブランドを知るよりも、革靴を磨き上げる技術が重要であり、ウオークインクローゼットを埋めるよりも、ジャケットを必ず毎回、馬毛でブラッシングしているかどうかだ。そして、今この瞬間に話題の中心になった国際アーティストの自宅に今週末、集合できるかどうか。そこにそのまま1ヶ月滞在する、自分の人生の支配権を持っているかどうか、だ。身軽な上質、お判り頂けるだろうか。

何かを足すのではなく、貴方の生活をそぎ落とすことで全ては、揃う。
そして最後に、もっとも重要にして、これこそが全てだという項目を。

『 ③:世界のアーティストになる 』

3.:「世界のアーティストになる」
大仰な自己啓発を書いているのではない。
貴方は日常を、どう生きているだろうか。その日常は、“国際アーティスト”だろうか? という話だ。少なくともここまで読み進めてきた貴方だから、“日本専用アーティスト”という存在には疑問がある。ならば、
「世界のアーティスト」に相応しい日常生活を、選ぶことだ。
その立ち居振る舞い、言動は必ず、誰かの耳目に触れている。その情報が、貴方というアーティストを形作っている。貴方は今この瞬間から、「世界で活動するアーティスト」として生活するべきだ。それが、全てだ。世界のアーティストたちはそもそも、“世界のアーティスト”らしいものなのだから。

『 努力は、不自然 』

国際アーティストたちはそれぞれに、交流の場を持っている。それは互いに巡回している各国の国際映画祭会場であったり、各国の業界人専用クラブだったり、成功者のゲストハウス付き邸宅だったりする。振る舞いは、いたって自然体。過剰な演出や言動は、不自然なわけだ。

マナーだけは、100%以上でなければならない。そんなものは、本でも学べるのだから覚えれば良い。気をつけて、マナーをネットで学んではいけない。嘘と間違いが殆どだ。特に、“日本語で教えるマナー講師”という存在。日本流である場合が多く、国際の社交にはむしろ、マイナス。無視した方が安全だ。

あぁ、ところで。
まだ日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際News:リアル開催とオンラインのハイブリッドが定番となりつつある国際映画祭、バーチャル ガラ(祭典)はどう機能したか

初のハイブリッドなオスカーが閉幕した裏で、仮想ガラが活況だ。ハリウッドの映画関係者たちは仮想ガラで交流し、ネットワークを築くための方法を模索してきました。個人のアバターを参加させる仮想イベント空間は活況で、“会場をテレポート”できる利点もあり、成功している。イベントプランナーとディレクターたちは、毎年恒例の対面ガラの雰囲気を可能な限りに再現しつつ、多数のプラットフォームを駆使してきた。ショー前のカクテルパーティーは仮想ボールルームで開催されます。従来通りにVIPルームもあり、スポンサーの看板もあります。ゲストたちはモデル化されたアバターとしてテレポートし、会場を移動しながら交流している。いよいよ始まるショーはストリーミングでライブ配信され、受賞者たちは自宅からも参加している。ショーの後は、会場のリゾートを再現した日没を望む仮想屋上で開催された“アフターパーティー”に参加できました。Zoomのチャットを併用しゲストたちは、従来よりもストレスの少ない交流方法を選べたと言える。この方法は仮対応の措置ではなく、定着していくだろう。 - APRIL 26, 2021 THE Hollywood REPORTER -

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『 編集後記:』

個人的に追加した方がいい、と感じているのは“仮想喫煙所”、シガーハウスだ。国際映画人は早期から禁煙志向で、タバコを吸わない。しかし、芳醇なワインのように“葉巻”をたしなむ。

ドレスのレディをエスコートしつつシガリロという細巻きを交換しながら語り合うアポイントメント無しの社交の場が、国際映画祭に用意されている“シガーハウス”だ。

マルシェ(映画用国際マーケット)の会場に用意されているシガーハウスなどは海に面し、メディアからの視線が完全に排除されている。ドレスや簡易フォーマルをパーカーに着替えた映画スターたちにとっては、“ただの映画人”に戻れる憩いの場でもある。

ガラが終わる夕方を過ぎれば人々はタキシードをスモーキングジャケットに替えて、エレガントな夜に備える。今夜のパーティを選ぶために有効な、生の情報を得られる場所もまた、喫煙所だ。

“シガーハウス”は、大人の社交場、国際映画祭における本物のガラ。この環境を求める声が多かったのはまた、ハイブリッド映画祭事務局の課題だ。
かくいうわたしもいつの間にやら、タバコを吸わないが。

日本というプライドからデファクトスタンダードが生み出せると信じる映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。

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